協創が研究者のキャリアの一部に

技術本部企画部 協創推進グループ
協創企画・管理チーム
協創ユニット リーダー
山本 今日子氏(※部署名・肩書は取材当時のものです)

唐橋氏 新しい研究開発棟に協創の拠点を設けることについて、研究者の皆さんはどのように受けとめているのでしょうか。ここに集まった皆さんも全員が研究者として勤務されていたとうかがっていますが。

山本氏 新研究開発棟の完成時に、もう1つ別の場所にあった研究施設を、横浜テクニカルセンターの方に統合することが決まっていました。この情報が先に社内に広がっていたので、多くの研究者は、「AO」の開設よりも統合に伴う引っ越しに対する関心の方が高かったというのが現実だと思います。研究用の機材が大量にあるので研究所施設の引っ越しは、当事者にとって大きな問題です。

だからといって協創に無関心というわけではありません、協創が研究開発に欠かせない要素になっているという認識は、以前から着実にAGCに勤務する研究者の間に広がっていると思います。特に若い研究者にとっては、もはや当たり前のことになっているのではないでしょうか。私自身は、「AO」の企画・運営にかかわる前は樹脂設計が専門の研究者でした。その立場で考えても、「AO」から革新的な成果が生まれることが楽しみです。実は、近く異動して研究開発の現場に戻ることになっているのですが、「AO」で協創プロジェクトのマネージャーを務めた経験は、今後の研究活動の幅を広げるうえで大きなチカラになるだろうと思っています。

唐橋氏 研究者の意識が変わりつつあるわけですね。

加藤氏 私と河合は、「AO」の立ち上げにかかわる前は共にウェットコーティングと呼ばれる材料の表面処理技術の研究に従事していました。もともと、私は10年くらい研究開発に携わってから、営業技術などお客様と接する別の部門に異動したいと思っていました。実際には、研究開発の企画部門に異動し、そこで「AO」の立ち上げにかかわることになりましたが、希望していた方向にキャリアが進んでいると思っています。

技術本部 企画部協創推進グループ
協創企画・管理チーム
協創ユニット マネージャー
河合 洋平氏

河合氏 私は大学で経験した研究活動を続け、特定分野のスペシャリストになりたくてAGCに入社しました。幸いなことにある研究成果が事業化されて会社に貢献しました。研究者として、この上ない経験をすることができたと思っています。ところが、このころから研究開発の視点で素材の価値を追求しているだけでは、本当に価値のあるよい成果は生まれない。もっと「人」の視点が必要だと考えるようになりました。

これをキッカケに、会社の枠を超えて異分野のデザイナーなどとの協創活動を個人で始めました。こうした個人の活動と「AO」における業務で目指す方向がほぼ一致しているので、自分が描いているキャリアパスの中に「AO」での活動が含まれていることに違和感はありません。むしろ自然の流れだと思っています。

中川氏 指導教授の影響を受けて大学生のころから、ものづくりで人の役に立ちたいと思っていました。困っている人の役に立ったときにこそ技術の価値が生まれると思っています。縁があって研究者としてAGCに入社しましたが、こうした思いをずっと持ち続け、どうやったら人に価値を届けることができるのか、いつも考えていました。

「AO」の企画・運営にかかわることで、様々な社会課題にまつわる情報を社外から得る機会が増えました。しかも、その課題を解決するプロジェクトに参画することができるわけです。「AO」によって学生時代から抱いてきた思いを実践するための道が開けたと思っています。

唐橋氏 皆さんのお話をうかがっていると、「AO」のような協創の場は企業の研究開発において、もはや欠かせない存在になっているように思いました。今後、協創プロジェクトが次々と立ち上がれば、「AO」を中心に研究開発の新しい流れが一段と鮮明に見えてくるかもしれません。「AO」は、まだ立ち上がったばかりですが、今後はどのような展開を考えていますか。

加藤氏 準備を進めているときから、「AO」を立ち上げることを目的にしないように心がけていました。「AO」のミッションは、新しい社会課題を見いだして、それを起点に新事業を創出することです。このミッションを忘れてしまうと、小さくても形になる成果が出たところでプロジェクトを終えてしまうことになりかねないからです。これでは活動は広がらず、「AO」の存在意義がすぐに失われてしまうでしょう。実際に、そのような状況になったオープンイノベーション拠点があることも耳にしています。

新事業創出という目標に向けて「AO」の活動を広げるためには、できるだけ多くの人を巻き込むことが重要です。そのためには、「AO」に人や情報が集まる仕掛けが必要です。ただ協創空間を使っただけで、協創に対する人の意識が変わるわけではありませんから。

そこで当面はワークショップなど人が集まる企画を積極的に展開するつもりです。社内向けの企画を用意して、まず社内の人材を巻き込む。そこで生まれた新しいテーマを基に、今度は社外を巻き込む企画を展開する。こうした活動を継続して展開することで「AO」の活動規模を拡大する考えです。より多くの方を巻き込むには、積極的に情報を発信して常に多くの人に声をかけ続けることが重要だと思っています。

河合氏 巻き込む企画の手始めとして2021年10月から、「サステナブルラボ」と題して、「SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)」をテーマにしたワークショップを、「AO」で2カ月にわたって開催しています。AGCの社員を対象にした企画です。

唐橋氏 社員の反応はいかがですか。

河合氏 80名ほどが参加していますが、正直、想定よりも少ないと感じています。SDGsは身近なテーマなので、もっと多くの人が集まると思っていました。少なくとも100人は超えるはずだったのですが…。引き続き、様々な企画を展開して「AO」における活動の規模が広がるように努めます。

加藤氏 「AO」が目指しているのは、協創によって新しい事業につながるアイデアを創出し、AGCの事業変革を後押しすることです。変革は勝手に進むものではありません。努力の手を緩めると変革は止まってしまいます。AGCメンバーの力を合わせ「AO」の活動を継続することで、変革を加速したいと思っています。

唐橋氏 「AO」の活動をキッカケに、110年以上の歴史を誇るAGCが、これからどのように変わるのかが楽しみです。本日はありがとうございました。

前編はこちら

唐橋 ユミ(からはし ゆみ)

福島県喜多方市生まれ。
テレビユー福島のアナウンサーとして活躍。現在TBS系列「サンデーモーニング」、TOKYO FM「ノエビアカラーオブライフ」、NHKラジオ第1「イチ押し歌のパラダイス」、BSフジ「感動!大相撲がっぷり総見」などに出演中。

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