日経ビジネス電子版 SPECIAL
image
image
呉 亮 氏、吉永 晃 氏、屠 芳洲 氏、趙 震宇 氏
image呉 亮 氏、吉永 晃 氏、屠 芳洲 氏、趙 震宇 氏
厨房家電を進化させて戦略拠点にimage

問:嘉興の新工場の概要は?

 パナソニックの家電事業としては中国で16年ぶりの新工場です。基本的には厨房家電を作る計画です。建屋面積は5万㎡超です。

問:なぜ嘉興を選んだのでしょうか?

 周辺都市を含めて10か所以上調査しました。様々な視点で各候補地を比較した結果です。理由はいくつもありますが、まずは家電事業にとって重要な「設計開発」面で有利なことです。

 嘉興からクルマで1時間ほどの杭州には、食洗器や炊飯器、掃除機、温水洗浄便座などアプラインス事業のグループ会社が集積しています。この杭州には設計開発部門もある。また、上海にも開発ラボがあります。嘉興は上海と杭州のちょうど中間です、どちらもクルマで1時間程度。設計開発したものを製造面で展開しやすい利点があります。さらに、通勤もできるし、生活コストが上海や杭州よりも安いので、嘉興に居を構えて仕事に打ち込める技術者が出てくることも想定しました。

 また、開発区の姿勢に好感が持てました。優遇策をはじめ、とにかく対応のスピードが速く、決めたことをやり遂げていく実行力があることです。企業から見れば頼もしいです。

呉 亮 氏呉 亮 氏

問:家電など中国内需は強い?

 厨房機器などの小家電の市場の伸びはとても大きい。そして、パナソニックとしてはここに特長を加えていきたい。AI(人工知能)やIoTなどによって、家電の付加価値は高まります。この競争に挑むには、設計力、開発力が欠かせません。だからこそ、設計開発部隊の役割が大きいわけです。

 この新工場の隣接地は既に確保しており、拡張もできます。今後は厨房家電の戦略拠点として位置付けていきたいです。

社員の課題解決力を鍛え、新規事業へimage

問:嘉興に拠点を構える利点は?

 村上開明堂は140年近くの歴史があります。祖業はガラス屋で、現在の主力事業は自動車用のドアミラーです。中国に製造拠点を設けたのは2002年。場所は現在の工場に近い嘉興市内でした。顧客の日系自動車メーカーは北と南に多く、どちらにも供給しやすい華東地区の中心地を選びました。2013年には供給能力拡大のため、今の工場に移りました。従業員は約500人です。

 中国では天津と広州にも製造拠点があります。ただし、マザー工場はやはり中央にある嘉興です。部材の調達先は約100社あります。華東地域の企業が多く、調達しやすいのもメリットです。

 私は日系企業の集まりである「嘉興日系会」の会長を2年務めました。会員企業は40社を超え、100人以上の日本人が嘉興に住んでいます。小所帯ですから、仲間意識が強い。約10年前からは開発区の支援で毎年「さくら祭り」を開催しています。市民にも定着し、日中友好が進んでいます。

吉永 晃 氏吉永 晃 氏

問:貴社の今後の展望は?

 ドアミラー以外の事業拡大が課題です。売上の90%以上はドアミラーですが、ガラス製造のコア技術を使ったオプトロニクス事業を拡大したい。例えば、自動車の「HUD(ヘッドアップディスプレイ)」用の製品です。

 こうした新規事業を拡大するためには、企画や製造、研究開発などすべてにおいて「人材力」が不可欠。最近は、部長級、課長級のローカル社員の育成に力を入れています。新規事業を進めるためには、ローカル社員の「アンテナ」が強みになります。嘉興にはそれだけの可能性をもった人材はいます。

 それをさらに伸ばすために、課題を探す力、解決する力を、研修などを通じて養い始めました。組織を変えるには3年、5年かかると言われます。きっと近いうちに成果が上がると信じています。

「スマート工場」のモデルにimage

問:嘉興工場の位置づけを教えてください。

 MARSグループにとってはアジア最大のチョコレート工場です。「Dove」「m&m‘s」「Snickers」「Be-KIND」など5ブランドで100アイテムを製造しています。生産数量は年間約8万トン。85%は中国市場向けですが、残りは日本や韓国、東南アジア、豪州などに輸出しています。日本で販売されているm&mなどは、ここで作られたものが多いです。

 中国ではまず北京と上海、広州に製造拠点を作りました。ただし、市場の40%近くは上海など「華東地域」で消費されていますし、今後の成長も見込まれます。そこで10数年前に華東地域で工場を作ることを決めました。嘉興工場が稼働したのは2005年です。当時としては欧米食品企業として第1号でした。

 嘉興を選択したのは、何と言っても交通の利便性です。「MARS」の商品をいかに新鮮なうちに消費者に届けられるかを考えました。さらに輸出するうえで、港が近いことも利点になります。

屠 芳洲 氏屠 芳洲 氏

問:今後の嘉興工場の役割は?

