AI・デジタルツイン・データ基盤Forum
クラスメソッド
執行役員 AWS事業本部 本部長
菊池 修治 氏
いま、多くの企業が生成AI活用を本格化しようとしている。ビジネスへの適用で気になるのは、セキュリティやガバナンスだ。安心・安全な環境で生成AIを活用するためには、どのようなポイントに注意する必要があるだろうか。この分野で多くの実績を持つクラスメソッドは、AWSのセキュリティ機能やガバナンス機能を最大限生かした形で、ビジネスニーズに対応する生成AI活用を提案している。
クラスメソッド
菊池 修治 氏
2004年に設立されたクラスメソッドは、クラウドの普及とともに事業を急成長させてきた。グループの従業員は約700人。AWSをはじめとするクラウドの技術コンサルティング・開発・運用、アプリケーションの企画開発・運用など、クラウド関連の業務を多方面で手掛けている。
約3000社の企業への支援実績があり、近年は生成AI関連のサービスにも注力している。クラスメソッドの菊池修治氏は「当社は生成AIの専門家を多数擁しており、技術的な支援からビジネス課題解決に向けたPoC支援、教育支援など幅広いサポートを提供しています」と語る。
例えば、社内で生成AIを活用するための環境の構築、生成AIに関する技術コンサルティング、生成AIを活用したアプリケーション構築といったサービスがあり、生成AIに関する教育支援も行っている。
2022年、OpenAIが発表した「ChatGPT」は、従来のAIをはるかに凌駕する高精度、使いやすいテキストのインターフェースでユーザーを驚かせた。ほぼ同時期に登場したStability AIの画像生成AI「Stable Diffusion」も、その精度と柔軟性の高さなどにより大きな注目を集めた。
「従来のAIは画像生成や翻訳といった目的ごとにプロジェクトを立ち上げ、データを集めてAIモデルを開発していました。AIモデルごとにPoCを実施し、費用対効果を検討しました。これに対して、ChatGPTやStable Diffusionといった生成AIは基盤モデル(FM:Foundation Model)や大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)を備えており、入力したプロンプトに基づいて様々なタスクを高精度で実行することができる。AIはつくる時代から、使う時代へとシフトしつつあります」と菊池氏は語る。
いま、クラウド事業者は生成AIへの対応を加速している。代表的な例は、いち早くOpenAIと提携したマイクロソフト、会話型AIサービス「Gemini」を提供するグーグル、生成AIサービス「Amazon Bedrock」と生成AIアシスタント「Amazon Q」を展開するアマゾンなどである。
「例えば、文章や画像、コードの生成ができるほか、文章の要約や翻訳などもできる。また、文脈を踏まえた会話、指定した役を演じることもできます。生成AIは様々なビジネスシーンに適用することで、大きな効果を期待することができます」(菊池氏)
人材不足への対策として生成AIへの期待が高まっている面もあるが、それだけではない。生産性向上やイノベーションを実現する上で、生成AIを重要な要素ととらえる企業も少なくない。
「イノベーションを実現するための3要素がデータと生成AI、人間です。企業の持つデータの約9割は非構造化データといわれ、データベースなどに整理されていない状態で蓄積されています。こうしたデータを含めて活用し、多様な生成AIと組み合わせて価値を創出する。そのためには、社員の知識やスキルの向上が欠かせません」と菊池氏はいう。
生成AIのビジネス活用を検討する上で、避けて通れないのがセキュリティやガバナンス上のリスクである。
よく指摘されるのが、入力したデータが生成AIの学習に使われ、生成AIを通じて第三者に渡る可能性だ。こうしたリスクを回避するためには、サービス事業者のポリシーや規約などをよく確認する必要がある。また、生成AIの活用がクリエーターなどの権利侵害につながる場合もある。
「出力されたテキストや画像などはどの範囲で利用できるのか、利用する際の法的責任範囲についても確認しなければなりません。加えて、ビジネスとしてふさわしくないコンテンツが入出力されるリスクもあります。サービス事業者のコンテンツフィルター、禁止トピックの設定についても理解する必要があります」と菊池氏は話す。
以上のような注意点を踏まえた上で、生成AI活用の実践フェーズへと進む。「AWSでは、生成AIを支えるサービス群を3つのレイヤーで定義しています。
最下層は仮想マシンやネットワーク、セキュリティなどインフラ関連のサービス。その上がAmazon Bedrockで、一番上のアプリケーション層には生成AIをすぐに使える様々なサービスが用意されています」(菊池氏)