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N e w F u t u r e

Vol.2 BPR・SSCの罠を越え、
DXで企業価値を向上するために
業務変革から人材再配置まで、
トータルで支援する
“伴走型BPO”とは?

BPRやSSCで業務効率化を進める企業が増える一方、思うような効果を出せないケースも多く見られる。そのボトルネックはどこにあるのか。従来型のBPOにデジタルBPR、さらには業務変革から創出された人材の再配置(リスキリング)までを統合して提供するアクセンチュアのオペレーションズ コンサルティング本部の取り組みを紹介する。

日本企業でBPR・SSCが
うまくいかない“罠”とは

 自社の業務の一部を外部に委託するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)に対するニーズが高まりを見せています。その背景をどう考えますか。

山形事業そのもののデジタルシフトと働き方改革というかねてよりの潮流にコロナ禍も加わり、労働生産性の向上が待ったなしとなり、その確実な実現手段としてBPOに対する問い合わせが急増しています。BPOが注目されるその背景には、日本企業独特の文化に起因するBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング、業務改革)の難しさがあります(図1)。

 1つ目が現場部署の「変わることへの抵抗感」です。業務効率化を行うには現状のプロセスを変更する必要があります。その際に効率性が高まる「改善」への期待よりも、変更の結果、業務が回らなくなり後続部署に迷惑をかけてしまう「改悪」を恐れ、「であれば、今のままきっちりやっていこう」という現状維持の慣性の法則が働いてしまう現象です。厄介なのは、これが「決めたことは勝手な判断でやめずやり続ける」日本企業の良さでもあるということ。良さの裏側で起きている問題だけに、この慣性の法則の打破は一筋縄ではいきません。

 2つ目が「イレギュラー業務の多さ」。例えば経理部門の経費処理業務を例に取れば、当然締め日や証票には規定があるのですが、実際に業務の棚卸をすると、部署や個人別に様々なイレギュラールール・業務が出てきます。なぜそうなったのかの経緯を尋ねると、過去の一時点で「今回だけお願いします」と頼まれた際に、四角四面に断らずに融通を利かせて対応した結果、それが「今回もお願いします」になり、いつしか常態化しているのです。これも、「要望に対して柔軟・臨機応変に対応する」日本企業の良さの裏側で起こっている問題なのが厄介な点です。

 3つ目は、2つ目の問題を助長する関係にあるのですが「人材流動性の低さ」です。前述のようなイレギュラー業務は、担当者変更時の業務引き継ぎの過程で通常、自然浄化がかかります。「こんなイレギュラー対応はやめましょう」と。ただ終身雇用を背景に、また1つの部門の背番号の中でキャリアアップすることが多い日本企業では、当該業務の前任者は自分の部署の先輩であることが多く「やめましょう」という声を上げにくい。部署の視点から言えば、担当者が代わったごときのことで他部署に対するサービスレベルを変えることは許容されず、結果イレギュラー業務が温存され、さらに積み重なってゆきます。

 4つ目は、BPRが持つ大きな罠なのですが「BPR効果の消失」です。例えばとある部署で、RPAでもいいですし業務プロセスのリーン化でもいいですが、何かしらのBPR施策を打って、もともと丸1日100%の時間をかけてやっていた業務が80%の時間でやれるようになったとします。この場合、BPR効果はこの20%だと見なされますが、リアリティとしてこの20%はどうなるかというと消えてなくなります。悪く言えば休憩に行ってしまうし、よく言えば残された仕事を丁寧にやる。「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」、いわゆる「パーキンソンの法則」ですね。削減された効率化効果をそのまま現場の個々の担当者に置いたままにしておけば、蜃気楼のように消失します。「RPA導入により年50万時間削減」のような話をよく聞きますが、その削減された時間が本当に効果として刈り取れているのかが極めて重要なポイントです。

山形昌裕 氏

山形昌裕 アクセンチュア オペレーションズ
コンサルティング本部 マネジング・ディレクター
ソリューションデザイン グループリード
総合商社を経て2003年にアクセンチュアに参画。15年以上にわたり、流通小売業界・消費財業界を中心にビジネス改革を推進。特にクライアント企業のビジネス構造・組織構造を変えるトランスフォーメーションプロジェクトの実績多数。

 では、どうやって業務効率化を実現すれば良いのでしょうか。

山形誰が悪いということではなく、日本企業の文化的特性から現場の自然な力学の中では業務効率化が進みにくいので、それを突破するメカニズムを導入する必要があります。多くの日本企業にとって最良の業務効率化メカニズムはSSC(シェアード・サービス・センター)アプローチであると考えています。

