「時間」を生み出す
横浜市の行政サービスを支える
デジタルプラットフォームとは
スマートフォンを使って
入退館がスムーズに
一方、横浜市は、地域子育て支援拠点のシステムについても、ServiceNowのCustomer Service Management(CSM)で新システムに刷新している。
地域子育て支援拠点とは、未就学児や、その親などを利用者とする子育て支援施設だ。子どもたちが集まって遊ぶ広場があり、子育てに関する情報発信や相談、アドバイスの窓口、育児支援人材育成の場、子育てをしている人々のネットワークの場としても機能している。
さらに、横浜市は子どもの預かり合いを支援する「子育てサポートシステム」を運営している。
「親が働いている時間などに、子育て支援に理解のある会員が子どもの預かりを行う会員制の有償のささえあい活動です。地域子育て支援拠点は、預けたい会員と預かりたい会員をコーディネートする役割も果たしています」と説明するのは、横浜市こども青少年局の東 明徳氏だ。
こども青少年局 こども福祉保健部
地域子育て支援課 担当係長
東 明徳 氏
システム刷新のきっかけは、市内に18カ所ある地域子育て支援拠点の入退館手続きをもっと便利にできないか?という課題であった。
「かつては18拠点それぞれにスタンドアロン型の『受付システム』を置き、紙の入館証に印刷されたバーコードを読み取ると入館ができる仕組みでした。しかし、開館時間内に現地に行かないと各種プログラムの予約もできないといった課題があったのです」と東氏は振り返る。
紙の入館証はなくしてしまうこともあり、不便だという声もあった。
「子育てサポートシステム」でも、アナログな運用体制に不満の声が少なくなかったという。例えば、子どもを預かった会員は活動報告書を提出することになっているが、手書きで記入し、1カ月ごとにまとめて地域子育て支援拠点に提出するといった手間があった。
「そのため、最初に『受付システム』と『子育てサポートの会員管理システム』の2つのシステムの入れ替えが決まったのですが、地域子育て支援拠点の全体の業務を見直し、新たなシステムを導入し、市民サービスの向上と事務の効率化を行うことになったのです」と東氏は経緯を明かす。
ServiceNowのCSMを選定した理由は、スマートフォンを使って、いつでもどこでも各種プログラムの予約ができることや、2次元バーコードをかざすだけで入館できるという利便性が評価されたからだ。
「紙の入館証と違って、スマホなら紛失する心配は少ないですし、イベントなどの情報も拠点に行かなくても受け取ることができます。手間がかかっていた預かり合いの活動報告も、スマホに入力して送信するだけになったので、『とても楽になった』と評判です」(東氏)
各拠点の運営はNPOなどの法人に委託しているが、委託先の担当者も、紙の書類や表計算ソフトによる管理がデジタル化したことで、業務効率の改善を実感しているようだ。
地域子育て支援拠点システム
アジャイル開発に適しているので
リリース後のシステム改修も容易
予算・財務情報管理システムの刷新に関わった市川氏と、地域子育て支援拠点システムの構築に携わった東氏は、共にServiceNowの開発の柔軟性についても高く評価している。
ローコード開発に対応するServiceNowは、ユーザーの意見を反映しながら、随時修正や改良を加えていくアジャイル開発に適している。そのため、職員や市民に使い勝手の良いシステムとして作り込みながら、短期間でリリースできるのが大きな特徴だ。
実際、地域子育て支援拠点システムは、23年8月に開発をスタートし、わずか8カ月後の24年4月にはサービスを開始。しかも、「ユーザーである各拠点の運営法人に途中で何度もデモを試してもらい、いろいろな修正を加えたにもかかわらず、短期間でリリースすることができました」と東氏は語る。
アジャイルに機能を追加・修正できるServiceNowなら、リリース後のシステム改修も容易だ。財政局はその特性を生かし、刷新して間もない予算・財務情報管理システムに事業の評価機能を追加する開発を進めている。
「事業評価は、各事業を客観的指標に基づいて評価し、現年度の事業運営や次年度以降の予算編成を進める上で重要な取り組みです。前年度実績を基に評価し、その評価結果を次年度予算の要求画面に表示させ、PDCAを効果的に回せるような機能を予定しています。このように、既存の仕組みに新しい機能を比較的簡単に追加できるのも、ServiceNowの優れた点だと思います」と市川氏は語る。
「横浜DX戦略」の推進役である福田氏も、ServiceNowがアジャイル開発に適している点に期待しているようだ。
「市民の皆さんの行政サービスに対するニーズはどんどん様変わりしています。新たなニーズにスピーディに対応していくためには、ローコード開発に対応するServiceNowのようなプラットフォームが適していると思います」(福田氏)
377万人もの市民が利用するシステムの基盤は、同時大量のアクセスでも問題なく処理できる安定性の高さも必須だ。その点、「ServiceNowは高い安定性に定評があることも、選定評価の一つになりました」と福田氏は明かす。
横浜市は、業務効率改善のため、引き続き、部局間などを超えた「業務の自動化」を推進していく方針である。デジタルワークフロー機能を備えたServiceNowは、そのための基盤としても活用できそうだ。
福田氏は、「これからも、市民の皆さんと職員の『時間』を生み出すため、DXを積極的に推進していきます」と抱負を語った。
横浜市で約2年半後に旧上瀬谷通信施設で開催されるGREEN×EXPO 2027(2027年国際園芸博覧会)。
圧倒的な花と緑で来場者を迎えるとともに、私たちの生活に大きな影響をもたらす気候変動に着目した、「環共」をテーマとする日本で初めての国際博覧会である。
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