Empowerment Report

エンパワーメントレポート

“みんなに成功体験を味わってほしい” 相手を知り、伝える力を伝授

東京海上日動火災保険 西東京支店次長 兼 府中支社長

樋口 裕美さん

2021.12.24 掲載

東京海上日動火災保険の雇用形態には、国内外を問わず転勤のあるグローバルコースと、転居を伴う転勤のないエリアコース、一定のエリア内で転居を伴う転勤のあるエリアコース・ワイド型があり、本人の意思で転換を希望することもできる。府中支社長の樋口裕美さんは、エリアコースとして入社し、地元の熊本県内の営業支社事務から営業への役割変革を経験。その後エリアコース・ワイド型に転換し、福岡で九州ブロックの人材育成や営業支援業務を束ね、グローバルコースに転換し現在に至る。「入社時は何もわからず“受け身”だった」と語る樋口さんは、「自分が携わることで変化する」成功体験を重ね大きく成長した。

“事務は受け身”から“能動”へ

自ら携わることで相手が変わる喜びを知り仕事が面白くなった

 樋口さんは1994年にエリアコースで入社し、熊本支店玉名支社で事務を担当する。当初、「事務は受け身」と感じていた樋口さんが、仕事を面白いと感じられるようになったのは2年目の時。申込書の作成などを保険代理店自身でできるシステムが構築され、一部の保険代理店に導入され始めた。今後、これが当たり前になると直感し、自ら積極的に代理店に声をかけ、操作方法のサポートにも多くの時間を割いた。システム導入に対しネガティブだった代理店の反応が、どんどん前向きになっていく。「人は変化を嫌うが、一緒に寄り添い、代理店さんが喜ぶ顔を引き出せた。だったらもっといろいろなことが改善できるはず」。非効率と感じていたことをどんどん口に出して、社内のメンバーにも働きかけることが楽しくなった。この年はまた「自分でなければできない仕事をやる」という上司の言葉に影響を受け、「保険会社の社員でないとできない領域をもっと広げよう」というスタンスに完全にシフト。支店内での役割も少しずつ広がっていった。

あえて強みに頼らず、営業に集中

相手の悩みに寄り添い、改善を提案するスタンス貫く

 事務に16年携わった後、熊本支社で保険代理店の営業担当に役割が変わった。「営業1年目は、自分の強みである事務ではなく、営業として自分にしかできないことをやるために時間を割こうと思った」と言う。代理店の経営支援に携わり、営業成績を伸ばすことに注力。なかなか成果を出せずにいた中、他社商品をメーンに扱う代理店に対し、新商品の発売をきっかけに新たなマーケット開拓の切り口を提案。勉強会を開催したところ評価してもらい、大きな成果を上げた。「自分で考えて提案したことを通じて、相手に喜んでいただけることがあると分かってから、自由にアイデアを出してどんどん提案していくことがすごく楽しくなった」

 やがて支店長に背中を押され福岡の九州業務支援部へ。転居を伴う初めての転勤だ。九州ブロックを束ね、エリアコース社員の人材育成、営業支援をする役割に。「全体を一律にレベルアップするのは難しい。要員が不足していたり、人材育成に苦戦している支店を集中支援する方向に変えた」。ここでも困っていることを探り当て、寄り添い、改善を提案するスタンスが役に立った。

自らの意志でグローバルコースへ

営業最前線に出た出向時、顧客や代理店の立場を真に理解した

 九州で携わった様々な業務における活躍で周囲からの評価を高めた樋口さんは、自らの意志で2018年にグローバルコースへ転換した。同社100%出資の代理店、東京海上日動パートナーズ(TNP)に出向し、愛媛・今治に赴く。造船やタオル産業が盛んな同地で、法人顧客を中心に訪問する日々。「お客様の立場、代理店の立場を身に染みて理解できた」と振り返る。保険会社側の論理だけで伝えようとしても、相手は腹落ちしない、「当社社員の視野を広げ、提案し伝える力をもっと強くしなければ」と痛感した。そうした宿題も感じながら、今年4月に東京海上日動に戻り組織長へ。西東京支店府中支社長として現在活躍している。

勇気引き出すのが私の役割

評価されない時ほど、なにくそと頑張れた負けず嫌いと自己分析する

 現在、特に力を入れるのは人材育成だ。「相手に動いてもらおうと思ったら、もっと相手を分析して、その中で何ができるかシナリオを考えられないと相手の心を動かすことはできない。そこまでの強い気持ちで仕事をしてほしいので、やり方も含め育成している」。支社のメンバーに対して、代理店支援力向上を目指した勉強会や、プレゼンテーション勉強会を講師持ち回りで実施。「営業成績など成果が出る体験をみんなと一緒に味わいたいというのが一番望むところ」と語る樋口さん。自らの経験から確信している部下への思いだ。

 これまでの会社生活を振り返り、「常に公平な評価をしてもらえてありがたい。自分ができていない状態や自身の考えだけでは足りない時、指摘やアドバイスをもらえるなど、上司には本当に恵まれた」と語る。最初は「女性が担当?」といぶかしがられることもあったと言うが、相手の立場に立って真摯に対応し、約束を破らないことを是とする樋口さんが去る時には必ず言われた言葉が「あなたが担当してくれてよかった」

 そんな樋口さんから女性へのメッセージをもらった。「女性は自分を過小評価したり、新たに挑戦することに不安を感じがち。私も新しい役割を担うたび、毎回どうしようと悩む。でも仕事は組織でするもの。ペアの担当と一緒に取り組む、社外の方にも働きかけるなど、いろいろなやり方があると思う。周りを巻き込めばこっちのもの。そこを理解した上で勇気を持って挑戦してもらいたい。その勇気を引き出すのが私の役割だと思っている」

PROFILE

樋口 裕美(ひぐち・ひろみ)
1994年東京海上火災保険(現・東京海上日動火災保険)エリアコース社員として入社、熊本支店玉名支社で事務担当。98年熊本第一支社で事務リーダー、2004年熊本西支社で支社の事務統括に。06年熊本支店業務グループで保険契約の計上業務を取り仕切る。10年熊本支社で営業担当に役割改革し、13年に管理職に昇格。15年エリアコース・ワイド型に転換し福岡の九州業務支援部部店支援グループへ。18年グローバルコースへ転換しグループ会社のTNP中国四国へ出向。21年より現職。

TOPに戻る