 すべての部署の業務は「効率追求業務」と「成果追求業務」の2つに分類できます。「効率追求業務」とは、一定のアウトプットを最小のリソースで実現することをミッションとした業務で、先ほど例に挙げた経費処理業務等はこれに当たります。一方「成果追求業務」とは、一定のリソースで最大のアウトカムを実現することをミッションとした業務で、営業部門の商談業務等がこれに当たります。この2分類の中で、BPRの大票田である「効率追求業務」を全社全部署からSSCに集めて、ここで徹底的にデジタルBPRを行い、例えばSSCのある担当者が20%の業務効率化を実現できたら、SSCの他の人の業務を20%分巻き取って、巻き取って、という形で業務を寄せていく。そうしてヘッドカウントの形で人を浮かせ、浮いた人を再配置することで確実にBPR効果の保全をかけてゆく。そういったアプローチになります。

図1

図1:日本企業ならではのBPRに対する壁

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生産性を可視化し、
人材のモチベーション維持も仕組み化

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 SSCの成功のカギは何でしょうか。

山形アプローチとして正しいSSCも、成功させるためにはいくつかのポイントがあります。それらにしっかりアドレスしないと成功には至りません。実際、多くの日本企業がSSCを保有していますが、業務をSSCに集めるときには全社的に高い熱量で集めるものの、いったん集約ができたら「ここから先の効率化はセンター長、あなたの仕事です」と振られ、全社的協力体制も投資もないままにセンターが孤軍奮闘、効率化が進まずスタックする、というケースも非常に多いです。

 SSC成功のためのいくつかのポイントのうち2つを例示すると、1つ目が「業務の形式知化」です。SSCの中で20%の余力が生まれたら他の人の業務を20%分巻き取る、というお話をしました。この巻き取りをしようと思ったら業務が属人化していては駄目で、SSCの業務は誰でもできる粒度で形式知化・マニュアル化されていなければなりません。ただ、この粒度でのマニュアル作成はまずもって手間ですし、外部コンサルを使えばコストもかかります。なので、なかなかここまで対応できていないSSCが多いのです。

 2つ目が「生産性の可視化」です。SSCの主なKPIは生産性ですが、その生産性を測るためのすべを持っていないSSCがほとんどです。当然、SSCの中の各チームがその日処理しなければならない業務が終わったのか、終わらなかったのか、というレベルの生産性はどのSSCも見えています。ただ、どのくらい余裕を持って終わったのか、どのくらいギリギリだったのかまでは分からず、さらにはSSCの個々の社員について生産性が高い人・低い人の識別をつけられていないSSCがほとんどです。こうなると、生産性高く働いても報われることはないため、モチベーションの問題に直結します。類似の業務をしている2人でも必ず生産性が高い人・低い人は出てくるので、生産性が可視化されていれば2人のやり方の何がその違いを生んでいるのかを掘り下げることでBPR施策を抽出できるし、導入したRPAの継続的チューニングも行えるのですが、可視化できていなければこういったこともできない。いわばメーターのない車を運転しているような状態です。

 これらSSC成功のポイントを押さえ、その土台の上で徹底したデジタルBPRを進めるのがアクセンチュアのBPOです。SSCの運営そのものをアクセンチュアに委託するタイプの、いわゆる通常のBPOの形態でもサービスを提供していますし、クライアントの社内SSCとBPOを一体運営するなかでアクセンチュアのBPO機能を社内SSCに導入する「伴走型BPO」の形態でもサービスを提供しています。

 デジタルシフトが進むコロナ禍の今、求められているのはこれまでの延長線上にない異次元のビジネス変革であり、業務効率化はその実現に向けたヒト・カネのリソースを創出するためのイネーブラーにすぎません。本丸であるビジネス変革に注力するために、業務効率化については確立した手法を持つBPOを活用するのが賢明と言えるのではないでしょうか。

安本岳史 氏

安本岳史 アクセンチュア オペレーションズ
コンサルティング本部 マネジング・ディレクター
通信・メディア・ハイテク業界を中心に基幹業務・システムの刷新、組織改革、デジタル領域での新規事業立ち上げ等を多数手掛ける。企業のビジネス変革人材育成をサポートする「タレント・ディスカバリー・プログラム」を担当。

 グローバルで見ても、アクセンチュアのBPOは高い支持を得ています。その強みはどこにあるのでしょうか。

安本アクセンチュアのBPOの強みは「受託業務の間口の広さ」「実践的デジタルBPRのノウハウ」「効率化効果へのコミット」の3つです。

 アクセンチュアがBPOで扱う業務範囲は、人事・総務・経理といったバックオフィスはもとより、営業・マーケティングといったフロントオフィスにも及びます。アクセンチュアは豊富にビジネスコンサルタントを擁しているので、バック・フロントを問わず、クライアント企業の各業務を目的レベルから深く理解し、業務プロセスを正しく棚卸・設計することができます。

