Empowerment Report

エンパワーメントレポート

キャリアへのたゆまぬ挑戦
自らの成長を組織の成長に

レゾナック
モノづくり企画統括部

當眞 悦子さん

2025.11.14 掲載

日本のモノづくりを世界に届けたい、そんな思いを胸に、2023年11月にレゾナックに転職したのが當眞悦子さんだ。前職の自動車部品メーカーで培ったサプライチェーン・マネジメント(SCM)のノウハウを武器に子会社の業務改善や在庫適正化に取り組んだ後、25年6月には社内公募制度を活用してモノづくり企画統括部に異動。今も米大学のMBA取得に取り組むなど、グローバルな目線で新たなキャリアへの挑戦を続けている。自らの成長を組織の成長につなげようと奮闘する當眞さんに話を聞いた。

原点は高校生時代の留学経験

 當眞さんが日本の製造業で働きたいと思った原点は、高校時代の米国留学だ。保守的な地域でマイノリティーとして差別や嫌がらせをされる場面もあったが、通学バスから日本車が多く行き交うのが見え、日本の製造業の存在感を実感し励まされたという。16歳のとき、「将来は日本のモノづくりに携わり、世界でのプレゼンスを次の世代にも引き継ぐような仕事がしたい」と考え始めた。そんな人材になるべく、まずは目の前の留学生活を前向きに楽しみ、学びを充実させようと気持ちを切り替えた。10カ月という短い期間ながら、海外から日本を見つめ直した経験は、日本の良さを再認識するきっかけとなり、日本のモノづくりの発展に貢献したいという思いの出発点になった。

 言語の違い以上に、意思表示の仕方や合意形成のプロセスが異なることも実感。「異なる文化を理解しながら協働すること」の大切さを意識するようになり、大学時代にはメキシコ太平洋岸の街シワタネホに6週間滞在。チェコ、イタリア、スペイン、中国、日本など多国籍のメンバーと共同生活しながら、ウミガメ保護活動に取り組んだ。「文化や考え方の違いに直面しながらも成果を出した経験は、多様な人と共に働くことの難しさと楽しさ、この両方を実感する大きな機会になりました」

SCMで現場と連携 天職と実感

 大学卒業後は「グローバルに事業を展開する日本のモノづくり企業で経験を積みたい」との考えから自動車部品メーカーに就職、SCM部門に配属された。当初は希望外だったため戸惑いもあったが、調達から物流、在庫管理、顧客納入までの一連の流れを経験するうちに、各プロセスがつながり製品が完成していく仕組みに強く惹かれるようになったという。情報システムで業務プロセスを改善する取り組みも大学で学んだ経営情報システムとの親和性が高く、「国内外の多くのステークホルダーと関わりながら現場を良くしていく役割は自分の性格にも合っていて、まさに天職だと感じました。」

 本社でのシステム導入業務を経て、埼玉・福島工場勤務の後、入社7年目でメキシコ子会社へ出向。当時はベテランが派遣されるのが通例であり、不安も大きかったという。赴任直後は文化・言語・価値観の違いに驚くことばかり。自分の常識を押しつけず、丁寧な対話を心がけ、相手の立場から物事を考えることを徹底した。

 製造現場や倉庫を訪れて、プロセスマップの整理など実務を共に進めることで信頼関係を構築。業務の中でスペイン語も自然に身につき、やがて毎日現場へ足を運ぶことが楽しみになっていく。まだ若いうちの赴任だったからこそ、実務を通じて現場とプロセス改善にじっくり向き合えたのではないかと感じている。コロナ禍で毎日複数のデリバリー課題が噴出した局面では、メキシコ法人の購買・設計、日本本社の設計や生産管理、他リージョンの工場と緊密に連携し、一つひとつ解決を重ねた。「現場とともに動く姿勢が困難を乗り越える力になり、仲間と課題を解決できた達成感は、今も大きな財産です」

 順調にキャリアを積み上げる當眞さんとは対照的に、勤務先の自動車部品メーカーは業績が悪化。メキシコ赴任前には米投資会社の傘下に入るなど経営環境も激変し、次第に転職を意識せざるを得ない状況になった。そこで目指したのはそれまで培ってきたSCMのノウハウが生かせるグローバルに展開するものづくり企業。その条件に合致したのが世界規模でのサプライチェーンの強化を進めていたレゾナックだった。

