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N e w F u t u r e

Vol.6 経営戦略としての
インクルージョン&ダイバーシティ
テクノロジーと多様性の
掛け合わせが
新たな強みと信頼を生む

女性活躍をはじめとしたインクルージョン&ダイバーシティ(I&D)に積極的に取り組むアクセンチュア。2021年版『日経WOMAN』の「女性が活躍する会社BEST100」において、総合ランキング1位を獲得した。だが、これはまだ通過点のようだ。テクノロジー企業として成長するために、さらなる多様性の取り込みを進めている同社の取り組みに迫る。

AIを活用する企業にとって
I&Dが不可欠な理由

 アクセンチュアは、AIなどのテクノロジーとインクルージョン&ダイバーシティ(I&D)には密接な関係があると言っています。なぜでしょうか。

保科新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大によって、企業へのデジタルテクノロジーの導入が加速しています。また、日本の生産性向上にもデジタルテクノロジー、とくにAIの活用は有効で、アクセンチュアは単純な業務の効率化だけでなく、企業の意思決定にもAIを活用するための支援をしています。

 そのAIとI&Dについて、2つの点で非常に密接な関係があると考えています。1つは、企業の成長に資するAIの活用が、I&Dによってさらに進むということです。事実、アクセンチュアの調査でも、AIの専門家だけでなく多様なメンバーがいるチームでAIを開発、運用している企業のほうが、AIを活用できているという結果が出ています。多様な人材が集まってこそ、AI導入による企業価値の最大化が実現すると思っています。

保科学世 氏

保科学世 アクセンチュア
AIグループ 日本統括
マネジング・ディレクター
AI HUBプラットフォームや、業務領域ごとに体系化したAIサービス群「AI パワード・サービス」などをはじめ、アナリティクスやAI技術を活用した業務改革を数多く実現。デジタル変革の知見や技術を結集した拠点「アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京」の共同統括を務める。

私は長年アクセンチュアでI&Dの活動をしてきましたが、その経験から思うのは、いろいろなバックグラウンドを持つ人材が活躍する組織のほうが、成長のポテンシャルは大きいということです。なぜかと言うと、その組織にとってのマイノリティは、これまでその組織にいたマジョリティとは異なる能力、異なるものの見方、異なる働き方をもたらします。それを理解し、取り込んでいく(Includeする)組織は、それだけ組織としてのキャパシティや幅が広がっていく。その結果、マイノリティが働きやすいだけでなく、会社全体にとっていい効果を生むと感じています。それがとくに様々なデータを取り込んで革新を促すAIの利用に関しても、密接に関わっていると思います。

秦 純子 氏

秦 純子 アクセンチュア
AIグループ マネジング・ディレクター
幅広い業界でデータサイエンスやAIを活用したコンサルティングサービスを提供。とくに、消費者・患者・生活者起点のマーケティング改革、データサイエンス、AIを活用した改革に大きな情熱があってライフワークと考えている。現在はAIグループのデータドリブンコンサルティングチームのリーダー。2000年からアクセンチュアのI&Dコミッティメンバーも務める。

保科もう1つの視点が、AIの信用と信頼に関わる部分です。重要な意思決定にAIを使えば、それだけビジネスに与える影響も大きくなります。もし、AIが誤った意思決定をすれば、企業が危機に陥るリスクも出てきます。

 既に海外では、AIによる経営リスクが顕在化しています。数年前に、あるテクノロジー企業のAIボットが差別的な発言をして大きな問題になりました。また別のテクノロジー企業の人材採用システムでは、女性に不利なAIを導入していたなどの事件が起きています。さらに、顔認証のAIを犯罪捜査に使うことが問題になりました。いずれもサービス停止や事業の撤退に追い込まれています。

 問題なのは、AIを作っている側に悪意が全くないことです。単純にビジネスの成果を目指していいものを作ろうとしているのに、誤った結果を生んでしまったのです。無意識のバイアスによって、既に(図1)のような影響が発生しつつあります。これは、利用する消費者、サービスを開発したベンダーの双方に大きな悪影響を与えていることになります。

図1 図1

図1:バイアスによりAIが及ぼす影響

 私たちはテクノロジー企業として、なぜ、こういう問題が起きるのかを考えなければいけません。AIは人間の知能を模倣する技術です。人間から学ぶ必要はありますが、偏った考えを学ぶのは非常に危険だということです。偏りをなくすために、AIを開発する側にも、多様性を取り入れることが不可欠になっています。

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テクノロジーと多様性は、
互いに支え合う関係

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 責任あるAIを作るために、アクセンチュアではどのような取り組みをしているのでしょうか。

保科AIの開発時、まずAIに与えるデータに偏りがないか、データが不足して精度が落ちないかなどを定量的に検査します。そして、それに加えて大事なのが定性的な評価です。ブランドやESGなどの観点から、企業活動の中で倫理面を意識したAIの使い方をチェックしていくことが必要です。

 このときに重要になるのが、AIの開発者がどれだけ幅広い視点を入れられるかです。開発者が個人の狭い視点だけで作ってしまうと、偏りが生じるリスクは高まります。単に技術に詳しい人だけでなく、倫理や法律に詳しい専門家も含めて開発する必要があります。そして、性別、人種など多様な観点を持ち寄ってサービスを作ることが何より重要です。アクセンチュアは、責任あるサービスを作るためにI&Dを最重視しています。

