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DXの「手探り」状態を脱却するには  AI・データ活用の最新事例に見る成功の秘訣

DXの「手探り」状態を脱却するには 
AI・データ活用の最新事例に見る成功の秘訣

NEC

2024/3/26

歩留まり改善・故障予測・人材の適正配置などで大きな成果

 NECが提供しているデータ分析を自動化するAIソリューション「dotData」は、特徴量自動設計により、データからビジネス課題の解決につながるインサイトと高度な未来予測を導くことができる。これにより、高度な専門スキルを持つデータサイエンティストだけでなく、事業部門の現場担当者主導によるデータ利活用が可能になる。全社を挙げてデータの利活用に取り組みたい、データ活用人材の裾野を広げたい、そう考える企業から高く評価されており、業界・業種に限らず幅広い企業で利用されている。

 それらの事例の中から、まず製造業におけるdotDataの活用例を見ていこう。

データ活用機運が高まる製造業。様々な分野で活用が進む

村松 孝浩氏
村松 孝浩氏
NEC データドリブンDX統括部 上席インダストリーコンサルタント

【1】歩留まり改善・設備不具合予兆
 「様々なセンサーのコストが下がったことで、製造業は、以前より多くのデータを蓄積しています。そのデータを活用したいという機運が高まっています」とNECの村松 孝浩氏は言う。

 製造業の業務プロセスは、大きくSCM(Supply Chain Management)とECM(Engineering Chain Management)の領域に分けられる。2つの領域の様々な業務でデータが活用されている。品質管理もその1つだ。「不良品発生の原因がどの製造工程にあるのか、製造パラメーターなのか、環境条件なのか、あるいは、さらに上流の設計に起因しているのか、データを分析して突き止め、対処し、歩留まりを向上させる取り組みを進めています」と村松氏は紹介する。

 原因が設備にあった場合は、さらに設備トラブルの原因を突き止めるためにデータを活用し、製造物の品質管理の強化だけでなく、生産設備の稼働率を上げるという取り組みも進んでいる。

【2】設計・開発・生産条件探索
 製品の設計・開発ならびに生産プロセスで注目したいのが最適な条件の探索である。どのような取り組みかは、実際の事例を通じて紹介しよう。

 タイヤメーカーの横浜ゴムは、設計や製造を通じて得られる多様なデータとdotDataを活用して、タイヤの性能改善に取り組んでいる。「転がり抵抗や制動性など、タイヤには性能を示す様々な項目と数値があります。どのような材料を、どのように配合し、どのような条件で製造すると、どのような性能になるか。横浜ゴム様はdotDataを活用して、最適な製造条件を探索しています」(村松氏)。

 ここで注目したいのが、dotDataを利用した逆問題解析という方法だ。

 例えば、材料開発において、何十種類にもなる材料をどのように配合すれば目標とする特性が得られるかを探索するかは、文字通り無数ある。そのため、まず過去に行った実験や試作品製造の条件データ(x1,x2,x3,,,)を用いて目標性能・品質であるyを決定するAIモデル(機械学習モデル)をdotDataでスピーディーに策定する。この解析は、順問題というが、この順問題として策定したAIモデルを利用して、目標性能・品質yを得るために必要なx1,x2,x3,,,の条件を逆から探索するのが逆問題解析である。

 「『このスペックを備えた製品を開発してほしい』という依頼を受けた場合などに有効なアプローチです。人の経験とノウハウにdotDataの探索力を組み合わせることで、求めるスペックを実現する配合や製造条件を効率的に探索できます。製品開発リードタイムの短縮に貢献します」と村松氏は強調する。製品ライフサイクルが短期化している現在において、モノづくりの設計・開発・生産の現場で逆問題解析が有効な場面は、非常に多い。

 NECは、逆問題解析を行うためのdotDataを使った分析テンプレートを提供しているが、ほかにも「製造品質悪化の要因探索」テンプレートも開発・提供している(図1)。このテンプレートを用いれば、少し理解するのが難しいAIの専門知識や、データの取り扱いの煩雑さを意識することなく、BIのような直感的な操作により品質悪化ポイントの可視化と、その発生要因の深い分析結果を確認できる。

図1●製造業向け「製造品質悪化の要因探索」のための分析テンプレートイメージ
図1●製造業向け「製造品質悪化の要因探索」のための分析テンプレートイメージ
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難しいAIの専門知識などを意識することなく、直感的な操作で品質悪化ポイントの可視化、発生要因の分析結果の確認が行える

【3】故障予測/需要予測
 JALエンジニアリングは、航空機のフライトデータや整備データといった膨大かつ多様なデータをdotDataで分析し、航空機の故障予知を行っている。従来、不具合発生予兆の仮説を立てるのが難しかった電気系統のトラブル予知で新しい発見があったという。不具合の予兆となりうるパターンを発見・抽出することで、これまで人の経験に頼った手法では得られなかった不具合の予兆を検知することができるようになり、故障予測の強化につなげている。

