世界で戦うヨコオが選んだ第3の基幹システム
「解決したいのは人材難」
今後を見据えて幅広いソリューションを一気に導入
中山氏は、ServiceNowの勉強会で同社のソリューションの特徴を知り、既存のITマネジメントツールの何が問題だったのかを理解した。
それは、IT資産の検査や更新、各拠点から本社への連絡、脆弱性の特定など、あらゆる業務に「人」が介在しなければならない仕組みになっていたことだ。
その点、ServiceNowは、「人がやらなくてもいい仕事はすべてシステムに任せ、人にしかできない仕事に専念できるようにする」という基本思想を持っている。
セキュリティのソリューションを例に取ると、自動化されたCMDB(構成情報データベース)がすべてのIT資産の更新情報をリアルタイムに収集し、常に最新の構成情報がグループ全体で共有される。これなら、ただでさえ忙しいIT担当者を構成情報の管理に張りつかせる必要がなくなり、業務負荷も大幅に軽減されるようになるのだ。
中山氏は、「我々のような中堅メーカーは、ただでさえITの人員が限られており、社会的なIT人材不足の流れから今後も十分に人材確保ができる見通しは厳しい。少ない人数でも、業界や取引先の厳しい要求に応えられるように脆弱性対策を強化し、なおかつ担当者の業務負荷を抑え人材の量に頼らず対応できるようにするためには、『人』の介在を最小化できるServiceNowのソリューションを導入するのが最も合理的だと判断しました」と語る。
ビジネスの売上が伸びている中で、売上が伸びたからといって同じように人を採用することは、この人材不足の時代では非常に難しい。「人手に頼らずに効率化する手段は何か」と考えたときに、予算の関係からいったんは不採用としたが、省力化や省人化のメリットを考えれば、ServiceNowは十分に見合った投資であると考え直したのだ。
こうしてヨコオは、2023年にServiceNowの導入を決定。
セキュリティ脆弱性対応の高度化とそれを支える構成管理というプロジェクトの目的に沿って、ITサービス管理のためのIT Service Management(ITSM)、自動化されたCMDBを基にIT環境を可視化するIT Operations Management(ITOM)、脅威と脆弱性の管理と対応を簡素化・自動化するSecurity Operations(SecOps)、IT資産のライフサイクルを管理するIT Asset Management(ITAM)の4つのソリューションを導入した。
幅広いソリューションを一気に導入したのは、今後、セキュリティ脆弱性対応以外にもServiceNowの活用の幅を広げていくためだ。
角田氏は、「人手が不足しているのは、IT部門ばかりではありません。当社の事業と業績は順調に拡大しており、それに伴い、あらゆる部門で人手が足りなくなっています。そんな状況でも、『人』の介在を減らせるServiceNowのソリューションを活用すれば、持続的な成長が可能になると判断して一気に導入しました」と説明する。
サービスデスクの統合にも
ServiceNowを活用
ServiceNowによる構成管理とセキュリティ脆弱性対応の高度化のための仕組みは、2024年10月に本稼働した。グループ全体の構成情報がリアルタイムに自動収集・更新される環境が整ったことに、中山氏は非常に満足しているようだ。
「かつては脆弱性を持つハードウェアやソフトウェアを調べ上げるのに相当な時間がかかっていましたが、今では10分程度で特定し担当部署へ対応指示を行うことができます。おかげで新たな脅威が発生しても、速やかな処置が打てるようになりました。今後は担当部署への対応指示と対応進捗の確認も自動化してゆきます」(中山氏)
ヨコオでは、ServiceNowを使ったもう1つのプロジェクトとして、社内サービスに関するサービスデスク統合も進めている。
「現運用では、1つの案件でも、問い合わせはITサービスマネジメントツール、一次窓口と部門担当者との連絡手段は社内チャット、ワークフローも個別ツールと、別々のツールを行ったり来たりしながらやり取りを行っています。ServiceNowを使えば、これらすべてをServiceNowで行えることが期待でき、実現できれば、依頼者と担当者、双方の負担が大幅に軽減されるはずです」と語るのは、プロジェクトを担当する経営企画本部 YGSD 兼 経営企画室 課長の野本敬子氏である。
経営企画本部
YGSD 兼 経営企画室
課長
野本 敬子 氏
とくに、問い合わせをする従業員からは、ITサービスマネジメントツール上でのやり取りではなく、毎日使い、通知が分かりやすい社内チャットでのやり取りを希望する声が多いという。
そのため、現在、社内チャットとServiceNowのIT Service Managementの連携作業を進めており、2025年春ごろには完成する予定だ。
社内チャットとServiceNowの連携後は、ITのサービスデスクを基盤にグローバルでのサービスデスク展開をServiceNowで実現したいと考えている。
中山氏は、「将来的には、社内のあらゆる業務の入り口をServiceNowにして、社員の仕事がすべて1つの画面で完結できるような環境を整えたいと思っています。社員がERPやPLMと並ぶ“第3の基幹システム”としてServiceNowを活用し、業務の効率化や生産性向上に繋がるようにしたい」と語る。
最後に角田氏は、「ROIC経営を実践するためにもServiceNowを積極活用していきたいと考えています。事業やプロジェクトごとに最適なリソース配分を行い、それに対する適切なフォローアップも行いたいと考えています。今後も、ServiceNowの多彩なソリューションを戦略的に使い分けながら、成長を追求してゆきます」と抱負を語った。