生成AIの活用を視野に入れたデジタル戦略を描く

日本の金融機関はさらなる成長を遂げる

生成AIによる業務改善を実現した
金融機関も

 ServiceNowの金融機関向けソリューションであるFSOは、すでに海外の大手金融機関で利用されており、業務プロセスの改善において目に見える成果を上げている。鈴木氏は、2社の事例を紹介した。

 1つ目はある大手銀行の例である。同行では対顧客のタッチポイントが複数存在しており、連携が取れていなかった。新しいサービスが登場するたびに、都度新規のコミュニケーション方法が設定されてしまうため、情報の分散が止められずにいた。

 その一例が、メールによる顧客との連絡だった。問い合わせへの返信としてメールを送り、次のケースではまた新たにメールを作成して返信を繰り返していたが、従業員が個別に送るメールの履歴を行内で統合して管理することは難しく、応対を遅らせていた。

 また、顧客担当を引き継いだ場合、過去のメールの内容を理解できていないため、顧客に最初から要件を聞き直す必要が発生するなど、顧客体験も低下させていた。

 そこで、この銀行ではFSOを導入し、顧客サービスの向上と金融取引の最適化および自動化を実現した。セルフサービスも含むデジタルの顧客接点業務を強化した結果、顧客対応の履歴をすぐに検索できるようになり、業務効率と応対品質が改善。既存の業務システムと接続することで、人、システム、データが統合され、スムーズな金融サービスを提供している。同時に、顧客対応のデータを分析することでサービス品質をさらに改善している。

 「この銀行が先進的なのは、顧客との過去のやり取りを、ServiceNowのプラットフォーム上で運用する生成AIによって要約し、顧客対応の担当者に提示しているところです。それによって担当者は履歴を検索するなどの手間をかけずに、顧客の概要を理解して的確に対応できるようになりました」

 保険会社の事例もある。保険会社において、顧客の保険内容を環境変化に合わせて最適に維持する業務を「契約の保全」と呼ばれ、非常に重要な業務である。この保全業務に関する保険代理店からの問い合わせ対応が負担を増していた。やはりメールでのやり取り、スプレッドシートからの情報抽出といったマニュアル作業が頻繁に発生し、保全の対応が遅れる問題が生じていた。

 そこでFSOを導入し、保険代理店、本社の窓口、そして本社のバックオフィス業務をプラットフォーム上で一元管理して遂行する「デジタルワークフロー」を構築して、保険代理店への対応負荷を数十%削減している。エンドユーザーである保険契約者からの評判も非常に高いという。

 これらの実績が積み上がることで、FSO上のベストプラクティスはさらに拡充している。日本でも、すでに複数の銀行、保険会社などが導入に向けて検討を開始しているという。

ServiceNowの導入を担う
技術者育成も強化

 金融業界を取り巻く環境の変化に伴い、ここ数年、個別最適を脱して業務の全体を管理していかなければいけない、という機運が高まっているという。

 「既存の資産を生かしながら、最新テクノロジーによる変革を実現できるServiceNowのコンセプトが、変革を実現したい金融機関の経営者の思いに合致していることが、当社への引き合いの拡大として表れています」

 そして、FSOによって金融機関のDXを早期に立ち上げ、成果を上げる武器がそろったと言える。

 また、金融機関だけでなく、ServiceNowの導入はあらゆる業界、業種で急拡大しており、先行していたクラウドサービスと比べても、成長率は目を見張るものがある。

 企業の期待に応えるため、ServiceNow自身の体制強化も進んでいると鈴木氏は語る。

 「2024年度までに、グローバルで100万人のServiceNow技術者を育成する目標を掲げており、日本でも教育プログラムを推進しています。大学との提携や、導入パートナー企業の支援も強化しています」

 FSOをはじめとした産業別ソリューションで日本企業のDXを支援するServiceNow。鈴木氏は最後に、「ServiceNowは、経営を未来志向で考え、成長するためのデジタルプラットフォームです。変化が激しい経済環境の中、日本の産業を支える金融機関の皆様にも、ぜひご活用いただきたいです」と語った。