New Future 日経ビジネス 電子版SPECIAL

N e w F u t u r e

Vol.17 CEOが掲げる野心的な目標への共感が
不確実な時代を切り拓く羅針盤になる

日本企業が新たな価値創出の道筋をつける
パイオニアとなるための3つの要諦

 これまで企業が行ってきた事業変革とTERの考え方には、どんな違いがあるのでしょうか。

村上最も大きな違いは、従来とは異なる新しい価値を探し出し、生み出していく点です。

 そして、変革は一過性のものではなく、持続的に取り組むことも意識しなければいけません。例えば、1年後の新ビジネスのために外部から事業そのものを買うなり、必要なケイパビリティを獲得することは分かりやすい打ち手です。しかし、それではいつまでたってもその構造から抜け出せません。社会は変わり続けるので、企業も変革し続けることを前提とする必要があります。

村上隆文 氏

村上隆文 アクセンチュア
ビジネス コンサルティング本部
テクノロジーストラテジー&
アドバイザリーグループ日本統括
マネジング・ディレクター
業界横断でテクノロジー戦略及びアドバイザリーを担当する組織の責任者。20年以上にわたり、金融・通信・製造・小売・インフラなどの幅広い業界で、テクノロジー戦略、ITトランスフォメーション、PMI等のプロジェクトに従事。テクノロジー戦略、イノベーション戦略、IT投資戦略、ビジネス・ITトランスフォメーション、大規模システム導入等に多くの知見を持つ。経済産業省「産業・金融・IT融合に関する研究会」(FinTech研究会)メンバー、日本情報システム・ユーザー協会 監事を務める。

廣瀬やはり、変革への本気度が問われています。現在の成功モデルがあったとしても、それが今後10年、20年継続するのは非常に難しいと考えるべきです。今から次の成長のための探索を行い、新しいビジネスに挑戦するための経営資源を投下していくことが不可欠です。

 とくに大企業で現業がある程度順調な場合は、危機感を共有することが難しいと思います。むしろ「できない理由」を並べてしまうかもしれません。そこで、短期で結果を出すことに必死で取り組んでいる野心的な大企業やスタートアップと連携するなど、外部の圧力を使って自らを追い込むことも有効です。

 いざ改革に着手してからも、活動は中長期にわたるため、その間にだんだんと勢いがなくなっていきます。そのため、最初にどれだけ高い角度で立ち上げられるかが、最終的な到達点に大きく影響します。

 改革への意欲が生まれている企業は、増えていますか。

廣瀬間違いなく増えています。また取り組み自体も手の届く成長にとどまらない意欲的なものが多くなっていると感じています。

 TERを進めるために、企業は何から着手すればいいのでしょうか。

村上企業は改革にあたり、「目線は高く、実行は深く」と考えて取り組むべきです。当社が提唱しているのが、次の3つの要諦です。

 最初に、先ほどお話しした「CEOによる野心的なビジョン」の提示です。経営者は、潜在的な社会の変化を捉え、それを踏まえて自社を取り巻く産業や社会を自社がどう変えていきたいかを描く必要があります。

 次に、変革し続けるための事業基盤を持つことが重要です。これは「デジタルコア」と呼ばれ、企業全体で円滑にデータをやり取りできる相互運用性の高いシステムを実装し、クラウド、データ、AIの力や新興技術を取り込むことで、新たな事業ドメインやケイパビリティへの対応、新たな価値創出を迅速に行えるものを指します。企業全体のデータを一元管理し、AIなどの先端技術を全社的に使えるようにすることで、データから新しい価値を生み出すことができるのです。また、デジタルコアによって、M&Aなどの際に獲得した新たなケイパビリティを素早く活用できるようになり、価値創出においてスケール感を持って実現することができます。

 そして3つ目が、ビジョンとデジタルコアを生かし切るための、企業を超えた「共創型の働き方」です。複雑さを増す社会において、自社だけで解決できる課題はほとんどありません。社内において、まだ見えない新しい価値を追い求め、組織横断で協働できる組織風土をつくり上げることはもちろん重要ですが、その範囲を社外に広げ、共感を通じて外の力を巻き込みながら、より大きな力を生み出していくことが求められています。

図1

図1:トータル・エンタープライズ・リインベンションの3つの要諦

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