 加えて、世界最大級のBPOプレーヤーであるアクセンチュアは、膨大に受託している業務のなかで徹底したデジタルBPRに取り組み続けています。その結果、新たにクライアントから受託する業務の多くは、過去に受託した類似業務が存在するため、どういうメスの入れ方をしてどういう打ち手を施せば効果があるのかを理解しており、その経験・ノウハウを活用することでより早く、より深い効果創出が可能となります。

 さらには、こうした膨大な経験・ノウハウを背景に、BPOで受託した業務の効率化効果に明確にコミットしています。

 通常社内でBPR・SSCを進める場合、2つの問題がついて回ります。一つは、業務のマニュアル化にせよRPA導入にせよ、改革を進める当初に先行投資が発生してしまう問題。もう一つは、そのコストをかけた結果として効果が出るかどうかはやってみなければわからない、効果不確実性の問題です。アクセンチュアBPOの場合には、膨大な受託経験・デジタルBPR経験に基づき、お預かりする業務の現状に対して、どういうデジタルBPR投資を行えばどういう効果が出るのかのコストカーブを高精度に予測できます。BPO契約締結の時点でこのコストカーブをコミットし、かつ複数年契約を結ぶことでこのコストカーブを期間按分で平準化してBPO費用として請求するので、クライアント企業は先行投資と効果不確実性の問題を解消できるのです。

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DXおよびBPOの知見を生かし
ビジネス変革人材を育成

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 業務効率化の次の課題として浮上するのが創出された人材の再配置です。どのようなサポートを行っていますか。

安本まず考え方として、BPOによる余力創出を適材適所の契機と捉え、過去の経験や評判といった狭い視点ではなく、人材の供給側(対象者)と需要側(再配置先)の実態、要件を解像度高く視覚化することが大前提となります。

 人材を創出する「from」から候補先の「to」に再配置する上で、何が求められるのか。スキル・資質要件を明確にし、照らし合わせて対象者のスキル・資質をアセスメントし、そのギャップをどう転換するか、「how」の議論まで落とし込むわけです。

 その一連のリスキル(スキル再構築)を支援するサービスとして、2020年9月から始動させたのが「タレント・ディスカバリー・プログラム」です。従来のトレーニングプログラムと異なる点は、膨大な数のDXプロジェクトやBPOを手掛けてきた当社の知見、ノウハウを基にしたプログラムを提供できることです。コンサルタントを講師に、カテゴリー・業務ごとに実践的な講座をラインアップし、目指す変革人材レベルや現状スキルに応じて、自由に講座を選択できるのも特徴です(図2)。

図2 図2

図2:「タレント・ディスカバリー・プログラム」概要

 トレーニングプログラムに加え、先ほどご紹介した「伴走型BPO」は日本企業に合った新たなBPOスタイルとして人材育成の観点でも有効な手段です。アクセンチュアメンバーとともに社内SSCでデジタルBPRを進める中で、DXスキルだけでなくコンサルタントの持つ課題解決・ロジカルシンキングの能力も体得してゆくことができます。

 最後に、BPOを検討されている企業、読者の方にメッセージをお願いします。

安本多くの日本企業において構造改革が求められていますが、こうした改革を進める上で人材の再配置は避けて通れない課題です。BPOにも企業の実態に合わせた様々なやり方があり、社内で人材の流動化を図ることで、新たなタレント発掘も実現します。当社のような外部リソースも活用し、今こそ変革への一歩を踏み出していただければと願っています。

山形BPOの本質的な意味は「ノンコアのコア化による生産性の飛躍的向上」だと捉えています。「あなたのやっている業務はノンコアです」と言われてモチベーションが上がる人はいないと思います。生産性向上の源泉は、煎じ詰めるとその業務に従事する人材のモチベーションです。

 BPOは、そしてBPOノウハウを注入した社内SSCは、社内でノンコアとされてきた業務を預かって徹底的に効率化するか、徹底的に高度化するか、いずれにせよ徹底進化させることをコア業務とした組織です。BPO・SSCにノンコア業務を託した社員はコア業務に注力する。ノンコア業務を託されたBPO・SSCはそれらにコア業務として向き合う。結果、企業のすべての業務はコア業務として取り組まれ、高いモチベーションのなかで飛躍的生産性向上を実現してゆく。これがBPOの持つ本質的な意味だと考えています。

 コロナ禍がもたらす変化にどう対応するかという視点とともに、コロナ禍がもたらす変化をどう利用するかという視点も非常に重要です。いつかやらなければならなかった構造改革を一気に進める契機とも言える今、ぜひBPOを活用したトランスフォーメーションを検討いただき、企業価値向上を実現していただければと考えています。

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