変革期こそ成長し未来づくりに貢献

 23年1月に昭和電工と昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)が統合し、持ち株会社のレゾナック・ホールディングスと事業会社のレゾナックとして新たなスタートを切ったばかりの時期。「化学の力で社会を変える」とのパーパスを掲げ、変革に向けて積極的な発信を続ける髙橋秀仁社長の姿勢にも魅了され、転職を決断。同年11月に入社した。「新しい企業文化や仕組みをつくっていく変革期だからこそ、自らも成長しながら会社の未来づくりに貢献できると感じました」

 入社後、まず配属されたのは電炉の中核部材である黒鉛電極を生産するレゾナック・グラファイト・ジャパン(東京・港)。SCMの専門家としてサプライチェーン業務のオペレーション改善や在庫適正化を担当したが、そこには化学品メーカーならではの難しさもあったという。部品点数が多い自動車部品の場合は何よりも精緻な在庫管理が重要だが、化学品の場合は化学反応の際に「狙ったもの以外が生まれてしまう」というケースがあり、これ以外にも設備的な制約なども加味しながら確保すべき在庫水準を決める必要がある。「現場メンバーと在庫や調達の改善に取り組む中で、ものづくりを支える仕組みを整える醍醐味を改めて実感しました」

社内公募制度で異動 MBA取得にも挑戦

 前職から数えて10年以上、SCM畑を歩む中、自分のキャリアの柱が1本しかないのも心もとないとの危機感が芽生えてきた。「より広い視座を持って業務に取り組みたい」との思いに背中を押されるように、同一部署に1年以上在籍していれば利用できる社内公募制度を活用して、25年6月に現在所属している「モノづくり企画統括部」に異動した。

 モノづくり企画統括部は全社横断でモノづくりに関わる改善や活動を企画・推進する組織で、各事業所や事業部の壁を超えて改善や新しい仕組みづくりに取り組んでいる。當眞さん自身は現在、6つの部署の予算立案や5ヵ年計画の策定に関わることで、SCMにとどまらず幅広いテーマに触れることができる環境に身を置きながら新たな経験を蓄積。これと並行し、オンラインで米国の大学のMBA取得に挑戦するなど、積極的に経営や戦略に関する知識の幅を広げている。新しい分野に挑みながら経験という「点」を増やすことで、やがて大きな「面」として業務に活かしていくというのが當眞さんの描く未来図だ。

 挑戦はこれだけにはとどまらない。事業部や機能の壁を越えて手を挙げられる「社内プロジェクトチャレンジ」を活用し、モノづくりの視点で各事業所を歩き、魅力を社内報で伝えていく「レゾナックアドベンチャー」というプロジェクトに加わった。「人は、知らないものにはそもそも興味を持ちにくい。出発点は知ってもらうこと」。遠い拠点の話が「自分ごと」に近づけば、自然と会話が生まれ、横のつながりも強くなるはずだとの思いを込めて、どんな製品をつくり、それが日々の暮らしのどこで役立っているのかを、写真やストーリーでわかりやすく届ける。8月には初回取材で川崎事業所を訪ね、現場で見聞きした手ざわりをそのまま発信していく。トップダウンのスローガンではなく、事実と物語の積み重ねで「One Resonac」の土台を育てる。それが當眞さんたち、プロジェクトチームの想いだ。

 より多くの人と一緒に変化を形にしたいとの思いから、自ら手を挙げて早めに管理職を目指すことも決めた。「組織をより良く変えていくには、いいアイデアを語るだけではなく、実際に人や仕組みを動かすパワーが必要です。パワーというと強く聞こえるかもしれませんが、私にとってそれは施策の結果に責任をもって、信頼をもとに人を動かす力です」

グローバルでの存在感を高めたい

 転職してから2年弱。レゾナックの持つ「多様性を受け入れ、挑戦を歓迎する社風」が現在進行形で多くの挑戦を続けている當眞さんを支えていることは間違いない。入社前に抱いていた「化学メーカー」としての堅いイメージも、実際には中途入社の社員が多く、それぞれの経験や強みを尊重し合う風土に、いい意味で裏切られたという。「海外のモノづくり改善にも積極的に関わり、レゾナックという会社のグローバルでのプレゼンスをさらに高めることに貢献したい」。その視線は常に未来を見つめている。

PROFILE

當眞 悦子(とうま・えつこ)
2013年新卒で自動車部品メーカーに入社し、メキシコ工場など国内外の工場勤務を経験。23年レゾナックに入社し、レゾナック・グラファイト・ジャパン(東京・港)に。25年社内公募制度を活用して現職。

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