 中国のチョコレート市場は伸びています。この工場では毎年5%ほど増産を続けており、生産能力もまだ余裕があります。

 そして、もう一つ重要な意味を持つのは、世界にいくつもあるMARSの工場の中で、米国の1工場と並び、「スマート工場」のモデル工場に選ばれたことです。今後、ものづくりのスマート化は進みます。自動化推進の設備刷新はもちろん、受注情報や生産プランなどを、ビッグデータを活用した製造を進めていきたい。そのための人的資源も整っています。

 嘉興には食品関連企業の進出が進んでいます。同業者が集まれば共通の課題も見えて、解決に向けて力強い味方になれます。将来的には、原材料調達や物流などで共通のプラットホームを構築できる可能性もあるのではないでしょうか。

若く優秀なエンジニアを獲得しやすいimage

問:企業の概要を教えてください。

 燃焼エンジン用ウォーターポンプやオイルポンプなどの自動車部品を製造しています。ドイツに本社があり、2009年に中国・蘇州に製造拠点を設けました。その後、15年に日本電産(NIDEC)の傘下に入りました。中国での取引先も欧州の自動車メーカーが多いです。

 2021年の早いうちに蘇州から嘉興に工場を移転します。嘉興を選んだ理由はたくさんあります。まず、この地の発展が見込まれること。そして、若い技術者を呼び込めると思ったからです。今後、当社は取引先も広げたいし、新エネルギー車などのクルマの変化にも対応していくつもりです。嘉興工場は蘇州工場の5倍の規模になり、従業員数も80人から400人にする計画です。

問:規模の拡大のために必要なことは?

 若い技術者が欲しい。もちろん嘉興にも優秀な若手はいますが、上海などからも呼びたい。実はそこに嘉興を選んだ意味があります。ここは住居価格が上海に比べて格段に安い。若い人でもここに居を構えて、安心して事業に打ち込める。場合によっては上海などから通勤してもいい。長く安心して暮らせることは、研究開発などにとってとても重要なことです。嘉興にはその素地がある。だからこそ若く優秀な技術者を採用できると踏んだわけです。

趙 震宇 氏趙 震宇 氏

 これまでは当社の主要顧客は欧州の自動車メーカーでした。ドイツ資本だったから当然です。しかし、NIDEC傘下に入って、中国の地場メーカーとの取引も始まりました。しかも、新エネルギー車など、自動車の変化に伴って、我々の技術を売り込む機会が格段に増えます。事業拡大のチャンスはとても大きい。一方で、新工場では部品の内製化を進めるなどコスト削減にも努めていきます。

厨房家電を進化させて戦略拠点にimage

問:嘉興の新工場の概要は?

 パナソニックの家電事業としては中国で16年ぶりの新工場です。基本的には厨房家電を作る計画です。建屋面積は5万㎡超です。

問:なぜ嘉興を選んだのでしょうか?

 周辺都市を含めて10か所以上調査しました。様々な視点で各候補地を比較した結果です。理由はいくつもありますが、まずは家電事業にとって重要な「設計開発」面で有利なことです。

 嘉興からクルマで1時間ほどの杭州には、食洗器や炊飯器、掃除機、温水洗浄便座などアプラインス事業のグループ会社が集積しています。この杭州には設計開発部門もある。また、上海にも開発ラボがあります。嘉興は上海と杭州のちょうど中間です、どちらもクルマで1時間程度。設計開発したものを製造面で展開しやすい利点があります。さらに、通勤もできるし、生活コストが上海や杭州よりも安いので、嘉興に居を構えて仕事に打ち込める技術者が出てくることも想定しました。

 また、開発区の姿勢に好感が持てました。優遇策をはじめ、とにかく対応のスピードが速く、決めたことをやり遂げていく実行力があることです。企業から見れば頼もしいです。

問:家電など中国内需は強い?

 厨房機器などの小家電の市場の伸びはとても大きい。そして、パナソニックとしてはここに特長を加えていきたい。AI(人工知能)やIoTなどによって、家電の付加価値は高まります。この競争に挑むには、設計力、開発力が欠かせません。だからこそ、設計開発部隊の役割が大きいわけです。

 この新工場の隣接地は既に確保しており、拡張もできます。今後は厨房家電の戦略拠点として位置付けていきたいです。

呉 亮 氏呉 亮 氏
社員の課題解決力を鍛え、新規事業へimage

問:嘉興に拠点を構える利点は?

 村上開明堂は140年近くの歴史があります。祖業はガラス屋で、現在の主力事業は自動車用のドアミラーです。中国に製造拠点を設けたのは2002年。場所は現在の工場に近い嘉興市内でした。顧客の日系自動車メーカーは北と南に多く、どちらにも供給しやすい華東地区の中心地を選びました。2013年には供給能力拡大のため、今の工場に移りました。従業員は約500人です。

 中国では天津と広州にも製造拠点があります。ただし、マザー工場はやはり中央にある嘉興です。部材の調達先は約100社あります。華東地域の企業が多く、調達しやすいのもメリットです。

 私は日系企業の集まりである「嘉興日系会」の会長を2年務めました。会員企業は40社を超え、100人以上の日本人が嘉興に住んでいます。小所帯ですから、仲間意識が強い。約10年前からは開発区の支援で毎年「さくら祭り」を開催しています。市民にも定着し、日中友好が進んでいます。

問:貴社の今後の展望は?

