Empowerment Report

エンパワーメントレポート

“いざ”を防ぐのも保険の使命 
ロスプリ推進へチーム一丸

東京海上日動火災保険 コマーシャル損害部 ロスプリ&テクノロジー戦略チーム(LTS) 課長代理

平山 麻子さん

2023.07.07 掲載

社会活動や日常生活の中にあるリスクに対して、補償という形で安心を提供する損害保険。「お客様や地域社会の“いざ”をお守りすること」をパーパスに掲げる東京海上日動は補償による安心に加えて、事故を防ぐ、万が一事故が起きても被害を最小限にとどめるための対策を講じる取り組みにも注力している。同社コマーシャル損害部の平山麻子課長代理は、企業向けロスプリベンション(損害防止)を専門に取り扱うロスプリ&テクノロジー戦略チーム(LTS)の担当者の統括役として多忙な日々を送る。

年400件の現場訪問で安全策探る

「保険という形のない商品の価値が具現化するタイミングに携わりたかった」と損害サービス部門を志した

 どうすれば倉庫内の安全を確保しながらオペレーションできるのか――。平山さんは顧客である名古屋の運送会社の倉庫環境について頭を悩ませていた。

 東京海上日動のLTSはロスプリに特化したチームだ。同社によると社内にロスプリ専門の部署を置くのは損保業界では珍しいという。LTSは専門調査員を現地に派遣し、デジタルツールも活用しながら企業の操業中の安全上のリスクを洗い出す。さらには人間工学や、これまで同社が蓄積してきた保険事故のデータや知識、経験などに基づいて事故防止策を提案。それを実行に移してもらうことで事故の防止に貢献するという大きな役割を持つ。

 万が一の事故に備えて加入する損害保険だが、そもそも事故が起きない、事故を起こさないことが加入者や社会にとって最も理想的だ。同社は1980年代からロスプリに着目し、事故防止に関する活動を続けてきた。その後、2018年に社内の専門組織としてLTSを新設。大企業から中小企業まで企業規模に関わらず幅広い業種に対応している。

 現在は東京本社のほかに大阪、名古屋、福岡にも調査員を置き、本社にいる7人のチームメンバーと30人弱の調査員が一丸となってロスプリ推進のため全国各地の顧客の元に通う。訪問数は年間400件に上り、毎日1件以上はどこかの現場に入っている計算だ。

 「第三者の視点で、自分たちでは気付かなかったリスクを指摘してくれる」と顧客からの評判も上々だ。現場を視察して改善点をまとめた提案書を顧客の経営会議で説明することもあるという。

「マイナスをプラスに」損保業界を志す

LTSでは顧客のリスクの多様化に合わせ、ウエアラブルデバイスやAR(拡張現実)など最新技術を駆使した取り組みも進める

 そんなLTSチームの中心として22年から活躍しているのが入社14年目の平山さんだ。09年にエリアコースとして入社し、本店損害サービス部に配属。法人向けの自動車事故対応の業務に当たってきた。

 入社後の彼女に任せられたのは、けがを伴う事故や当事者双方に責任割合が発生するような事故の示談交渉。けが人がいない単独事故よりも状況が深刻、複雑であることが多く、事案ごとに対応が異なる。そのため保険加入者や事故の相手側との迅速かつ丁寧なやり取りが欠かせない重要な業務だ。

 「マイナスの状況をプラスに変えられるような仕事に携わりたい」と損保会社への就職を志し、希望の損害サービス部に入った平山さん。事故の当事者である顧客に話を聞く時は事故発生時の現場の状況をリアルにイメージできるように頭をフル回転させた。

 状況によっては弁護士や車両の損害確認等を専門に行う調査員などと緊密に連携を取りながら示談交渉を粘り強く続け、いくつもの難しい事案をまとめ上げてきた。時には厳しい交渉もあったが、職場の同僚と相談し合いながら乗り切った。「迅速に対応してもらって助かった」と顧客から感謝の声をかけられたときは、「この仕事をしていてよかったと実感した」と振り返る。

入社12年目で40人超の統括役に

「どんなに忙しそうな時でも、相談事があってこちらから話しかけると手を止めてちゃんと話を聞いてくれる」とLTSメンバーからの信頼は厚い

 自動車事故対応で着々と実績を積み重ねてきた平山さんは18年に東京自動車損害サービス部に異動。入社12年目で40人超のチームの統括役を任された。

 チームの業務は自動車事故対応で、現場は女性社員が多い部署。自分よりも経験豊富なベテランぞろいの社員にいかに信頼してもらい、組織全体を同じ方向に動かしていくか。まずは仕事の苦労や悩みをより深く知ることが彼女らを理解する第一歩だと考えた平山さんはチームを取りまとめながら、自らも事故対応の業務に当たった。

 保険業務の現場でもDX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進む。平山さんは率先してデジタル知識を習得。新システムが導入されたときはIT(情報技術)が苦手な社員もシステムを使いこなせるようになるまで何度も勉強会を開いた。

 スムーズな組織運営のため社員との密なコミュニケーションに心を砕いた。始業前やお昼休みに雑談を交わしたり、年配の社員には「お孫さんは元気ですか」などと積極的に声をかけたりすることで良好な人間関係を築いていった。

プロリク参加、経験の幅広げる

趣味は旅行とゴルフ。最近は念願の海外旅行も再開した(ハワイにて)

 チームリーダーとして活躍する一方で新たな取り組みにも挑戦した。本業を担いつつ別の部署のプロジェクトに参加できる社内副業制度「プロジェクトリクエスト(プロリク)」への参加だ。平山さんがメンバーとして加わったのは、同社に蓄積している様々なデータを分析し、その活用先を開拓することで新たな価値提供を目指すプロジェクトだ。

 具体的なミッションは、現場の営業社員が企業にGLTD(総合生活保険)の加入を勧める際に使うことを想定した、「なぜ所得補償保険が必要なのか」を裏付けるデータの体系化。東京本社に加え広島や水戸など各エリアの損害部門に所属するプロリクメンバーが定期的に打ち合わせをしながら業務を進めていった。「これまでとは全く異なる仕事を、同じ志を持つ全国のメンバーと切磋琢磨しながら進める経験ができたのは大きかった」(平山さん)。

 東京海上日動の特長に「若手にもどんどん責任ある仕事を任せてくれる点」と「社内の風通しのよさ」を挙げる。「お客様の“いざ”をお守りするという、当社のパーパスを実現するために何ができるかを、営業やサービス部門、損害部門など全ての社員一人ひとりが考えて動いている点が強み」と力を込める。

 LTSの若手メンバーからお姉さん的存在として慕われる平山さん。「現在注力しているロスプリのソリューションをもっと進化させて、保険会社として新たな価値を提供していきたい」と今後の目標を語った。

 どうすれば事故を防ぐことができるか――。顧客の安全のため平山さんはきょうも考え続ける。

PROFILE

平山 麻子(ひらやま・あさこ)
2009年本店損害サービス部損害サービス第四課入社。18年東京自動車損害サービス部損害サービス第六課を経て、22年コマーシャル損害部ロスプリ&テクノロジー戦略チーム(LTS)。

TOPに戻る