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切っても切れない早期戦力化と
組織社会化の関係

近年は「早期戦力化」との言葉が一般化しつつある。文字通り、新入社員が一刻も早く戦力となることを意味するが、一足飛びに実現はできないと樋口氏は話す。

「マイナビの調査では上司と部下との間で、仕事に対するスタンス、コミュニケーションの取り方、助言・協力体制の質や頻度について大きな認識のズレがあることがわかりました。また世代間で仕事に対する価値観の違いがあり、管理職は『熱意』『真摯さ』、20代前半の社員は『楽しさ』『ワクワク感』を重視する傾向があります。そこで私たちが着目しているのが、組織に馴染むプロセスを指す組織社会化です。新入社員が組織の文化、上司の考え方、それに伴うパフォーマンスの期待値を理解して職場に慣れ親しんでいけば、自ずと組織社会化が進んで早期戦力化につながるはずです」(樋口氏)

<調査概要>
・調査主体 株式会社マイナビ
・調査期間/2024/2/9~2024/2/22
・調査方法/Webアンケート
・調査対象/上場および非上場企業の人事責任者・担当者
・有効回答数/277件

株式会社マイナビ
教育研修事業部
営業統括部
統括部長
樋口 友美 氏

もう1つのポイントが、心理的安全性である。自由に意見を提案し、ミスを恐れずチャレンジできる――こうしたストレスのない環境が、新入社員のポテンシャルを引き出すからだ。加えてエンゲージメント向上をもたらし、組織そのものを強くする効果もある。「早期戦力化は、いかに早い段階で主体的に仕事に臨むプロアクティブ行動へと導けるかが鍵を握ります。しっかりと部下との関係性を構築し、心理的安全性を担保してほしい」と樋口氏はアドバイスする。

株式会社マイナビ
教育研修事業部
営業統括部
統括部長
樋口 友美 氏

では新人が育ち、いよいよこれからという矢先に襲ってくる「3年3割」問題に関してはどう対処すればいいのか。樋口氏は、「組織に馴染めないまま辞めていくネガティブパターン、一定の評価で自信をつけて次のフィールドに挑戦するポジティブパターンに2極化しています」と指摘し、次のように続ける。

「企業からすればネガティブ、ポジティブ問わず離職してほしくありません。問題を乗り越えるためにも、まずは一次評価者である直属の上司が適切に機能することが前提になってきます。だからこそ、今後はますます管理職の強化が必要だと考えています」(樋口氏)

変化する管理職の役割、
エンパワーメントしながら組織運営を推進

一昔前の管理職に与えられた役割は、業務と人の管理が2本柱だった。しかし、それだけに専念する状況ではなくなったと樋口氏は説明する。

「管理職の役割は多様化しています。現場に精通していてマネジメントもできて、場合によっては自分の主管を超えた組織開発にも携わる“総合的な力”を備えておくことが求められています。また、管理職自身のキャリアを考えても、現在の部署で求められる専門性以外の領域にも挑戦できる万能性のあるスーパージェネラリストのようなリーダーが理想となってきました」(樋口氏)

ただしやるべきことが増えている中で、すべてのタスクを完全にクリアし続けていくことはあまりにも難しい。現実的にはパンクしてしまうため、自分を支えてくれるフォロワーの層を厚くしていかねばならない。「管理職がマルチになることを求められているので、エンパワーメント(権限委譲)によって若手のフォロワーがタスクを補完する。つまり、役割を循環させていくことが重要なのです」と樋口氏は語る。

タレントマネジメントシステムやサーベイツールの普及により、業務や人の管理に関してはデジタルを活用した効率化が可能になった。ここでの分析を活用しながら部下が能力を発揮しやすい柔軟な組織づくりをいかに実現できるかがこれからの管理職に求められる能力だといえるだろう。

「管理職のマインドセットが変わり、役割の循環が上手く回るようになれば活力に満ちた組織になると思います。一方、マインドセットを変えるためにはじっくりとそこに向き合う時間を作るしかありません。マイナビでは若年層の傾向を踏まえた管理職研修プログラムも提供しており、具体的なアプローチを教えています。例えば部下との関係性を加速させる1on1スキルの習得・向上を目的とした研修では、単なるテクニックの習得ではなく、現場の実態をリアルに落とし込めるような学習カリキュラムと手法が特徴です。部下それぞれのスタイルにより、アプローチの仕方なども変わるため、自身の組織と重ね合わせながら研修で学び、それらを自らの組織に最適化させることで、最終的に『円滑な組織運営』につながります」(樋口氏)

圧倒的なリアリティで
解決策の解像度を高める

マイナビが提供する特徴的な研修「ムビケーション」は、「Movie」「Education」「Simulation」の3つの言葉を融合したコンセプトで、主観カメラ形式の映像を活用して本物に近い職場空間を再現。参加者があたかも映像内の主人公として、起こりえる様々な出来事に対処していく体験ができるビジネスシミュレーション研修として好評を博している。

「この学習スタイルでは、映像内で登場する人たちの会話を視覚・聴覚情報で読みとることで、相手のペルソナに基づいてどのようなコミュニケーションを取ることが有効であるかを考えることができます。また、1日の仕事の流れに沿ってオフィス内で起きるさまざまな出来事やトラブルを疑似体験し、グループでディスカッションしながら課題の解決に取り組みます」(樋口氏)

管理職研修をムビケーションスタイルで行う場合は、一般的に管理職が陥りやすいシチュエーションを再現する。まずは練習問題として課題の解決に取り組む。その後自社の状況に基づいた具体的な議論へと移行するのが基本的な研修の流れだ。特に40〜50代の管理職は映像による研修を新鮮に感じる傾向が強く、研修後の行動変容や効果が明確に現れるという。

「従来の研修よりも圧倒的に集中できるとの評価をいただいています。それから、自身の仕事での“クセ”が見えやすいとの声も多いですね。なぜなら、無意識のうちに自分がマネジメントの中で行なってきたことが浮かび上がるからです。ロールプレイング研修だと役割を演じてしまいますが、ムビケーションでは自然体の自分が出せるので、これまでわからなかったことに気づきやすいメリットがあります」(樋口氏)

なおムビケーションは管理職だけではなく、「新入社員・若手社員・中堅社員・OJTトレーナー・評価者」など対象階層も豊富にそろえている。

組織開発や人材育成に悩む企業は多いが、樋口氏は「やみくもに研修を行う前に、問題や課題を1つ1つの事象に細かく分解していき、なぜやるのか、目指すべき姿とそれに向けて何をやるのか、どのようにやるのかを設計したうえで研修を行なってほしい。そういった取り組みの積み重ねが、おのずと組織力の向上に寄与し、『この会社で働いていて良かった』と熱意や活力を持った従業員があふれる組織に繋がっていくでしょう」と締めくくった。

組織運営はますます高度化・複雑化しているが、ムビケーションのように実践型で学んだマネジメントは現場に反映しやすいに違いない。不確実性の高い現代の組織開発には、組織運営の要である管理職の能力強化が、より強く求められてくるであろう。

株式会社マイナビ
教育研修事業部「マイナビ研修サービス」