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世界のCFO調査から見えてきた財務AI活用 「活用したいが不安」という壁を乗り越える

世界のCFO調査から見えてきた財務AI活用 
「活用したいが不安」という壁を乗り越える

キリバ・ジャパン

2025/11/21

96%がAI活用を重視。課題はデータセキュリティとの兼ね合い

 「AIが財務変革で果たす役割」に関する調査は、米Kyriba(キリバ)が実施した。サンディエゴに本社を置く同社は2000年の設立以降、クラウド型の財務管理システム「トレジャリー・マネジメント・システム(以下、TMS)」のリーディングカンパニーとして成長してきた。

 同社は現在、グローバルに約3000社、日本でも大手企業を中心に約100社に、セキュアかつスケーラブルな財務に特化したSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)ソリューションを提供している。

 調査結果は興味深い内容となった。CFOの96%がAIの統合を優先しており、効率化や戦略的計画、意思決定の高度化といった大きなメリットに期待を寄せている。これを受け、キリバ・ジャパン マネージングディレクターの大津陽子氏はこう指摘する。

 「効率や生産性を上げ、将来に備えるためにもAIの活用は必須ですが、期待することは定型業務の自動化だけではありません。今回の調査では、自動化を重視しているCFOはわずか8%。それよりもリスク管理や戦略立案、意思決定の精度向上にAIを活用したいという声が上回っていました」

 一方、ほとんどのCFOがAIの必要性を実感する半面、76%がセキュリティとプライバシーへの懸念を示した。そこには、財務部門に顕著な「正確性とデータセキュリティに対する強い意識」があると大津氏は述べる。

 「この傾向は世界共通です。すでに活用している企業もありますが、やはり最大の懸念はセキュリティとプライバシーリスクです。財務やCFOが統括する領域では、法規制の順守やデータ漏洩防止、株主への説明責任など正確性を担保することが非常に重要だからです。AIを導入する際には、信頼をどこまで確保できるかが大きな課題になっています」

セキュリティとプライバシーへの懸念は世界共通。組織全体に関わる重要課題とみなされている
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セキュリティとプライバシーへの懸念は世界共通。組織全体に関わる重要課題とみなされている

「信頼のギャップ」を乗り越えるAIとは?

 以上の調査結果に見られるように、現状ではAIに対するイノベーションへの期待とセキュリティリスクへの不安が混在している。その状況をキリバでは「信頼のギャップ」と表現する。これを乗り越えるには透明性とセキュリティを両立する「信頼できるAI」の導入が必要となる。

 「多くのAIシステムはブラックボックスで、処理過程を説明することが困難です。そこで、キリバでは信頼のギャップを埋めるため、独自のAIを提供しています。鍵となるのは正確なデータです。

 私たちは世界中の銀行や企業のERP(統合基幹業務システム)と直接接続し、正確でクリーンなデータを取得する仕組みを長年にわたって構築してきました。扱うデータは信頼性が高く、企業の正真正銘の一次情報です。この基盤の上に、予測、照合、不正検知などのAIを統合しています」(大津氏)

大津 陽子 氏
大津 陽子 氏
キリバ・ジャパン マネージングダイレクター

 AIが普及した未来はどうなるのか。調査では、53%のCFOが「AIの導入によって自らの役割が大きく変わる」と回答した。従来はコンプライアンスや報告などが中心だったが、今後は経営陣と一体化した戦略的アドバイザーの役割が加速すると見ている。

 だが日本では少し事情が異なるという。「従業員による受け止め方の違い」と「DXの遅れ」がAIの導入を阻んでいる。これらが「日本はAIに慎重」といわれるゆえんでもあるが、大津氏は業務効率化によって果実を得られれば、自ずと浸透するのではないかと予想している。

 「日本らしい特徴として『一生懸命取り組む』という価値観があります。自分が懸命に取り組んできた仕事がAIに置き換わるとなると、『自分の価値はどこにあるのか』と不安に感じる従業員も多いのです。加えて日本の財務部門は欧米に比べて人員が少なく、多岐にわたる業務を少人数でこなしています。本来は重要な役割を担っているのにエクセルでの複雑なデータ集計に追われ、戦略立案より定型業務に時間を取られてしまうのです。

 だからこそAIで業務を効率化して、創出した時間で新しい課題に挑戦できるという前向きな意識を共有し、理解を得ることが日本企業にとってポイントになると考えています」(大津氏)

エージェント型AIが財務戦略の“相棒”になる

 キリバのTMSは進化を続けている。2025年5月には、エージェント型AI「TAI」の提供を開始した。自社開発のLLM(大規模言語モデル)と、大津氏が前述したように20年以上蓄積してきたグローバルでの流動性データを組み合わせたのが特徴だ。これにより、さらなる財務の変革とともに、信頼性の高い意思決定支援が可能になるとする。

 「財務の領域は資金や流動性の管理、支払い、借り入れ、為替管理といった取引に加えて、リスクマネジメントや運転資本の管理など非常に広く、扱うデータも膨大です。銀行口座だけでも数百件にのぼり、さらに予実管理や負債、債権など多種多様な情報があります。これらをまとめ、どこに何があるのかを把握するのも一苦労です。

 そこで登場したのがエージェント型AIです。例えば銀行との打ち合わせ前に『この銀行との取引状況は?』とAIに聞けば、関連データを瞬時に整理して表示してくれます。これは、定型業務の効率化にすぐに役立つ活用法と言えますが、これにとどまらず、戦略立案などより高度な財務判断を支援する存在として活用できます。もちろん日本語にも対応しています」(大津氏)

戦略計画、投資分析といった高度な業務でのAI活用に期待が高まっている
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戦略計画、投資分析といった高度な業務でのAI活用に期待が高まっている

 刻々と情勢が変化している現在、企業にとって「次の一手」をすぐに打てるかどうかが勝負の分かれ目になる。TMSを活用すれば、過去のデータを基にした予測や、AIによる将来の見通しを知ることもでき、次の行動のヒントをひと足早く得られるというわけだ。大津氏は「定型業務の変革もそうですが、財務戦略を立て、次のアクションを起こす際の“相棒”として、ぜひAIを活用してください」と力強く結んだ。

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