Empowerment Report

エンパワーメントレポート

「MUST」から「WANT TO」へ
DE&Iは「学び」ではなく
「腹落ち」

BIPROGY
サービスイノベーション事業部 ビジネス一部 第一営業所長

松浦 祐太さん

2023.10.20 掲載

BIPROGYは、誰もが「個」の多様性を高め、属性やさまざまな制約に縛られずに創造力を発揮し、多様性を積極的に求め、活用する風土の醸成を目指し、さまざまなダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)施策を推進している。現在、「現場の『MUST』から『WANT TO』へ」をスローガンに、推進部隊主体から現場部門主体の取り組みである「DE&Iダイアローグ」を進めており、松浦祐太所長は、営業の現場でその推進の最前線に立つ。

対話が生み出す「もっと面白いこと」

 「DE&Iダイアローグ」は約1年間のプログラムで、前半の「自分ゴト化プログラム」と後半の「事業部施策」で構成される。「自分ゴト化プログラム」では、約3カ月間、幅広い職場から集まったチームで、さまざまな切り口からDE&Iについて対話し、その対話の体験をもとにそれぞれが自分自身のDE&I推進に対する持論を確立する。その後、「事業部施策」において、メンバーが自らの職場に戻り、現場組織で対話をベースとしたDE&I推進活動に取り組む。

もっと面白いことが生み出せるのではないか

 「DE&Iダイアローグ」に集まったメンバーは、職場はもちろん経験やバックグラウンドが全く違う。しかし、対話を重ねていくうちに、互いの間の壁が低くなっていった。真剣に話し合う中で、信頼関係ができ、対話を重ねること自体が楽しくなり、ワクワクを感じるようになった。

 もちろん最初から腹を割って対話できたわけではない。「ジブンガタリ・オモイガタリ」という独自の自己紹介フォーマットがあり、それに則って話すことで自己開示を促し、仕事に対するそれぞれの想いを聞くことで打ち解けられるようになった。講師も対話に指針は出すものの、否定はしない雰囲気づくりをする。心理的安全性が高まれば、より話しやすくなり、思いが伝えやすくなる。

「腹落ち」 やらされではない意識の共有

 次に与えられたテーマは、「2030年のありたい姿」を描くこと。今の会社の課題を愚痴でもいいから正直ベースで洗い出し、ありたい姿を描く。面白かったのは「HOW」を考えるなと言われたこと。現実路線になってしまうからだ。

 肝心なのは「腹落ち」。「やらされる」のではなく、みんなでありたい姿を共有する。2030年という中長期の視点であれば、具体性よりも実現に向けて走り出せる。その気持ちを優先した。これによってメンバー間で課題と理想像が共有できた。「腹落ち」によって、メンバー間での仲間意識、絆のようなものが芽生えたという。

 「DE&Iダイアローグ」メンバーとの対話を受けて、組織の内外に関わらず、もっといろいろな人と対話をしたいと思うようになった。そして「もっと面白いことが生み出せるのではないか」、自分たちの手でもっと組織を良くしていけるのではないかと思うようになった。

ワクワクや対話の大切さ、対話による「腹落ち」をどう伝えるか

 「自分ゴト化プログラム」におけるメンバー間の対話でDE&I推進へ「腹落ち」すると、職場での取り組み(事業部施策)に移行する。職場でのDE&I推進は、本業ではないため、協力的な人もいればそうでない人もいる。何をしたらいいか分からないという人もいて、その取り組みは壁に当たりやすい。さまざまな職種のメンバーと対話を重ね、得られた経験を職場での取り組みに生かし、実装する役割が松浦さんに委ねられた。

 現場で腐心したのは、DE&Iのワクワクや対話の大切さ、対話による「腹落ち」をどう伝えるかだ。対話の力を実感しないと、想いが伝わらない。DE&Iってこんなこと、女性活躍推進だけじゃない、と話す。異なる価値観を持つ人たちの気持ちを聞き合うこと自体がDE&I。自分の意見を伝えようと一方的に振る舞うよりも、相手の話を聞くことがいかに大事か。それを「腹落ち」できれば、相手の話が聞けるようになる。

