Empowerment Report

エンパワーメントレポート

「エッセンシャル思考」と「権限移譲」でチーム運営 お互いのサポートで個々の成長促す

日本イーライリリー
ニューロサイエンス事業本部 東日本支店 課長

小宮山 幸さん

2025.10.31 掲載

女性が働きやすい職場を求めて2009年に日本イーライリリーに転職した小宮山幸さんは出産、育児休暇、時短勤務による職場復帰を二度にわたって経験した後、24年に課長に昇進。自らも育児に追われる中、同じく子育て期で時短勤務の部下などを支える立場となった。それぞれのメンバーが多様なバックグラウンドを持ち、働き方にも多様性が求められる中、個々の働きやすさを追求しつつ、チームとして成果を上げるためには何が必要か。導き出したのが「エッセンシャル思考」と「権限移譲」を通じて、お互いにサポートし合い、成長していくというリーダー像だ。

「やりたい仕事」から「仕事と家庭の両立」へ

 小宮山さんは03年に大学を卒業し、ある製薬会社に入社した。就職氷河期にMR(医薬情報担当者)として医薬品の営業に従事しMRの仕事に魅力を感じていたものの、「挑戦できるうちに、自分のやりたい仕事に就きたい」との思いを捨てきれず、07年に全くの畑違いのウエディング業界に転職することになる。

 海外で働く夢もかなえて、まずは豪州に渡り、ウエディングプランナーとして活躍。その後、日本に戻ってからもプランナーとして働いたが、年齢を重ねて結婚や出産が視野に入ってくると、心境に変化が起こる。「家庭を持っても働き続けたいという願望が自分の中にあることに気づき、仕事と家庭を両立させるにはどうしたらいいかと考えるようになりました」

 自分の望む職場環境を求めてネットでの情報収集を続けたほか、製薬業界で働く知人などにも話を聞き、新たな転職先としてたどり着いたのが、日本イーライリリーだった。「当時からウェブサイトで女性社員の活躍を積極的に発信しており、実際に働いている人からも話を聞くことができたため、日本イーライリリーには仕事と家庭を両立できる環境があると考えました」

 09年にMRとして入社し、その後に結婚。二度の出産の際にはいずれも産休、育休、時短勤務という段階を踏んで職場復帰を果たしたが、周囲に同じような経験をした女性社員がいたことで、仕事と家庭を両立させる働き方がイメージできたという。

サポートの重要性を実感

 一方、想定外だったのが、パートナーの北海道への転勤や病気の父親の介護という事態が重なり、ワンオペで育児、介護、仕事の三つをこなしていかなければならない状況に陥ってしまったこと。最初の出産がスムーズではなく、急遽休職せざるを得ない場面もあったが「自らが抱えている状況を周囲に伝え、できないことはサポートの依頼をすることもありました。その度に上司や周囲の同僚からサポートして頂き、本当に感謝しています」。この時の経験が後に管理職としてのマネジメントに生きることになる。

 23年には社内公募制度を活用して、広報部門の短期アサイメントのポジションに手を挙げた。担当したのは片頭痛関連の広報・アドボカシー。MRとは異なる手法で、社会や異なる対象にアプローチできるのが広報部門だと考え、挑戦したという。「仕事を続けていくうえで自分の可能性をもっと広げられるのでは、という思いに至り、社内の別のポジションにチャレンジすることにしました」

 どのようなキャリアを歩むにせよ、自らがキャリアをデザインできるように、常に成長できる環境を求めて挑戦を続ける小宮山さんに、新たな挑戦を促す声がかかる。それが古巣のニューロサイエンス事業本部、関東エリアでの営業課長への就任だ。「長期的なキャリアを考えて、できる準備はしておきたいと、広報部門の短期アサイメントに手を挙げる前にアセスメントなどにもチャレンジしてきました。ただ、その時点では営業課長のポジションは自分のキャリアプランとして全く考えておらず、お話をいただいた時点で結構びっくりしました」。戸惑う小宮山さんの背中を押したのが周囲からの応援。「今ある営業課長像があるべき姿ではなく、あなたのできる営業課長をやってみたら、と言っていただけたことでチャレンジすることに決めました」

新たな管理職像を目指す

 現在は同じく関東エリアで部下10名弱のチームを率いる。介護の問題に直面している年上の男性社員や子育て真最中で時短勤務の女性社員などメンバーが抱える事情は様々。一方、小宮山さんは今もワンオペで二人の子供を育てながら管理職の仕事をしている。

 こうした状況下で自分らしい営業課長像として小宮山さんが打ち出したのが、自らが持つ業務すべてを抱え込むのではなく、「エッセンシャル思考」で優先順位を付け、自分が担うべき業務と「権限移譲」でチームメンバーに任せる業務に振り分けるという考え方だ。自分の業務は「組織としての目標達成と成果管理」と「人材育成」の二つに絞り、それ以外は可能な範囲でチームメンバーに任せるようにした。こうした取り組みを続けることで任せられたメンバーの成長につながるという副次効果も生まれている。

個々の得意分野でリーダーシップ

 権限移譲の仕組みはメンバー間でも進んでいる。例えば、MRの重要な業務の一つとなる講演会の運営業務は開催時間が夜になるケースもあり、時短勤務ではすべてに対応することは難しい。また、時短勤務のMRではなくても担当施設によって業務に偏りが出て大きな負担になっていることも問題であった。このため、チームでスケジュール管理をし、お互いにタスクを見える化して、事前準備と当日運営の担当を分けるなどカバーし合える環境を整えた。

 業務効率の改善につながっていることを感じるメンバーも増えており、成果を最大化するために自分自身が抱える状況を声に出し、お互いにサポートを求めるようになるなど意識改革は着実に進んでいる。会社もそうした多様な社員が働きやすい環境の醸成に力を入れており、「トップダウンのコマンド型の組織ではなく、メンバーそれぞれが得意分野でリーダーシップを発揮できるような環境をつくり、チームに頼りながら、お互いサポートし合うチーム運営を目指しています」

 新たな営業課長像の解像度を高める傍ら、女性が働きやすい職場づくりを目指して30人以上の女性営業管理職が参加する社内ネットワーキングにも参画。今年6月からは運営チームにも加わった。これまで半年に1回のペースで開催し、 お互いに学び合うピア・ラーニングの機会を得られるようなネットワークを目指してきた。自分が運営に入った回では変化を加え、具体的なケースを3名が自己開示し、共感を得た上でリアルな悩みを共有できる場にした。そうしたところ、もっと話をしたかったとの声が寄せられ、スモールグループでのオンライン会議を月1回程度のペースで開催する取り組みも7月から始めている。「自分のことは後回しにしがちな管理職にとって、横のつながりはとても大切です。解決策を持っている人に出会えたり、新たなアイディアやアドバイスを頂けたりすることで、視野が広がります」

 社内ネットワーキングを通じて小宮山さんには気付いたことがある。女性管理職の中にはアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)から、自らのあるべき姿を定義し、それにとらわれて苦しむ人が少なくないことだ。「これを解除するためにも一人で抱え込まずに相談したり、チャレンジしたりすることで道は開けているのではないかと思います」

PROFILE

小宮山 幸(こみやま・みゆき)
製薬業界、ウエディング業界を経て、2009年に日本イーライリリー入社。二度にわたる出産、育児休暇、復職を経て、23年に社内公募制度を活用して広報部門に異動。24年から現職。

提供:日本イーライリリー株式会社

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