時代の変化に対応して
新たなソリューションを随時導入
野村ホールディングスは、グローバルに広がる事業拠点のシステムやデータを統合し、業務プロセスの標準化や自動化を推進する取り組みも行ってきた。そのためのプラットフォームとして、同社が採用したのがServiceNowである。
ボルサム氏は、「野村ホールディングスでは、ホールセール部門の業務を効率化するデジタルプラットフォームとしてServiceNowを活用しています。導入してから8年になりますが、ITサービスマネジメントに始まり、現在ではITセキュリティ、ベンダーリスク管理、ソフトウェア開発、チャットボット、人事管理など、Out-of-the-Box(OOTB:標準機能)で利用し幅広い業務の効率化を実現しています」と語る。
野村ホールディングスのホールセール部門がServiceNowを導入したのは2014年のこと。当初の目的は、ITサービスマネジメントの強化にあった。
「当社では、以前からITIL(ITサービスマネジメントにおけるベストプラクティス)に準拠したアプリケーションを利用していました。それをServiceNowにリプレイスしたのは、ITILで定義されているCMDB(構成管理データベース)が用意されていたからです」と、ボルサム氏は導入の経緯について説明する。
CMDBとは、ITサービスを提供する上で必要なハードウェア、ソフトウェアなどのIT資産と、その構成の情報を一元的に管理できるデータベースである。これがあれば、野村ホールディングスのように世界中で事業を展開する会社でも、すべての事業拠点のIT資産と構成を管理できるようになる。
「CMDBがないと、世界中のシステムを管理するのに作業が煩雑化する上に、時間もかかります。CMDBが用意されていることで、ガバナンスやデータ管理、レポーティングなどがグローバルで一貫性を持って管理できます、この点は、ServiceNowの選定において非常に大きな決め手となりました」(ボルサム氏)
こうして野村ホールディングスは、14年にServiceNowのプラットフォームと、ITサービスマネジメント用のソリューションであるITサービスマネジメント(ITSM:IT Service Management)を導入。既存のプラットフォームから ServiceNowへの移行だったが、ITSMポリシーの見直しを図る絶好の機会となった。多くの規制要件に柔軟に対応できることに加えて、標準機能として備える監査機能とレポート機能により会社全体の効率が改善された。
その後、ほぼ1~2年に1つの頻度で、新しいソリューションを追加していった。
例えば19年には、ベンダーリスク管理ソリューションであるVendor Risk Management(VRM)を導入している。これは、オンプレミスで運用してきたIT基盤、アプリケーションなどをパブリッククラウドやSaaSに移行する際に、それらを提供するベンダーのリスクを効率的に管理するシステムだ。野村ホールディングスはVRMを定義済みワークフローとして標準化し、そのワークフローがクライドガバナンスプロセスの基盤となっている。
翌年には、ServiceNowのセキュリティソリューションであるSecurity Operations(SecOps)を導入。CMDBで一元管理されている各拠点のIT資産や構成のデータを活用し、ITセキュリティのプロセスをグローバルで標準化した。
さらに、インドや欧州では、ITヘルプデスクの業務負荷を減らし、ITに関するトラブルを社員が自己解決できるようにするため、よくあるトラブルの解決策を自動的に回答するチャットボットも導入している。
野村ホールディングスのServiceNow導入ジャーニー
グローバル全体で
DXをさらに加速させるために
その後も、21年にはIT部門が開発したソフトウェアを迅速に事業部門にデリバリーするために、ServiceNowのDevOpsを導入。翌22年には、海外における人事業務を一元管理することを目的に、HR Service Delivery(HRSD)を採用1している。
1 HRSDは日本以外で導入
HRSDは、1つの従業員ポータルで人事や総務に関する様々な申請が行える上に、ナレッジ共有ができるソリューションだ。申請とともにチケットが発行され、処理を担当する部門や担当者が自動的にアサインされる仕組みである。誰が処理を担当し、どこまで進んでいるのかといったことも、すべてポータル上で確認できる。
野村ホールディングスは、HRSDを使って様々な社員向けサービスを開発しているが、そのうちの一つが社員の休暇申請業務である。
「以前の休暇申請システムは、日本、欧州、北米など、地域ごとに用意されており、私のように英国に籍を置いたまま日本に出向している社員は、日本の休暇申請システムだけでなく、英国のシステムにもアクセスして休暇申請を行わなければなりませんでした。世界共通のポータルになり、そうした面倒がなくなり、個人的にはとても満足しています」
このように、ITSMを導入してから8年の間に、野村ホールディングスが利用するServiceNowのソリューションの種類は急速に増えた。
「最初は『単なるテクノロジーツールだろう』と捉えられていましたが、今では、様々な用途に使える便利なソリューションとして、全社的に認められるようになりました。多様な機能が追加できるのも、CMDBという基盤がしっかり整っているからです」とボルサム氏は語る。
グローバル全体におけるIT資産や構成が一元管理できるからこそ、それに基づく業務プロセスの標準化や、業務の自動化が推進できる。結果として、それぞれの事業部門や拠点における業務の効率化やスピードアップ、コスト削減、さらに全社的なガバナンスの向上などが実現するのである。
ボルサム氏は、「ServiceNowは、毎年のように新しいソリューションをリリースしており、近年は、金融をはじめとする業界ごとに特化したソリューションも充実しています。そうした新しいソリューションを積極的に取り入れながら、DXを加速させていきたい」と語る。