 職場では、各個人の「WANT TO」を言語化するというテーマで、7人のメンバーを集め、10回程度対話会を重ねた。各人の「WANT TO」は必ずしも会社が求めているものとは一致しない。しかし、話し合い、それでも良いことにした。会社の求めに無理矢理近づけてしまうと、本心とは違ってしまうこともあるからだ。それでは意味がないと考えた。

 自分の「WANT TO」を言語化し、それが伝われば、周囲は「この人はこういうことがやりたいのだ」とはっきり分かるようになる。すると周囲はそれに協力・支援することができるようになる。上司は、すべき仕事はやってもらうにしても、できるだけやりたいことに近い仕事を増やすことができるようになるし、やりたい方向にキャリアを導くこともできる。

「やりたいこと」 言語化で鮮明に

 対話は自身の仕事にも役立っている。何かを考える前に、まず誰かと対話してみようと思うようになった。さらに、言語化は、ぼんやりとした「やりたいこと」を鮮明にした。自分のやりたいことを言語化してみることで、それを意識した行動をするようになる。これの積み重ねにより、結果的にさまざまな人が力を発揮し、相乗効果を生みだせる状態にできるのではないか。これがまさに「DE&Iで到達したいゴール」で、そのイメージが見えてきたと語る。

考える前に、まず対話を

 ただ、この取り組みの難しさは、真剣な話し込みが必要で、大人数で一気に展開することが難しいところ。広がりには時間がかかる。ただそれも、頑張り次第でもっと面白くなるとは松浦さんは思っている。

 今年から、1時間ほどの営業所会議に加えて30分だけ、営業所内での対話会も始めた。テーマは自由で、現場のメンバーに困ったことがあったら、それを話す。例えば仕事が増えてきた若手から「タスク管理って皆さんどうやっているのですか」と声が上がる。「僕はこうやっているよ」とか「こういうツールを使っているよ」とか話し合う。メンバーからの提案で、「営業所長のメンバーへの期待値」というテーマでも話をした。一緒に仕事をする人から信頼される人になってほしい、と話すと「では信頼って何?」と派生し、次の週は「信頼」をテーマに対話した。基本的に準備はせずに、聞く側も気軽に、とにかく話してみる。対話の良さを実感してもらいたいと松浦さんは考えている。

 日常の業務は、大手金融機関向けのSI営業。コンビを組むSEの部署と一緒に、提案活動などに従事する。新たなシステムの立ち上げやトラブルが起こった時には、非常に忙しくなる。繁閑の差が大きい。オフの日は、妻と一緒に動画配信サービスで映画やドラマを見たり、ジムに行って汗を流したりしてリフレッシュする。

営業とSEとで相乗効果が得られるといい

 昨年は営業部内だけだったが、今年はSEの部署にもDE&Iの取り組みを広げている。自ら手を挙げる人もいて、前向きさも感じ取れる。広がりに期待がかかる。対話のスキルを上げることで、お客様の思いを受け止め、一緒にどうしていくかという前向きな議論ができている部分も、既にあったりする。「営業とSEとで相乗効果が得られるといい」。それが松浦さんの理想でもあるし、職場の理想でもある。

PROFILE

松浦 祐太(まつうら・ゆうた)
2004年大学を卒業後、日本ユニシス(現BIPROGY)入社。地方銀行などの金融機関向けのSI営業を担当。08年に九州営業部に配属、16年より現在の本社営業部に所属。大手金融機関向け大規模基幹系プロジェクトなどを担当し、22年に5人のメンバーを率いる営業所長に就任。エンジニアやコンサル部隊と連携し、金融機関向けのシステム提案を行っている。

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