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業務システムをワンプラットフォームに統合 コミュニケーションと申請承認の一本化でメルカリが進める変革

承認依頼が放置されることなく
業務がスピーディに進む

 メルカリが導入したのは、ServiceNowのApp Engineというアプリ開発基盤と、IT Service ManagementというITサービス管理のためのアプリケーションである。

 このうちApp Engineは、業務アプリを効率よくスピーディに構築できるという点ではすでに導入済みのクラウドサービスと同じだが、開発したアプリ同士や外部システムとの連携がスムーズにできるという点で、大きなアドバンテージを持っている。

 また、「米国で開発されたサービスですが、日本の商習慣や要件に合わせて機能を拡張できる柔軟性の高さも評価しました」と、小松氏はApp Engineの魅力について語る。

 連携のしやすさを生かして、メルカリは現在、従来のクラウドサービスで構築したワークフローをServiceNowによるワークフローに移行する作業を進めている。

 すでに、従来のクラウドサービスでは連携が困難だった与信管理システムや電子署名システムなどが接続し、申請から承認までのプロセスが一気通貫で流れる仕組みが出来上がりつつある。

 清川氏は、「新たな取引先との取引や、社員が使用するパソコン・スマートフォンの購入、社内メーリングリストへのアクセス権限など、一部の申請・承認についてはワークフローの自動化を実現しています。22年5月ごろまでには主要なシステムの連携を完了させ、大部分の申請・承認を自動で回せるようにする予定です」と語る。

 さらに、コミュニケーションツールから申請すれば、スピーディに承認される仕組みが出来上がったことで、申請件数は以前よりも格段に増えたようだ。

 「『パソコンを買いたい』とツール上で申し込めば、すぐに承認の通知が届くので、『対応が速くなった』と社内からは喜びの声が上がっています。業務効率の改善だけでなく、社員の満足度向上にもつながっているのではないでしょうか」と小松氏は語る。

 また、清川氏は「従来のクラウドサービスでは、承認依頼がメールで届くので数日間放置されることもありましたが、新しいワークフローでは依頼のアイコンがコミュニケーションツール上に表示されるようにしたので、ほとんど見逃されることはありません。これも、外部のツールと親和性の高いServiceNowならではのメリットだと思います」と評価する。

 単なるコミュニケーションツールではなく、申請・承認のためのツールとしても使えるようになったことで、「意思決定から業務遂行までのリードタイムを短縮する」という清川氏の理想は、着実に実現へと向かっているようだ。

IT資産管理やITサービス全般にも
ServiceNowの活用を進める

 メルカリは今後、ServiceNowによって構築されつつある申請・承認のワークフローを、発注・検収・請求などの後工程にまで広げる考えだ。これが実現すれば、申請から請求に至るまでの業務プロセスが完全に自動化する。

 その実現に向けて、同社は現在、クラウドERP(基幹系システム)と、経費精算システムをワークフローに接続させる作業を進めている。

 清川氏は、「基幹系システムをワークフローにつなぐためには、消費税の軽減税率の処理や電子帳簿保存法に対応したカスタマイズなど、いろいろと調整しなければならないこともありますが、請求に至るまでの全プロセスを自動化して業務のスピードを上げるために、早ければ22年中にも実現したい」と語る。

 ServiceNowで発注や請求業務まで自動化しているケースは非常に少なく、その意味でも注目すべき取り組みと言えそうだ。

 メルカリは、この他にもServiceNowを利用して、様々な業務変革や社内サービス変革を行っている。

 その1つが、社内ポータルサイト「merportal」(メルポータル)の構築である。業務や人事に関する社内手続きや、各種社内規約などが検索できるナレッジサイトだが、以前はトップ画面のデザインがあまり洗練されておらず、使いにくいという声があった。

 そこで、UI/UXの優れたServiceNowを使ってデザインを一新。メルカリのデザインチームもプロジェクトに参加し、シンプルで洗練されたトップ画面に作り替えた。

 「PoCの段階で大まかなデザインを作り、ユーザー(社員)の意見を聞きながら修正を加えていきました。他のツールを使って作り直すという選択肢もありましたが、ServiceNowなら稼働後のユーザーの利用状況を分析しながら、継続的にデザインや使い勝手を改善できるので、最もふさわしいと判断しました」と小松氏は説明する。

 今後は、「merportal」と各種申請・承認のためのワークフローの入り口を一元化して、より社員の利便性を高めていきたいという。

 この他、同社はServiceNowのGovernance, Risk, and Compliance (GRC)という情報管理ソリューションも導入しており、今後リスク情報の管理プロセスも自動化していく方針だ。

 一方、清川氏は、「ServiceNowのIT Service Managementを利用して、IT資産管理やITサービス全般の自動化を実現したい。将来的には、社員が欲しいパソコンを注文すると、必要なソフトウエアのインストールや個別設定が自動で行われて納品されるようなITサービスを目指しています」と語る。

 メルカリのシステム エンジニアリング部門は、「意思決定の必要のない業務は、すべて自動化される」ことをミッションに掲げている。清川氏は、「ServiceNowは、それを実現できる数少ないプラットフォームの一つであると確信しています」と高く評価した。

「merportal」のトップ画面(左上)と、Slack上におけるパソコン購入の申請画面(右下)。将来的には、この2つを一元化することでユーザー(社員)の利便性をさらに高めたいと考えている
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