Empowerment Report

エンパワーメントレポート

企業風土と充実した制度で
多様な働き方のサポートをめざす

三菱ケミカル
人事本部 Japan人事部 人材組織開発

牧川 早希さん

2023.02.27 掲載

多様なバックグラウンドや価値観、働き方を尊重するダイバーシティ&インクルージョン(D&I)経営に注力する三菱ケミカル。同社人事本部の牧川早希さんは新卒採用担当者としてその実現に取り組むだけでなく、研究職からのキャリアチェンジやリモート勤務を活用した地方居住で自身のワークライフバランスを充実させている。社内のロールモデル的存在でもある牧川さんの経歴や仕事ぶりを通して三菱ケミカルのD&I戦略に迫る。

経験生かした『リケジョ』採用

 三菱ケミカルで新卒採用を担当して2年目を迎える牧川早希さん。多様性を重視した人事戦略を掲げる同社では、新卒採用でもD&Iに重きをおき、牧川さんは採用現場や中高生向けの施策を展開している。新卒採用では人事に限らず、入社員配属部署など広く社内人材とも連携する。日々の連携の中で、例えば、D&Iに関する取り組みを伝えたり、インターンシップを多様な人材受け入れの環境構築の第一歩として活用することを提案したり、新卒採用をうまく活用することでD&Iへの意識を全社的に浸透させる一助となることが可能と考えている。

 新卒採用のD&Iでは、理系女子学生、いわゆる「リケジョ」のキャリア形成を啓蒙。牧川さんも小さい頃から白衣の研究員に憧れ理系を志望。大学では工学部に進学し、そこで初めて理系女子がマイノリティーであることを実感したという。

 理系女子はまわりにロールモデルが少なく、将来のキャリア像を描きにくい。それが、理系に進む女子学生の割合が少ないことにつながっている。そこで自身の経験も生かして、就活生に理系女子の入社後キャリアイメージ、女性社員の働き方や福利厚生などについて具体的に伝えている。研究職の女性社員と交流する場を設けたり、男性社員から見た女性社員の働き方や環境などへの印象も発信し、自分の働き方をイメージしやすくしている。

 一方で、大学も学部選択をする前段階である小中高といった若年層へのアプローチも欠かせない。若年層向け施策を通じ、性別関係なく多様な人材が活躍をしている、女性が理系を選択することも自然であることを伝えることで、公平に機会を提供するという観点でD&I実現につながると考えている。女子中高生向けの理系キャリア教育の機会を増やしたり、また各拠点では、小中学校では科学の面白さに興味をもってもらおうと科学教室も開催している。これらはすべて、将来、三菱ケミカルで働く仲間を育てる種まきになっているのだ。

 「多様性」を実現する施策の一つとして、新卒採用でもD&Iに重きを置いた施策に取り組んでいる。

 「“知らない”ことが、女子学生の理系選択を狭めています。理系女子がどのようなキャリア形成をしているのか。10代から知るチャンスを増やすことが、キャリア選択の幅を広げ、D&I実現にもつながっていきます」と、牧川さんは草の根的な活動への思い語る。

キャリアを重ねる中での気づきを大切に、研究職から人事部へキャリアチェンジした牧川さん

『社内の人と人を結ぶ』 決意した人事への転身

 研究職としてキャリアを積んでいた牧川さんが、人事への転身を決意したのは、持ち前の知的好奇心とチャレンジ精神からだ。「入社して4年、研究者としての仕事やチームの環境に満足していましたが、チームで仕事をする中で“人と人との関係づくり”に興味関心が移っていきました」

 同社には社内公募制度があり、一定条件をクリアすれば誰でも自由に希望する職種に手を挙げることができる。牧川さんもこの制度を利用して人事部の採用担当に応募。念願の人事の仕事に就くことができた。

 「入社以来、今後のキャリア形成について上司と定期的に面談。自分はどんなキャリアを積みたいのか、そのときどきで中長期的な展望を相談してきました。そのおかげもあって、まわりから理解も応援もしてもらえたのは、とてもうれしかったですね」と牧川さん。このように個々のキャリアを支援する企業風土も、同社の魅力といえる。

 人事部への異動を応援してくれたのは、上司や同僚だけではない。2020年に社内結婚した夫も、牧川さんの新しいチャレンジを喜んでくれたひとりだ。

 「妻は、やりたいことにどんどんチャレンジする性格。人との関わりも得意です。研究畑とはまったく違う環境で新しい視野を身につけ、自分のキャリアを主体的に築いている姿は、頼もしいですね」と夫も全力で応援してくれている。

それぞれのキャリア像を応援する企業風土が社員のやる気を引き出す

リモート勤務で得た、充実のワークライフバランス

 人事部は東京本社にあるが、牧川さんは現在、愛知事業所に所属する夫と一緒に愛知県に暮らす。コロナ禍を経て、三菱ケミカルのコーポ−レート部門はリモート勤務にシフト。遠隔地勤務制度も導入されたことで、牧川さんも愛知県からの勤務が可能になった。

