
富士電機ITソリューション
2023/3/24
電帳法への対応が進まない要因として、まず第一に挙げられるのは、ただ電子取引データを保存すれば済むという話ではなく、一定の要件を満たしたうえで保存しなければならないという点である。
「電帳法で保存義務が規定されている電子取引データは、データの真正性を確保するため、タイムスタンプを付与や、訂正・削除を記録、または禁止する規程を作成し運用するなどいずれかの措置を行う必要があります。法改正を重ねるたびに要件は緩和されていますが、それでも『面倒だ』とか『システムの導入に費用がかかる』といった先入観は根強く、対応の遅れにつながっているのだと思われます」と袖山氏は語る。
様々な企業に業務改善を提案している富士電機ITソリューションの織戸誠氏も、「準備が進んでいない理由として、お客さまからは、『どの範囲の帳簿や書類を電子保存すればいいのか、皆目見当がつかない』という話をよく耳にします。税務調査の対象となる国税関係の帳簿や書類は、請求書、領収書だけでなく、見積書や納品書、検収書、さらに契約書まで非常に多岐にわたるからです」と、現場の混乱を説明する。

一方、電子帳簿保存制度が導入され、電帳法が施行された25年前(1998年)に比べれば、電帳法で規定されている国税関係帳簿書類や電子取引データの保存要件はかなり緩和されていると言える。「そもそも電帳法は、日本企業の“業務のデジタル化”を促進させるために制定された法律です。真実性を確保するための厳しい要件によって、企業のデジタル化が阻害されないように、これまでも数度にわたり規制緩和されてきました。電子取引データをデータのままで保存することが完全義務化されたことによって、電子取引データの法令対応のみを検討するのではなく、企業はこれをチャンスととらえ、“業務のデジタル化”を加速させるべきではないでしょうか」(袖山氏)。
その“追い風”になりそうなのが、インボイス制度の導入だ。制度の活用を促すため、国は紙よりも発行や活用が容易な「電子インボイス」の発行を推奨している。2022年11月には、業種や業務を問わず、あらゆるシステムにデータを活用できる「電子インボイス」の標準化されたフォーマットの仕様も決定され、デジタルインボイスのシステムの活用によるDX化も期待される。
「業種や規模に関係なく標準化された『デジタルインボイス』のデータを活用すれば、会計システムでの自動仕訳だけでなく、システムの対応によっては、自動振込処理や入金先の自動消込処理により“経理業務のデジタル化”が実現します。単に電子データを保存するだけでなく、それを活用することで、業務効率化や生産性の向上などが可能となります。そう考えると、インボイス制度が導入される2023年は、日本の“デジタル化元年”になるかもしれません」(袖山氏)
また、織戸氏も、「改正電帳法やインボイス制度への対応は、DX(デジタルトランスフォーメーション)のチャンスととらえるべきです」と語る。
冒頭で指摘したように、電子保存が必要となる国税関係の帳簿・書類は多岐にわたる。「しかも、請求書や領収書は経理が、見積書や納品書は営業が発行するので、データは部門ごとに管理されてしまっています。これを1つにまとめ上げれば、税務調査に適切に対応できるだけでなく、全社的なデータ活用が実現するのです」(織戸氏)。
とはいえ、部門ごとに構築されたシステムを一元化するのには時間も費用もかかる。そこで袖山氏が提案するのが、「ワークフロー」と「文書管理システム」の活用である。
「税務調査では、実際にどのような取引が行われたのかを“取引の流れ”に沿って確認します。請求書や領収書だけではその取引がどのような過程で行われたかは判断できないため、納品書や検収書、契約書も併せて確認することがあります。『文書管理システム』を使えば、部門ごとに管理されているこれらの書類を取引ごとに関連付けできるので、税務調査にも適切に対応できます。しかも、部門間のデータ共有が進むので、全社的な業務効率化やガバナンスの強化がされるわけです」(袖山氏)
袖山氏が“理想の仕組み”として提唱するのは、あらゆる部門が作成、または取引先・得意先から受領した書類が、「ワークフロー」による承認プロセスを経て、「文書管理システム」に保存される仕組みだ。これによって、単にデータをまとめ上げるだけでなく、ガバナンスを利かせた文書管理が実現する。
この仕組みづくりに有効なのが、富士電機ITソリューションが提案する「ExchangeUSEワークフロー」である。同社は1998年に最初のワークフロー製品をリリースして以来、25年にわたってその技術に磨きを掛け、時代ごとのニーズを汲み取りながらバージョンアップを重ねてきた。
「ExchangeUSEワークフロー」の最大の特徴は、旅費精算、経費精算、勤怠管理などの「業務パッケージ」に加え、ユーザーが業務ごとの申請フォームを独自に作成できる「フリースタイル申請」を用意していること。さらに、他のシステムやアプリケーションに申請フローを連携させることも可能。つまり、これを使えば、社内のあらゆるシステムで作成された書類が、承認プロセスを経て「文書管理システム」に保存できるようになるのだ。
「『ExchangeUSEワークフロー』はコンテンツクラウド『Box』ともBox連携オプションで連携できるようになっており、『Box』を文書管理システムとして利用することが可能です。また、会計システムに接続させて書類のデータを自動仕訳することもできます。電帳法の要件対応に必要なタイムスタンプ付与や書類の履歴管理などの要件を満たした『電帳法対応オプション』も用意しています」と織戸氏は説明する。
袖山氏は、「単純に法制度対応された経費精算システムを導入するだけなら安上りに早く実現できるはずです。しかし、法制度への対応だけでなく、“業務のデジタル化”を加速させるためには『ワークフロー』と『文書管理システム』が連携したデジタル活用と、業務効率を考慮したシステム導入をしっかりと検討する必要があるのではないでしょうか」とアドバイスした。