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N e w F u t u r e

Vol.3 スマートシティに求められる
市民参画型の「アーキテクチャ」とは

「データは市民のもの」という原則にのっとり
イノベーションを起こす

 その標準モデルに関し、政府SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)において、アクセンチュアも参画する形でスマートシティ分野のアーキテクチャの研究が進められ、標準化モデルも公開されています。スマートシティを進める上でアーキテクチャがなぜ必要で、どうあるべきか。アーキテクチャを専門とする白坂先生のご意見を伺えますか。

白坂アーキテクチャとは元々、建築分野で生まれた言葉で、ものごとの構造や関係性を示す設計図。スマートシティ向けに一言で表すなら「目的を実現するための仕組み」というべきもので、大きく2つの役割があります。

 1つ目が全体構想を作り上げること。住民を主役に多種多様な意見を反映するといっても、街の構成要素として多くのプレーヤーが存在し、利害関係も絡みます。その要素間の関係を決め、設計図のように整理していくことが肝要です。

 2つ目が各要素をデジタルによってつなげ、技術以外の人間系も含めて体系的に相互運用性を高める仕組みを作る。つながる社会とデータ活用により、市民に新たな価値を提供していく土台となるものです。

 具体的なプロセスとしては、どういう街を目指すのか、目標を設定したらそれをトップに置き、街にどんな機能を持たせるのか。その機能を何で実現し、誰が役割を担うのか。手段や実現法も多岐にわたり、従来、常識とされてきた手段と役割・機能の組み合わせを切り離す必要も出てくる。人間系が深く関わる点が地域DXならではの特徴であり難しさです。

 ただし、勘違いされがちですが、アーキテクチャ構築の最大のポイントは、あくまでも住民を中心に街を構成するステークホルダーが参画できる仕組みを作ることにあります(図1)。私の考えるスマートシティとは、ガチガチに何かを決めるのではなく、地域ならではのニーズ、時代の変化に合わせ、自由度が高く、地域の人たち自らも新たなサービスを実現できる土台を持った街であると思っています。

図1

図1:スマートシティにおける
アーキテクチャの構築と標準化

出典:内閣府「令和2年度の政府スマートシティ 関連事業について」

中村白坂先生のお話に付け加えると、スマートシティへの取り組みは、市民と対話しながらアジャイルで進めていく必要がありますが、土台となるアーキテクチャなしでは、収拾がつかなくなるという事態も起こり得ます。しっかりとした土台があってこそ、システムを標準化していく視点も生きてきます。

 会津若松市では9年前に会津モデルをアーキテクチャに落とし込み、仕組みを標準化し、プラットフォームを作成。参加したい企業がオープンに参加できる仕組みを作り上げたことが、数多くのサービス創出、その後の進化にもつながっていると考えています。

 具体的なデジタルイノベーションの取り組み、標準化に加え、デジタル活用の観点から留意しているポイントについてもお聞かせください。

中村例えば行政と市民のコミュニケーションポータルとして、2015年12月に開設した「会津若松+(プラス)」は、エネルギー・行政サービス、ヘルスケア、観光、教育など、市民生活を幅広く支援する8分野のスマートシティのサービスが提供され、市民利用率は20%程度にまで浸透しています。その仕組みを公開し、他地域にも展開することで奈良県橿原市の「かしはら+」ほか、今春には5地域で同種ポータルの運用がスタートする予定です。

 こうしたデータやテクノロジーの活用において留意しているのは「データは市民のもの」という原則です。「会津若松+」では、SNSと連携しログインすると属性情報に応じて、パーソナライズされた行政・地域情報が提供されるのが特徴ですが、プラットフォームとなる「都市OS」については、市民の意志でデータを提供するオプトインにこだわっています。

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