 ほかの企業でも、製品の需要予測を行って在庫管理、生産計画、輸送計画の精度を高めたり、過去の商談データを分析して営業の成約率を高めたり、様々な業務・領域でdotDataが活用され、データ活用を成功させている。

【4】人材育成
 三菱電機ビルソリューションズは、dotDataとその使いこなしを支援するNECの伴走型サポート「DX人材育成サービス」を活用している。

 データの利活用は、取り組みを開始する段階では、見込めるリターンの把握が難しいとされているが、三菱電機ビルソリューションズも、長年ROI(投資利益率)が、データ利活用の障壁となっていた。そこで同社はdotDataとDX人材育成サービスによって、その障壁をクリア。現在、全社を挙げたデータ利活用プロジェクトも進めており、データ利活用スキル習得のための人材育成、データ利活用文化の醸成に取り組んでいる。こういった取り組みは段ボール・板紙・包装のリーディングカンパニーであるレンゴーや、物流、商事を中心に事業を展開するセンコーグループホールディングスでも進んでいる。

クーポンをパーソナライズして購入率を12倍に

 dotDataを活用する小売/サービス業も多い。「原料高による利益率の低下、店舗での働く人の不足などの影響が深刻です。それを克服するために、データを活用して自社の顧客のLTVを向上し、店舗の利益を最大化する機運が高まっています」と村松氏は言う。

【1】ロイヤルカスタマーの育成
 POSデータやポイントプログラムの会員データのように、小売/サービス業は、データ活用が全く進んでいなかった分野ではない。「しかしながら、ほとんどは過去実績を様々な視点で集計したり、売上トレンドや昨対比を見たりするBI的な分析にとどまっており、AIによるデータ分析を活用すれば、より大きな成果につなげられる領域はまだ多い」と村松氏は分析する。

 例えば、dotDataによって未来を予測し、先手を打つ取り組みだ。ロイヤルカスタマーを育成するために、自社の会員のうち、どんな購買傾向にある人はランクが上がりやすいかを分析し、ランクが上がりそうな会員に対しマーケティング施策を実施し、ロイヤリティランクアップの後押しを行うといったデータ活用である。

 具体的な事例としてはローソンの取り組みが印象的だ。

 ローソンは、dotDataを用いてローソンの会員の価値観と対象商品の購買との関係を分析し、その分析結果からデザイナーが各会員の価値観に最適化されたレシート・クーポンのデザインを複数作成。dotDataから出力された予測スコアに基づいて、約20万人の会員からターゲティングリストを抽出し、それぞれのリストに最適化されたデザインに基づいたレシート・クーポンを配信した。

 「新商品であることをアピールする、お得感を強調するなど、同じ商品のクーポンでもお客様によって内容やデザインが異なります。この取り組みは『追跡型広告』として新聞などのメディアで紹介されました。お客様に応じてクーポンのメッセージを変えた結果、購入率が12倍になりました」村松氏は話す。

 このようなロイヤルカスタマー戦略を支援するために、NECは使いやすいダッシュボードとdotDataを組み合わせた顧客育成のための分析テンプレートも用意している(図2)。「分析ソフトなどの使いこなしが苦手な現場の方でも、目的の分析が数クリックで行えるように工夫しています」(村松氏)。

図2●顧客育成のための分析テンプレートイメージ
図2●顧客育成のための分析テンプレートイメージ
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小売/サービス業にとって重要な取り組みとなるロイヤルカスタマー戦略。テンプレートを利用すれば、店舗スタッフなど現場を巻き込んだ取り組みが可能になる

【2】店舗スタッフの最適配置
 特に小売業にまつわる仕事は、スキルや知識を必要とする業務が多くあり、人材確保がより一層難しくなっている。そこで、dotDataを活用して人手不足に対応している企業もある。各店舗の実績データに加えて、天気や周辺施設といった外部データも合わせて分析し、翌月の来店客数を予測。それを基に店舗スタッフの最適なシフトを組という取り組みである。

 また商品の販売数を高精度に予測することで、「商品発注業務の自動化、日配品の廃棄ロス削減、グロッサリーの機会ロス削減を強化したいという声が高まっており、特に多くの種類の商品を扱う業態では深刻な課題である」と村松氏は言う。

 以上、製造業、小売/サービス業におけるデータ活用事例を紹介した。どの事例にも共通しているのは、AIを活用しようという漠然とした動機ではなく、解決したい課題がはっきりとあること。課題を起点に、その課題を解決する最適解がデータ活用かどうかを考える。それがデータ活用を成功に導く、最初の一歩といえそうだ。

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