 ドアミラー以外の事業拡大が課題です。売上の90%以上はドアミラーですが、ガラス製造のコア技術を使ったオプトロニクス事業を拡大したい。例えば、自動車の「HUD(ヘッドアップディスプレイ)」用の製品です。

 こうした新規事業を拡大するためには、企画や製造、研究開発などすべてにおいて「人材力」が不可欠。最近は、部長級、課長級のローカル社員の育成に力を入れています。新規事業を進めるためには、ローカル社員の「アンテナ」が強みになります。嘉興にはそれだけの可能性をもった人材はいます。

 それをさらに伸ばすために、課題を探す力、解決する力を、研修などを通じて養い始めました。組織を変えるには3年、5年かかると言われます。きっと近いうちに成果が上がると信じています。

吉永 晃 氏吉永 晃 氏

「スマート工場」のモデルにimage

問:嘉興工場の位置づけを教えてください。

 MARSグループにとってはアジア最大のチョコレート工場です。「Dove」「m&m‘s」「Snickers」「Be-KIND」など5ブランドで100アイテムを製造しています。生産数量は年間約8万トン。85%は中国市場向けですが、残りは日本や韓国、東南アジア、豪州などに輸出しています。日本で販売されているm&mなどは、ここで作られたものが多いです。

 中国ではまず北京と上海、広州に製造拠点を作りました。ただし、市場の40%近くは上海など「華東地域」で消費されていますし、今後の成長も見込まれます。そこで10数年前に華東地域で工場を作ることを決めました。嘉興工場が稼働したのは2005年です。当時としては欧米食品企業として第1号でした。

 嘉興を選択したのは、何と言っても交通の利便性です。「MARS」の商品をいかに新鮮なうちに消費者に届けられるかを考えました。さらに輸出するうえで、港が近いことも利点になります。

問:今後の嘉興工場の役割は?

 中国のチョコレート市場は伸びています。この工場では毎年5%ほど増産を続けており、生産能力もまだ余裕があります。

 そして、もう一つ重要な意味を持つのは、世界にいくつもあるMARSの工場の中で、米国の1工場と並び、「スマート工場」のモデル工場に選ばれたことです。今後、ものづくりのスマート化は進みます。自動化推進の設備刷新はもちろん、受注情報や生産プランなどを、ビッグデータを活用した製造を進めていきたい。そのための人的資源も整っています。

 嘉興には食品関連企業の進出が進んでいます。同業者が集まれば共通の課題も見えて、解決に向けて力強い味方になれます。将来的には、原材料調達や物流などで共通のプラットホームを構築できる可能性もあるのではないでしょうか。

屠 芳洲 氏屠 芳洲 氏
若く優秀なエンジニアを獲得しやすいimage

問:企業の概要を教えてください。

 燃焼エンジン用ウォーターポンプやオイルポンプなどの自動車部品を製造しています。ドイツに本社があり、2009年に中国・蘇州に製造拠点を設けました。その後、15年に日本電産(NIDEC)の傘下に入りました。中国での取引先も欧州の自動車メーカーが多いです。

 2021年の早いうちに蘇州から嘉興に工場を移転します。嘉興を選んだ理由はたくさんあります。まず、この地の発展が見込まれること。そして、若い技術者を呼び込めると思ったからです。今後、当社は取引先も広げたいし、新エネルギー車などのクルマの変化にも対応していくつもりです。嘉興工場は蘇州工場の5倍の規模になり、従業員数も80人から400人にする計画です。

問:規模の拡大のために必要なことは?

 若い技術者が欲しい。もちろん嘉興にも優秀な若手はいますが、上海などからも呼びたい。実はそこに嘉興を選んだ意味があります。ここは住居価格が上海に比べて格段に安い。若い人でもここに居を構えて、安心して事業に打ち込める。場合によっては上海などから通勤してもいい。長く安心して暮らせることは、研究開発などにとってとても重要なことです。嘉興にはその素地がある。だからこそ若く優秀な技術者を採用できると踏んだわけです。

 これまでは当社の主要顧客は欧州の自動車メーカーでした。ドイツ資本だったから当然です。しかし、NIDEC傘下に入って、中国の地場メーカーとの取引も始まりました。しかも、新エネルギー車など、自動車の変化に伴って、我々の技術を売り込む機会が格段に増えます。事業拡大のチャンスはとても大きい。一方で、新工場では部品の内製化を進めるなどコスト削減にも努めていきます。

趙 震宇 氏趙 震宇 氏