Empowerment Report

エンパワーメントレポート

初代Chief Diversity&Inclusion
Officerを務める“パイオニア”

東京海上ホールディングス 執行役員人事部長
グループダイバーシティ&インクルージョン総括

鍋嶋 美佳さん

2021.10.18 掲載

東京海上ホールディングスはすべての社員が多様なバックグラウンドを生かし、持てる力を最大限発揮できるようダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の取り組みを加速。2021年4月からグループD&I総括としてCDIO(Chief Diversity&Inclusion Officer)と、ダイバーシティカウンシルを創設した。初代CDIOの鍋嶋美佳さんは、男女雇用機会均等法第一世代で出産・育児・転勤を経験しながら、まさに“持てる力を最大限発揮”し最前線で活躍してきた同グループきってのパイオニアだ。

プロとして学び続ける

均等法第一世代として様々なジェンダーギャップを乗り越えながらキャリアを積んできた

 鍋嶋さんは1991年に東京海上火災保険に総合職で入社し、均等法施行後の5期生に当たる。92年に育児休業法が施行され、95年、98年に2回育児休業を取得。鍋嶋さん自身、夫との分担はもちろん、両親やベビーシッターの手も借りて仕事と育児を両立した。「その当時と比べると、今は制度や環境が整い、女性が働き続けやすくなった」と実感している。仕事に向き合う上でのポリシーは、プロフェッショナルとして学び続けること、そして実力で勝負すること。企業向けの保険金支払部門にいた頃を振り返り、「お客様ごとに事故の態様や賠償責任の範囲が異なり、取り巻くリスクも多様化している。だから学び続けなければ」。そういう姿勢で仕事に向き合ってきたからこそ、仕事に関心をもってずっと続けてこられたと言う。

一番大事なのは「人」

CDIOとしてD&Iを推進する意義を語る鍋嶋さん

 変化が激しく正解がない時代。新しいリスクや多様な顧客ニーズの変化に対応していくためにはD&Iが欠かせないと、鍋嶋さんは強調する。

 「社員一人ひとりが生き生きとやりがいを感じながら、またエンゲージメントを高く仕事に取り組めることで個人の成長につながり、会社の成長にもつながる。ジェンダー、国籍、人種など関係なく、一個人として力を最大限発揮できるかが大きなテーマだ。People’s Businessである保険会社にとって一番大事なのは人。その人らしく持てる力を発揮できる環境をつくっていきたい」

 まずはジェンダーギャップ解消だ。現在、東京海上日動火災保険の女性社員の比率は58%、女性管理職の割合が9.5%。2030年度までに目指す管理職の女性比率は30%だ。同時にエンゲージメントの向上や働き方の改革も進める。同社には、国内外問わず転勤のあるグローバルコースと、転居を伴う転勤のないエリアコース、その中で一定のエリア内で転居を伴う転勤のあるエリアコース・ワイド型がある。「働き方改革の一環として、来年度からは地方勤務のエリアコース社員が本店コーポレート部門の所属となり、居住地を離れることなくリモートワークを活用して多様な業務に挑戦できる“リモートJOBリクエスト制度”も開始。働く場所の柔軟化に積極的に取り組んでいる」。また、働く時間の柔軟化の取り組みとして、午前5時から午後10時までの間に所定労働時間の7時間を自由に選べる制度を今年度から導入した。

 社員の“成長の機会”を阻害するアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込みや偏見)の払拭にも着目。「例えば出張の必要が生じた時に、マネージャーは育児中の女性社員には無理と頭で決めて他の社員をアサインしがち。その女性社員がその仕事に最も適任なのであれば、まずは本人に打診することが重要なのでは。思い込みで部下の可能性を狭めてほしくない」。アンコンシャス・バイアスをテーマとした「TOKIO MARINE GROUP DIVERSITY&INCLUSION FORUM」を2017年から継続開催し、グループ各社の部店長クラス延べ400人超が参加。今年は全社員向けのプログラムも実施予定だ。

2019年度に開催した「TOKIO MARINE GROUP DIVERSITY&INCLUSION FORUM」の様子

多様性のシナジー、成長源に

8月に開催されたダイバーシティカウンシルにて

 東京海上グループ全体でD&Iの取り組みを加速させるため、ダイバーシティカウンシルを創設した。グローバルに事業を展開し拡大してきた中、各地域で異なる優先課題について、グループ各社と対話をしながら取り組みを進めていく重要なプロセスになる。「気候変動、サイバーリスクなど新たなリスクを本業として扱う中、多様な意見をぶつけ合ってシナジーを生み出し、新しいソリューションを創出することがますます重要。各社ごとの歩みを止めずに、グループとしての取り組みと進捗を、透明性を持ってステークホルダーに発信していくこともCDIOの大事な役割」と自らの役割をとらえている。

お客様や地域社会の“いざ”を守るのが目的

社員一人ひとりがやりがいをもって働けてこそ、未来のリスクに対応できると鍋嶋さんは力を込める

 鍋嶋さんはD&Iを「グループ全体の成長戦略の根幹でありサステナブルな未来への指針」と強調する。

 「当社のパーパスである『お客様や地域社会の“いざ”をお守りすること』を実現していくためには、場面ごとに変わっていく“いざ”に対して真摯に向き合って新しいソリューションを提供していく必要があり、それができないとグループとしての成長もない。地域、ビジネスが分散し、多様な人材がいるグループの強みを生かし、いろいろな知恵と横のつながりを生かして、ベストプラクティスを共有できるメリットを追求したい。これからは空飛ぶクルマや宇宙旅行も限られた人だけのものではなくなるかもしれない。今までになかった新しいリスクが増えてくる中、それらに対応し、お客様の多様なニーズにお応えしていくためにD&Iは不可欠。一人ひとりがやりがいを持って生き生きと働き、成長を実感できる環境や企業風土を作っていくことは、最終的には当社のパーパスの実現につながる」

 最後に「一人ひとりがその属性ではなく、それぞれユニークな存在として認められる社会づくりに貢献できればうれしい」と自らの思いを語った。

PROFILE

鍋嶋 美佳(なべしま・みか)
1991年東京海上火災保険(現・東京海上日動火災保険)入社、企業損害部に配属。入社以来、一貫して損害サービス畑を歩み、お客様の「いざ」を支え、事故発生後の問題解決や事故の予防・再発防止に取り組む。95年東京損害サービス第一部。育児休業を2回取得した後、2000年に神戸に転勤。03年にニューヨーク、06年からはロサンゼルスと7年間米国に駐在した。10年コマーシャル損害部、14年埼玉損害サービス部、17年に米国現地法人のシニアバイスプレジデント、19年4月に東京海上ホールディングス人事部長、21年4月より現職。

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