大和証券グループの投資会社、大和PIパートナーズの早川由紀社長は、外資系ファンド勤務などを経て、2004年に当時の大和証券SMBCに入社。入社と同時に出向し、以来投資業務一筋に実績を積み重ねる。20年からは大和証券グループ本社の執行役員に、22年4月には、大和PIパートナーズの社長に就任した。
プロとして生き抜く決意
大学卒業後はノンバンクに入社。一時は専業主婦も経験するなど「バリバリとキャリアを積んできたタイプではない」。入社のきっかけは、米系ファンド時代の上司の大和証券SMBCプリンシパル・インベストメンツへの転職だった。尊敬する上司からの誘いを受け、35歳で大和証券グループに身を投じた。35歳という年齢、同じ投資業務での転職に「プロフェッショナルになって、この業界で生きていきたい」との思いを強くした。
プロとして生きていきたいと決意
特にその思いを強くしたのは、09年のことだった。大和証券はホールセール事業における三井住友フィナンシャルグループとの合弁を解消、そこにリーマンショックが重なり、それまで100人規模だった人員が10数人規模にまで激減した。「好きな仕事だったし、大和証券も好きだった、一緒に仕事をしている仲間も大好きだった」だけに、どうしても続けたいと心に決め、なんとか黒字を確保すべく、限られた人員で必死になった。当時の頑張りが現在、多様な新規ビジネスとのシナジーを追求するハイブリット型総合証券グループを標榜する大和証券グループの重要なピースとして少しでも貢献できたのであれば嬉しいと思っている。
投資業務を幅広く
手がける業務は投資全般。大和証券グループの自己資金で、様々な投資をし、リターンを得る。国内外の金銭債権や不動産、プライベートエクイティなど幅広く投資を行う。事業再生から廃業支援までも手がける。もちろん慎重に検討はするものの、意義があり、大和証券グループへの貢献が期待でき、持続的な社会の発展と幸福に資すると判断できる事業については、可能な限り取り組むというスタンスを続けてきた。
幅広く投資する
印象深かったのは、地方スーパーの再建。事業継続のためには、不採算店を閉鎖し、新たなスポンサーを探す必要があった。とはいえ、不採算店にも従業員がいる。結果的に閉店後の人材を他のビジネスで雇用してもらえるスポンサーを探し出せた。「いつもこういう風にできたら」と思った。
スタートアップにも注目しており、昨年には、ブルー・トパーズ(現・大和ブルーフィナンシャル)を子会社化、スタートアップ企業に対する融資形態での資金提供を行うベンチャーデット事業にも参入した。
自分のために仕事しない
早川さんはじめ、大和PIパートナーズはプロ集団。普段からプロであることを心がけている。そのためには、自分自身のために仕事をしないことが重要だという。企業活動に関係している様々な立場の人々の間で調和を取るような投資活動を大切にし、信頼を裏切らない、誠実なパートナーで、愚直に行動していく心構えが必要と力説する。また、仕事である以上、利益を出すことは不可欠だ。それは「一人では絶対にできない」。組織・グループの一員である以上、会社のため、一緒に働いている仲間のための取り組みが優先される。
社員にはプロとして接する
プロ集団を束ねる社長としては、社員一人ひとりをプロとして接することも重要だ。もちろん迷っていることがあれば話は聞くが、できる限り本人の希望、考え方を尊重し、結果が出せるように意識している。それができれば成長するし、組織も強くなる。
長く投資ビジネスをやってきたので、業績を上げるための意志の強さは人一倍だ。そうした経験に基づいて判断ができることが自分の強みとも語る。今後は、そんなプロ意識を後進にも伝えていきたいという。
オフはゴルフをしたり、ドライブしたり、好きなワインを嗜んだりと、リラックスして過ごす。一方でオンでは、社長就任をきっかけに、大和PIパートナーズを今まで以上に盛り上げたいという思いと同時に、次世代にバトンを渡すことを意識し始めた。いつまでも現役でいられるわけではない。
自身は「一生懸命働いてきた」し、会社もそれはきちんと評価してくれた。ただ、今後は働き方やビジネスは変わっていくとも考えている。目の前の先輩やリーダーをロールモデルにする時代ではもはやない。「自らの個性と自分のやりたいことを合わせて、自分らしく働いていけばいい」と考えている。
中途入社であろうと、女性であろうと関係なくフェアに評価してくれた。大和証券グループは「本当にいい会社、いい組織、いい経営陣だと思う」という。「自信を持って、自分らしく、自分の好きなことで頑張ってみたらきっといいことがある」とは、後進の女性たちへのメッセージだ。
PROFILE
早川 由紀(はやかわ・ゆき)
2004年、大和証券SMBC入社、20年から、大和証券グループ本社執行役員。22年、大和PIパートナーズ代表取締役社長に就任。