 アクセンチュアでは、I&Dについてどのような活動をしているのでしょうか。

4つの柱で取り組みを進めています。最も歴史があるのはジェンダー(性別)で、2006年から女性の採用強化や継続意欲の維持・向上、女性リーダーの継続的な輩出を目指した取り組みを推進しています。アクセンチュアのグローバル全体で2025年までに社員の男女比率を50:50にする目標を掲げています(図2)。

図2 図2

図2:ジェンダーへのこれまでの取り組みと
目指すゴール

 ジェンダーに続いて、クロスカルチャー(異文化)、障がいのある方、LGBTQなどダイバーシティの観点を広げて活動を行っています。それぞれの領域で、成果が出てきています。アクセンチュア社内でこれらの活動は、一部の人だけが行うのではなく、若手からリーダーまで、多数の意欲のある社員が積極的に参加しています。

 私がリードを務めるDDC(データドリブンコンサルティング)チームには、現在約100名の社員がいますが、本当に多様なバックグラウンドを持つ人たちが集まっています。これは、ビジネス面で非常に重要です。様々な業界でAIを使うようになり、それを開発する私たち自身が多様な視点を持たなければ対応できなくなったからです。サービスを開発する際に、それを利用するマジョリティの視点だけになっていないか、マイノリティを含んだ多角的な視点は入っているかをチェックすることが、不可欠になっています。

 同じバックグラウンドを持つ人同士で働くほうが、一見楽に思えますし、違う背景の人と仕事を進めることは摩擦も生じます。ですが、それを乗り越えたときに得られる成果は、同じ背景の人だけで作ったものよりもはるかに幅広く膨らむということを実感しています。

保科テクノロジーで、I&Dの環境づくりをサポートする取り組みも進めています。アクセンチュアではバーチャルコンシェルジュの「ランディさん」が社員の業務をサポートしています。例えば、社員が性的マイノリティについての社内制度を問い合わせたときに、社内の人事や総務に直接問い合わせると、それはカミングアウトしたことになってしまいます。ですが、AIボットであるランディさんに聞けば、その心配は不要です。また視覚や聴覚の支援技術も導入し、テクノロジーをうまく使いながら、能力のある社員が力を発揮できる環境を作っています。

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多様性を成長に変える
アクセンチュアの取り組み

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 コーネットさんは、現在2児の母として子育てをしながら働いているそうですが、アクセンチュアの支援体制はいかがですか。

コーネット私は9年前に入社して、今はデータアナリティクス部門のシニア・マネジャーを務めています。現在は夫の出身地の福岡に住んでいて、4歳と0歳の2人の子供を育てながら、東京のチームとリモートで働いています。

 東京のオフィスとは距離が離れていますが、困ることは全くありません。仕事柄、多数のチームメンバーと分析の計画策定や示唆出しをするため、密にコミュニケーションを取りながら仕事を進めていますが、デジタルツールが進化したおかげで、同じデータを見ながら他の人と議論するなど、本当にスムーズに働くことができています。

コーネット可奈 氏

コーネット可奈 アクセンチュア
AIグループ シニア・マネジャー
2012年アクセンチュア入社。データアナリティクスチームの黎明期からデータサイエンティストとして活動する。多数の業界横断型プロジェクトに参加。現在2児の母。福岡市に住み、東京オフィスにリモート勤務中。

 2016年に第1子を出産したときに、産休と育休をとりましたが、その間にマネジャーに昇進してしまい、復帰したときには組織も役割も変わっていました。少し心配だったのですが、キャリアカウンセリングが何度も設けられ、復職後の働き方の選択肢を複数提示してもらったおかげで、無理のない形で復職できたのは非常にありがたかったです。

 復帰後も、社内のサポーター(上司)との面談が定期的に設けられ、困ったことを相談できるのは安心感があります。“人が商品”のアクセンチュアということもあり、育児や介護など、どんな立場の人でも無理なく働ける環境が用意され、それを運用する組織が整っていると思います。最近は、ワーキングペアレンツのコミュニティが社内のコミュニケーションツール内にできていて、かなりのにぎわいを見せています(図3)。孤独を感じがちな人でも、つながる機会が増えていると思います。

図3

図3:ワーキングペアレンツのコミュニティ
(イメージ)

「育児中の会」というコミュニティは、性別にかかわらず、子育て中のワーキングペアレンツやワーキングペアレンツをサポートする社員が参加し、社内でも指折りの規模に成長しています。子供の年代別や「保活」、リモートワークで役立つ育児のティップスなど、様々なサブグループができています(図4)。

図4

図4:コミュニティ内での会話の一部を
イラスト化したもの

 アクセンチュアの多様性重視の活動は、今後はどう発展するのでしょうか。

アクセンチュアのI&Dは、経営戦略として取り組んでいることが特徴です。付帯的な活動ではなく、ビジネスの中核に直結するものとして進めています。多様性を認めて取り入れるI&Dからさらに進めて、イクオリティ(平等)を企業文化として根付かせる活動を行っています。

保科いろいろなバックグラウンドの人、さらに言えば人間の枠も超えAIも含めてチームを組むことが、企業の成長には不可欠です。それぞれが得意な部分で力を発揮して、足りないものを補い合うコラボレーションが、とても大事だと思います。アクセンチュアの社内の取り組みもさらに進めていきますが、クライアント企業に対しても、この視点で支援を行っています。一見違った価値観の人が交わることで、イノベーションは生まれるのです。

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責任あるAIを作るためには、
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