Empowerment Report

エンパワーメントレポート

いい仕事が誇りと幸せを呼ぶ
「バディ」で取り組む組織の多様性

BIPROGY 広報部長

滝澤 素子さん

BIPROGY 広報部 BX室

畠中 栄さん

2024.08.09 掲載

組織に多様な人材を受け入れ、活用するダイバーシティは、多くの企業で経営課題の一つとされている。一人ひとりが「個」の多様性を高め、互いの個性を尊重し合い、自らの個性や能力を最大限に発揮できる風土の醸成を目指す――。ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)施策を推進するBIPROGYで、広報部の滝澤素子部長と同部BX室の畠中栄さんは、多様性を生かす組織づくりに取り組んでいる。

コロナ下での社名変更 改革後押し

 滝澤部長は1989年に新卒で広報の仕事に就く。2000年に日本ユニシス(当時)に転職してからも、ずっと広報一筋に歩んできた。しかし、18年ごろ「仕事があまり楽しくなくなっている」自分に気付く。そもそも広報とは情報を機械的に発信するのではなく、受け取る側とのコミュニケーションを楽しみながら、自社への理解や共感をより深めてもらう仕事だ。周囲のメンバーもベテランがそろい、仕事も職人のように完璧にこなし達成感があるにもかかわらず、「笑顔が消えかかっている」と感じた。

幸せ感じられる職場にしたい

 その時手に取ったのが「自分の仕事をつくる」という書籍だ。そこから「人間は自分の存在価値を感じることでいい仕事ができ、誇りを持ってそれを人に届けることができる」(滝澤部長)と気づかされた。その後出合った書籍「ティール組織」で、そうしたことを生かせる組織が世界中に現れていることを知る。これをどうすれば、自らの組織で実現できるのかと考え始め、当時の平岡社長にも思いを伝え、理解を得た。

 そんな中、19年には室長に、20年には部長に就く。この機会を、組織改革への許しが出たと「勝手に決め込み」、期初に記述する部の運営方針に盛り込むことにした。そこで、同じ思いを温めてきた畠中さんにその考え方を「構造化」「見える化」した資料を作成してもらう。以来、2人は「バディ」として組織改革の歩みを始めた。時を同じくして、日本ユニシスの社名を変更するプロジェクトが立ち上がり、畠中さんはコーポレートブランディング担当として、新社名には多様性重視の姿勢を込める方針を打ち出した。

 同社は「デジタルコモンズ」という概念を以前から掲げ、「社会的価値」と「経済的価値」の創出という両輪を回すことで持続可能な社会づくりを目指している。デジタルの力によって有形・無形の資産を「見える化」「見せる化」し、新たな価値が付加・創出された資源や知識、サービス、コンテンツ、体験などを「共有財」として集約して共同管理するイメージだ。そのためには、関係企業が水平連合して大きなビジネスに取り組む必要がある。お互いに手を取り合うことで、果たした役割に応じフェアに経済的利益を得ながら大きな社会課題の解決も図る。それはまさに多様性の発露であり、IT(情報技術)老舗企業のイメージが強い「日本ユニシス」という企業名を、光が屈折・反射した時に見える7つの色である青(Blue)藍(Indigo)紫(Purple)赤(Red)橙(Orange) 緑(Green)黄(Yellow)の 頭文字を取った新社名BIPROGYに変えた。

 ちょうどその当時はコロナ禍の最中。テレワークへの急激なシフトなど、従来の働き方をがらりと変えざるを得ないタイミングだった。前例がない環境下で、自律的に新たな働き方を考える必要性に迫られた。

互いの仕事を理解することが誠意

 目指したのは「いい仕事をしている、と一人ひとりが幸せを感じられる職場にすること」(滝澤部長)。そのためには、いつまでにこうしなさいとは言わないよう心がけた。まず、期初に部員を集めて方針を説明する。人事面では組織長がマネジメントする一方で、実務面では、それぞれの業務のリーダーが自分たちで考え行動を決めていく。もちろん当初は、どこまで決めていいのか、こんなことまで決めてしまっていいのか、そこは決めてほしいなどの声も部員から上がった。それを粘り強く、自分たちで考えるよう組織長たちが促した。

互いに補完しあう

 そんなことが数カ月続くうち「この辺までは大丈夫」というのが分かってきて、その後は部員たちが自律的に動き始めるようになった。その過程で大切にしたのは、対話だ。「お互い意思を持って考え仕事をしているので『おかしい』『変だよ』というのではなく理解することが誠意」(畠中さん)というわけだ。

 それぞれのチームで対話を重ねるうち、「これは本来自分たちがすべき仕事?」と思えるものも出てくる。それはチームを超えた全員で対話する。みなで対話すると、なかなか前に進まなくなることも多い。しかし、以前はそうした場がなかったわけで、対話の場ができたことはプラスに影響した。広報は、そもそもコミュニケーションが本職。それでも、自分たちらしい仕事のアイデアを描き、周囲に話し、形にしていくなど目に見えた変化が表れるまでには2年近くかかった。

理解することが誠意

対立は不要、対話は重要

 「そもそも組織は指示命令で動くもの」とするならばコントロールは必要悪ともいえる。しかし、一方でそれは一人ひとりの自主性を奪うことにもなる。この捉え方を各チームのリーダーなどと共有、方向感は示しつつコントロールしないことを心がけ流れに任せた。多様性への変容の過程では混沌とした状況も起きてくる。しかし、それは変化の兆しでもある。明らかに許容できないこと以外はその結果を見届けるようにした。「想定外の方向に進んだことも、結果的には『まあいいか』くらいのところに落ち着くことが多かった」(畠中さん)。

 それは部員の自律性を解放し、組織の創造性を引き出すことにもつながった。部員たちがより建設的な対話を通じて仕事を進めるようになり、職場に「笑顔が増えていると感じる」(滝澤部長)ようになった。

対話重ね、組織を改革

 こうした組織改革を促すには対立軸をつくらないことも重要だ。例えば、優劣や善悪といった概念が対立軸を呼び起こす。あいつが悪い、理解してくれないなどといった思いが対立を呼び、ことが先に進まなくなる。誰かが誰かを判断することで「心理的安全性」の崩壊が起こる。特に組織に影響力のある人は「良い悪い、正しい間違っているといった対立軸をつくらないコミュニケーションができるようにしてほしい」(畠中さん)という。一方で、「違和感や言い争いは『進化の芽』という考え方もある」(滝澤部長)。対立は不要だが、対話は重要というわけだ。

 ダイバーシティに向かう流れは組織改革だけではない。価値創出においてもダイバーシティがより重要になってきている。社会の多様性を理解し、様々な固定観念に縛られずに創造力を発揮することで、経済的価値を創出しながら社会的価値を提供できる――。BIPROGYが目指す多様性の世界は果てしない。

PROFILE

滝澤 素子(たきざわ・もとこ)
1989年某IT企業へ入社し、広報やマーコムを担当。2000年日本ユニシス(現BIPROGY)入社、マーコムを経て、広報全般に携わる。18 年からコーポレートブランディングも担当。19年広報部PR室長。20 年から広報部長。

畠中 栄(はたなか・ほまれ)
1993年入社。SW開発主管部、社公部門、ICT事業部を経てマーケティング部門へ。2014年からコーポレートブランディング担当として'Foresight in sight' 策定に携わり、15年から広報部所属。社名変更PJへ参加し、BIPROGYのブランディングを担当。

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