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4000システム、50000データベースを支えるワンプラットフォーム 社員の働き方と顧客体験を大変革する第一生命の「DNOW」プロジェクト

開発人材の育成に至るまで
万全のサポートを提供

宮崎氏/吉留氏/千葉氏

 宮崎氏は「Now Platform」の導入が決定する半年ほど前の19年5月、米国で開催されるServiceNowのカンファレンスに参加した。

 このとき、ServiceNowの幹部からプロジェクトへの全面的な支援を約束されたことや、カンファレンスに参加していたユーザー企業の好事例に多く触れたことも、「Now Platform」を採用したいという気持ちを後押ししたという。

 実際にServiceNowは、「DNOW」プロジェクトを推進させるために多大な支援を行った。プロジェクトの最前線で新たなグループウエアの開発・構築に携わるDLSの千葉氏は、「それまで使用していたグループウエアとServiceNowでは、“アーキテクチャ”も“考え方”も異なり、まずはそれを理解するのに苦労しました。開発が本格的に動き出す直前の20年4月に、新型コロナウイルスの影響で最初の緊急事態宣言が発出され、1カ月ほどスケジュールが先延ばしになってしまったのですが、幸いというべきか、その間が逆に良い勉強期間になりました。ServiceNowによる支援も受けたことで、より理解が深まったと感じています」と振り返る。

 ServiceNowは、千葉氏をはじめとする開発チームの学習をサポートし、開発人材育成のための研修サービスも提供している。

 「既存グループウエアの膨大なアプリケーションを置き換えるには、相当数のエンジニアと5年、10年の期間が必要ですから、着実に人材を育てていかなければなりません。人材育成面での不安はありましたが、まずは初年度に2人のチャンピオン(技術習得者)を育て、少しずつ増やしていきましょうという提案をServiceNowから受け、現在はServiceNowのサポートを受けながら計画的に人材育成が行えています」(千葉氏)

 プロジェクト初年度の20年には、DNOW基盤とすべてのシステムへの“入り口”となるグループウエアのポータルサイトが完成した。2年度目以降は、このポータルからあらゆる情報が呼び出せるように、システム群、データベース群を1つずつ連携させていく作業が本格化する。

 一方、従来のグループウエア上で開発した業務用アプリケーションを「Now Platform」上で動くシステムに作り直していく作業も並行して進める必要がある。

 システム数は4000にも及び、やはり数年がかりの作業になると予想されるが、「Now Platform」上の、システム開発の工数や期間を大幅に短縮できるノーコード・ローコード製品「App Engine」により、作業の効率化を図っている。

「Now Platform」上に開発されたグループウエアのポータル画面
「Now Platform」上に開発されたグループウエアのポータル画面。今までは分断されていた情報が集約され、部署間や支店間の分け隔てなく、パソコンやスマートフォンで画面を開けば誰でもアクセス可能で、すぐに仕事が始められるようになった。

ユーザーでもアプリが開発できる
ServiceNowの「App Engine」

 「App Engine」は、専門的なプログラミング知識や技術がなくても、ノーコード・ローコードでアジャイルにてシステム開発できるのが大きな特徴だ。システムの種類や機能にもよるが、従来開発に費やしていた時間が半分前後に、コストは3分の1程度まで圧縮することが可能だとServicNowは言う。

 第一生命はこの「App Engine」によって、簡単なシステムならユーザーでも開発できるようになり、生産性向上につながるのではないかと期待している。

 「すでに開発済みのアプリを、自分たちが使いやすいようにカスタマイズすることもできます。例えば、様々な情報の中から、自分の見たい項目だけが優先表示されるように作り替えるといった工夫が凝らせるはずです。職種や業務内容に応じて、自由に使いこなしてほしいですね」と宮崎氏は語る。

 また千葉氏は、システムやデータベースを「Now Platform」に移行させる作業を効率化するため、専用のテンプレートや再利用可能な部品を開発した。「『Now Platform』に合わせた画面設定やワークフローなど、システムの移行作業において共通する設定をテンプレート化したものです。こうしたツールが容易に作れるのも大きなメリットだと言えます」と語る。

 「App Engine」を使って開発したシステムの中には、すでに社員から高い評価を集めているものもある。その一つが、生涯設計デザイナー(営業職)に朝礼で使用する教材をオンライン配布する目的で作った「支社掲示板」というシステムだ。

 「先ほど千葉が述べたように、『DNOW』プロジェクトは20年4月に本格始動したのですが、直後に緊急事態宣言が発出され、全国の営業員が在宅勤務を余儀なくされてしまいました。そこで自宅にいても教材を閲覧できるように、短期間でシステムを開発したのです。まだ十分に使いこなせる前だったのですが、それでも簡単に開発できました」(宮崎氏)

 このシステムは非常に好評で、今では会社から生涯設計デザイナーへの教材や情報は「支社掲示板」を使って発信するのが当たり前になりつつあるという。

 グループウエアが完全に置き換わるまでの間は従来のグループウエアとの併用が続くが、ServiceNowの利便性の高さについては、着実に社内での認知が広がっているようだ。21年4月からはユーザー向け説明会も随時行っている。

 吉留氏は、「ServiceNowのメリットは、相互参画型のプラットフォームであり、両社が共に成長していけることにあると思います。当初は正直不安もありましたが、実際に使ってみると、非常に簡単にシステムが作れることを実感しました。実際あるシステムは、検討からリリースまで実質2週間で実現しています。移行作業を進めていきながら、今後は活用をさらに促していきたいですね。また、現段階では働き方改革や生産性向上にプロジェクトの重点が置かれていますが、いずれ、お客さまへのサービスの品質向上にも結びつけていきたいと思っています」と抱負を語る。

 「DNOW」プロジェクトの今後の発展に注目したい。