New Future 日経ビジネス 電子版SPECIAL

N e w F u t u r e

Vol.17 CEOが掲げる野心的な目標への共感が
不確実な時代を切り拓く羅針盤になる

日本のビジネス環境は、
協働の価値を生み出しやすい

 TERに向けた変革を実現する企業には、どのような例があるのでしょうか。

村上例えばデジタルコアの構築では、以前は企業内で先端テクノロジーを扱う部署を作り、その中で活用を検討するケースが多かったと思います。しかし、企業全体で取り組まなければ、競争力に転嫁できないことが分かってきました。そこで成功している企業では、IT部門とデジタル部門を一体化して、大きな活動にする動きが見られます。

 加えて、成功している企業に共通して見られる特徴は、社内で成功事例を共有し、勝ちパターンを認識させる仕組みを作っていることです。経営トップが、新しい価値を生み出す取り組みにチャレンジすることを後押しし、既存の仕組みに比べてどれだけ効果があったのかを経営メンバーをはじめ、組織に浸透させています。

 必ずしもトップダウン型アプローチのみが全社的な変革を実現する手法ではありません。例えば、経営は大きなビジョンとサステナビリティなど大枠のアジェンダ設定と予算配分を行い、実際の価値創出は各事業部門の自律性を重視することで、効果的に成果を上げている例もあります。

 いずれの成功事例も、共通するのは組織横断型のコラボレーションです。自社内にない能力は、積極的に社外に求めていくことが必要です。代表例として米ウォルマートは、店舗とECの融合だけでなく、金融機関やヘルスケア企業と連携することで、消費者に新たな価値を提供しています。

 ウォルマートも最初からうまくはいかなかったと記憶しています。失敗を糧に成功を勝ち取ることが必要ですが、日本企業は失敗に厳しいと言われます。

廣瀬だからこそ、企業のトップが、自社が目指す“山の頂上”を定めることが重要です。頂上への道は1つではありません。失敗しても目的がブレていなければまた別の道を探索でき、ステークホルダーの理解も得られるでしょう。

 TERの取り組みは、デジタルコアの構築から組織改革まで、多岐にわたります。自社だけで成し遂げるのは難しい企業も多いと思います。

廣瀬この点について、日本のビジネス環境は非常に恵まれていると思います。東京の経済規模、人やビジネスの集積度は世界屈指の水準にあり、そのポテンシャルをまだ生かし切れていません。今後のコラボレーションが生きる余地は十分にあります。

村上欧米企業は、役割分担主義を貫くことで効率化を追求してきました。一方、日本企業はすり合わせる能力が高い。互いに良いところを持ち寄って助け合いながら成果を出すことに長けています。例え足元の利害は異なっても、中長期で協力できる関係を作れる文化を持つ日本企業は、TERに適しているのです。

廣瀬これから10年のビジネスの展開が、日本の未来には非常に重要だと思います。アクセンチュアの知見と最新テクノロジーを使って、ぜひ共に一歩を踏み出していきましょう。

廣瀬氏、村上氏
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