Empowerment Report

エンパワーメントレポート

DXをお客さまや従業員の身近なものに ユーザー視点で使いやすいデザインへ

明治安田生命保険 デジタルイノベーションHub UX/UI改善オフィス プロダクトマネジャー

平沢 樹里さん

2026.03.09 掲載

明治安田が業務でのAI活用に向けた取り組みを急加速している。2025年1月にアクセンチュアと5年間の包括的パートナーシップ契約を結び、同年4月には専任組織となる「デジタルイノベーションHub」を新設した。現在はAIエージェントが従業員の秘書役として業務を支援する「デジタル秘書」の機能や対象領域の拡張など、8つの開発テーマが進行中。このうち、リーダー役では唯一の女性として、UX/UI改善オフィスのプロダクトマネジャーを務めるのが平沢樹里さんだ。デジタルトランスフォーメーション(DX)をお客さまや従業員のより身近なものにするため、使いやすいデザイン開発などに奮闘する平沢さんに話を聞いた。

伴走型でモノづくりとヒトづくり

 デジタルイノベーションHubの最大の特徴は明治安田の従業員一人ひとりにアクセンチュアのメンバーが伴走しながら協働で検討・開発に取り組むこと。生成AIを始めとする先端デジタル技術を全社横断的に業務実装する「モノづくり」機能に加えて、そのために必要な人財を育成する「ヒトづくり」機能も持たせることで、実践的なデジタル人財の輩出にもつなげることを狙っている。「デザイン業務は専門性が高く、従来の明治安田にはなかった分野のため、UX/UI改善オフィスの発足時に初めてデザインに携わるメンバーもかなりいました。こうしたメンバーをデザイナー人財として育成することも私にとっては重要な仕事の一つになっています」

デジタルイノベーションHubでは唯一の女性リーダーを務める平沢さん

使いやすさと品質を向上

 これまでに取り組んできたのはお客さま専用サイト「MYほけんページ」や従業員の業務効率化・高度化をサポートする「デジタル秘書」などをユーザー視点で体験・画面設計し、使いやすさや品質を向上させること。ユーザーが知りたい情報に迷わずたどり着けるような導線設計や、ボタン・メニューの配置を工夫して直感的な操作を実現するなど、UX/UI改善の取り組みは多岐にわたっており、発足から約10カ月でデジタルイノベーションHubの開発テーマ5案件、本社各部15案件のデザインを担当。うち5件はすでに展開して、ユーザーが利用している状況という。「ユーザー視点を意識してほしいということはいつもメンバーに伝えていますが、それには私自身が以前所属していたお客さま志向統括部で培ったマインドが活かされていると思います」

操作性や画面の質がカギ

 IT・デジタル戦略部長としてアクセンチュアとのパートナーシップ契約の締結に取り組み、実行部隊となるデジタルイノベーションHubの発足に合わせてHub統括に就任した橋田和己さんも「操作性や画面の質が良くないと使ってもらえないので、デザインは非常に重要です。既存のデザインを改善し、全社的に統一感のある、誰もが使いやすいデザインへと発展させてほしい」と平沢さんが率いるUX/UI改善オフィスに期待を寄せる。

UX/UIデザインの重要性を語る橋田Hub統括

 橋田さんがめざすのは画面にとどまらずお客さまの体験にもつながるデザイン、使っていくと自然に操作が進み、お客さまの体験価値向上につながるようなデザインの広がりだ。技術面の実装では営業職員であるMYリンクコーディネーター(通称LC)向けからスタートした「デジタル秘書」の活用領域が全社に広がり、今後はメニュー、機能を拡充していく計画。AIを始めとするデジタル技術の進化と、それを使いやすくするためのデザインがDX戦略を支える両輪となる。

安心を届ける仕事めざす

 平沢さんの入社は12年4月。大学時代は応援団吹奏楽部で活動し、音楽を通じて他人にエールを届けることにやりがいを感じたという。就職してからも人々の生活の支えになりたいと金融業界をめざしたが、その過程で生命保険を通じて安心を届けたいと考えるようになり、明治安田で働く人の人柄にも魅力も感じて就職を決めたという。

 営業研修や支社での育成支援担当を経て、国内のグループ会社等を担当する関連事業部に異動。出向者の人事や研修、関連会社の総務業務などに従事した。18年からはお客さま志向統括部に配属され、4年間、お客さま満足度調査の調査分析などを担当した。22年からは法人・職域マーケットに密着した営業専門職であるMYリレーションシップアソシエイト(通称MYRA)の業務施策の策定や教育などを担当するMYRA業務推進部に着任。「お客さま志向統括部での業務を通じ、お客さまの声を集めて改善に活かしていくという点で、ユーザー視点で考える経験を積むことができました。それ以外の部署でもお客さまやLC・MYRAと接点を持つことができ、過去の仕事での経験と今の仕事が点と点でつながり、線で結ばれている気がしています」

 現職に異動する半年前の24年10月に主席スタッフに昇進。「スタッフ力を磨き、一段と成長したいと思っていた」矢先に、UX/UI改善オフィスのプロダクトマネジャーへの異動を告げられた。「これまでの上司との面談のなかで、いつかは管理職になるかもしれないとぼんやりと考えていましたが、自信はなく、遠い将来のことだと思っていました。自分に務まるのか不安もありましたが、将来のために成長の機会を与えてくれたと捉え、前向きに挑戦しようという気持ちに変わりました」

受け身から積極関与へ

 プロダクトマネジャーとして心がけているのは、メンバーが発言しやすい雰囲気を作り、何気ない会話を大事にしてコミュニケーションが希薄にならないようにすること。そして個々のモチベーションを高めることだ。ヒトづくりの面ではメンバーがデザイナーとして着実に成長し、モノづくりの面でも実際に利用されているプロダクトが増えており、今は手ごたえも感じている。「今は本社各部からの要望を募り、デザインの改善に取り組むケースが中心ですが、こうした受け身の姿勢にとどまらず、今後はデザインの観点から新たな提案をしていく必要もあると感じています」と視線は未来を見据えている。

安心して意見を交わせる環境が、チームの創造性を引き出す。

PROFILE

平沢 樹里(ひらさわ・じゅり)
2012年明治安田生命保険入社。東京FC支社(現、東京第一マーケット開発部)育成支援担当、関連事業部、お客さま志向統括部、MYRA業務推進部を経て、25年から現職。

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