PR

脱ファクス DXのボトルネック、どう解消? 花王グループに学ぶ、取引先とのペーパーレス推進法

脱ファクス DXのボトルネック、どう解消? 
花王グループに学ぶ、取引先とのペーパーレス推進法

ユーザックシステム

2024/2/29

取引の1割がいまだファクス、完全電子化は「いばらの道」?

 花王グループカスタマーマーケティング(以下、KCMK)は、花王グループのメーカー販売機能と卸売機能を一体化し、小売業と直接取引を行っている。それだけに小売業のニーズを直接把握できるのが特徴だ。同社 カスタマートレードセンター 受注開発グループ シニアリーダーの水上直樹氏は、受注業務の現状について次のように語る。

 「現在、大手企業とはEOS(Electronic Ordering System、電子受発注システム)が中心で、EOS取引が約9割を占めます。残りの1割が中小規模の取引先となりますが、取引数ではこちらのほうが圧倒的に多く、しかもほぼ100%がいまだにファクス受注です。EOSは高額なコストがかかるため、なかなか踏み切れない現実があるからです」

水上 直樹 氏
水上 直樹 氏
花王グループカスタマーマーケティング株式会社 カスタマートレードセンター 受注開発グループ シニアリーダー

 KCMKがファクス受注で抱えていたのは、まさに先に挙げたような課題だった。文字が判読できずに解析に時間がかかり、入力ミスはどうしても避けられない状況にあった。中には取引先独自の発注書でのオーダーもあり、商品名で判断せざるを得ないケースも少なくないという。

 「ファクスを受け取って解析し、入力するまでには最低でも数分間はかかります。それがたとえ1アイテムでも同じステップを踏まなくてはなりません。化粧品のようにSKU(在庫管理上の最小の品目数単位)が多いときなどは1時間ぐらいかかることもあります。メールに発注書を添付する方法も増えていますが、これも結局はデータの転記が必要です。結果的に解析に慣れたスタッフに負荷が集中し、属人的なアナログ作業から抜け出せないことが大きな課題となっていました」(水上氏)

 このままファクスを主体とした受発注業務を続けることは取引先、自社ともに疲弊すると考えた水上氏はPCやスマホによるデジタル化を模索。そこで、自社商品に印刷しているバーコードに着目した。

 「現場にも普及している身近なデジタル機器でバーコードをスキャンして発注できるのであれば、商品の選定も含めて業務効率化が可能になります。我々が最も重視していたのはファクスからの切り替えで取引先に負担をかけないこと。ですからシンプルでわかりやすいツールで、なおかつ発注に特化した仕組みに絞ってサービスを検討しました」(水上氏)

簡単な発注業務と迅速・正確な受注業務を両立

 その結果、業務用スマホアプリの「Pittaly(ピッタリー)」にたどり着いた。東京のITシステム会社、ユーザックシステムが提供していたツールで、スマホの標準カメラでバーコードを読み取るだけで商品発注が可能。まさにKCMKが求めているツールに近かったが、よりパワーアップしたバージョンを望んだ水上氏はユーザックシステムに共同開発を申し出た。

 「我々の取引にフォーカスした発注機能をPittalyに加えていただきたいと思い、月に1度ないしは2度のミーティングを開いて意見を交換しながら開発を進めました。花王グループが取り扱う商品は幅広く、飲料などは箱単位なのですが、逆に化粧品は単価が高いこともあってバラで個別に発注いただくことが大半です。単位を間違えると1個頼んだのに1箱届くということになりかねません。そのため数量の間違いを防ぐために商品によって箱なのか個別なのか、もしくは両方選択できるようにするなど、数量を制御できる機能を付加したいと要望しました」(水上氏)

 こうして機能を増強したPittalyは2023年10月からKCMKで試験導入された。当初は都市部を中心に化粧品部門10店舗程度のパイロット導入を想定していたが、社内説明会を開いたところ各地から「ぜひ導入したい」との声が殺到。わずか2カ月で全国250店舗にまで採用が広がった。「UIやUXも使いやすさにこだわったので、スマホアプリを使っているのと同じ感覚で利用できます。取引先からは『こんな発注アプリを待っていた』と好評です。弊社の要望をすべて採り入れてくれたユーザックシステムには非常に感謝しています」と水上氏は話す。

 さらにPittalyはクラウドサービスの「Pittalyクラウド」と組み合わせることで、受注データを一元管理できる。バーコードスキャンおよび発注数量登録、商品一覧からの発注データ登録、商品名、分類、名前順、単価順による検索など豊富な機能を備え、メーカーの受注業務効率化に貢献。アプリとクラウドの連携により、簡単な発注業務と迅速・正確な受注業務の両立を実現する。

 「長年悩まされていたファクス問題から解放されつつあるのは大きな成果です。発注側はバーコードをスマホでスキャンするだけで発注が完了しますし、KCMKの営業メンバーに技術的な知識がなくても取引先に説明できるのも利点です。受注する我々はダッシュボードでデータを一元的に管理できるので、2カ月間の試験導入で受発注業務のミスをゼロに抑えることができました」(水上氏)

共創しながら流通DXを成し遂げたい

 実績を積み上げたこともあり、2024年1月からは家庭用品に拡大して導入を進める。ユーザックシステムではKCMKとの協業モデルをベースに、アプリとクラウドの融合版を「Pittaly Order(ピッタリーオーダー)」の名称で新たに展開した。発注側はアプリを無料で利用でき、システム利用料は受注側のみに発生するが、通常のEOSと比較すれば安価な導入・運用が可能だ。

 一方で顕在化した課題もある。業務用スマホの普及が進んでいるとはいえ、すべての取引先が従業員に配布しているわけではない。発注業務はパートやアルバイトが多いために、担当者が業務用スマホを持っていない現実が見えてきたのだ。

 「解決策としては、現場の共用PCで代替するプランを考えています。Pittaly OrderのPC版があれば、なるべく取りこぼさずにデジタル化できますから。外付けのバーコードスキャナーで取り込んだり、JANコードを入力したりする手間はありますが、それでも取引先からはPC対応してほしいとのオファーが来ています。そのためユーザックシステムに依頼してPC版を開発していただいているところです」(水上氏)

 こうした全方位型の施策により、KCMKは取引先とのDXを加速していく構えだ。アナログ業務効率化は顧客満足度、従業員満足度、生産性の向上などさまざまなメリットをもたらす。それらの期待を踏まえ、水上氏は今後の展望についてこう語った。

 「経済産業省が流通DXを推進していることからもわかるように、我々の業務にとってデジタル化は避けては通れない取り組みです。Pittaly Orderはそぎ落とした機能のみを搭載していますが、従来の発注端末の代替と考えれば現時点ではベストに近いと言えるのではないでしょうか。弊社としては他社でも積極的にPittaly Orderを使ってほしい。スマホ発注に対応しているのがKCMKに限定されていては、取引先にとってあまり意味がないからです。独自で囲い込まなかった理由はそこにあります。業務効率化の観点で他社と競争するつもりはありません。むしろ共創して流通DXを成し遂げることが大事なのです」(水上氏)

お問い合わせ