 「夫が出勤する時間に合わせて、自宅の仕事部屋で業務をスタート。想像していたよりも集中や切り替えがスムーズで、時間を効率的に使えています」と満足度は高い。

 とはいえ、全く新しい分野である人事部で、知り合いもいない中でのリモートワーク。わからないことも多く戸惑いもあった。それを丁寧にサポートしてくれたのが、チームで配置してくれたメンターだ。チーム外でも相談相手を紹介してもらえたことも心強かった。牧川さんも積極的にオンラインランチで雑談をする機会をつくり、月1〜2回の本社出社ではリアルなコミュニケーションを深めるように心がけている。

 人事部は、リモートワークを活用しているメンバーが多く、働く場所を選択しながら仕事をするのが当たり前になっている。そのため、「自分だけ特別という感覚はなく、フラットに仕事ができます」と牧川さん。オンラインで仕事をこなした後は、帰宅した夫との時間や、自分のスキルアップを目指した自己啓発にも力を入れる。

切り替えをうまくこなしながら、フルリモートで仕事を効率的に進める

頓挫した海外帯同 キャリア見直す契機に

 結婚、出産などライフイベントが多い女性にとって、キャリアとプライベートのバランスは人生の大きな課題となりやすい。

 実は牧川さんも愛知研究所時代、夫の中国転勤に合わせて同社の「海外転勤同行休業制度」を取得、1年間休業している。

 将来、夫が海外転勤することは予想していたので、以前から社内の制度をリサーチし、辞令がでたときは、制度を利用して同行することは決めていた。「休業期間は自分のキャリアについて棚卸しをしたり趣味を極める時間に充てたりするなど、前向きにとらえました。」

 先に赴任した夫を追いかける予定で1年間かけて業務を整理していたが、数日後には中国に渡航するだけというタイミングの2020年2月、世界はコロナ禍に突入する。

 当初は「そのうち中国に行けるだろう」と楽観的に考えて、国内で待機していたが、状況は深刻になるばかり。「もうこれは夫のいる中国に行くのは難しいと判断せざる得なくなりました。自分の趣味のワインの勉強に打ち込んだりしながら、休業期間を過ごしていましたが、1年後に復職をすることに決めました」と、コロナ禍に翻弄された頃を振り返る。

 復職後、自分のこれからのキャリアをもう一度考え直すようになった頃、夫も中国からの帰国が決定。2022年3月から、ようやく二人そろっての生活がスタートした。

 結婚後も長らく夫婦で一緒に暮らすことができなかった牧川さんにとって、まず優先したいのは夫との家庭生活。しかし、自分の中に新しい挑戦への意欲も大きくなっていた。

 「コロナ禍で中国同行はダメになりましたが、リモートワークが普及したことにより、今のように愛知県から東京本社の仕事ができるようになりました。リモートワークを中心として、自分の望む働き方ができる今の生活には、とても満足していますね」と、ワークライフバランスの充実ぶりを語る。

キャリアもプライベートも充実。さらなる成長を目指して、自己投資にも意欲的に取り組む

自己理解を深めて、自らの働き方を見つける

 自分の興味やライフイベントに合わせて、その都度、自分が望む道にチャレンジしてきた牧川さん。現在は、人と人をつなぎ、サポートするという人事の仕事をする中で、日々自身の成長を実感している。

 牧川さんのキャリアは、三菱ケミカルが目指すD&Iやワークライフバランスのひとつのロールモデルともいえるが、本人は「ロールモデルとは誰かひとりを指すものでもないように思います」と語る。

 「私も、こうなりたいと最初から思っていたのではなく、そのときそのときでどうなりたいのかを自分に問いかけて、自己理解を深めてきました。それがあるうえで、なぜこの仕事をするのか、その意味を掘り下げることが、その人らしい働き方になるのだと思います」

 もうひとつ、牧川さんが常々感じているのは、「仕事はひとりでは完結しない」ということだ。牧川さんは、社内外に多様なネットワークを広げ、コミュニケーションを重ねてきた。そこで出会った、気づきを与えてくれるたくさんの人との出会いは、これからのキャリアや人生における大切な宝ものだ。

 そんな牧川さんに、最後に三菱ケミカルの目指すD&Iについて、改めて聞いてみた。

 「三菱ケミカルが目指すのは、一人ひとりが自らの働き方を見つけることです。日々変わり続ける人やその生活を対象として多様な働き方や、ワークライフバランスを追い求めることに終わりはありません。多くの人が、多様な働き方を前提にキャリア像を描ける環境を目指して、私は今のポジションでできることを少しずつ努力したいと考えています」

PROFILE

牧川 早希(まきがわ・さき)
2017年三菱ケミカルに新卒入社。豊橋研究所(現・愛知研究所)で研究員としてキャリアを積む。20年に1年間の休職を経て、21年 3月に復職。同11月に総務人事本部人材組織開発部所属となり現職。

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