日経ビジネス電子版 SPECIAL

Creating Together

 

事例:JSR 「ありたい姿」からスタートする
デジタルマーケティング成功の要諦

ビジネスの上流から下流まで
一気通貫でマーケティング活動を支援

——電通デジタルではマーケティングツール導入にとどまらず、ビジョン構築から組織変革、施策実行まで一貫して伴走する長期スパンのアジャイル型支援サービスを展開されています。具体的にどのようにプロジェクトを進行されたのでしょうか。

谷米当社では中長期の戦略から短期的な施策プラン、利用ソリューションの策定まで連続性を持って実施し、実際のマーケティング活動に落とし込んでいく。ビジネスの上流から下流までを一気通貫でクライアントのビジネスや変革をご支援していくスタイルを強みとしています(図1)。

加藤その観点から、会社全体の組織マネジメントの理解を進めるとともに、現場の業務フローを把握するために各事業のヒアリングを必ず実施しています。現場の現実を知らずしていくら見映えのいい戦略を立てても、所詮は机上の空論。DXを進めるためには、人の動き・業務フローの変革、いわば「ピープルドリブン・トランスフォーメーション」の視点が欠かせません。

図1:プロジェクトの全体構造と推移

谷米現場の声から顧客コミュニケーションの前後関係や事業部の課題を可視化します。例えば、認知獲得に問題がある事業については「デジタル上で狩猟型の情報発信を行う」、情報が点在していた営業管理の課題に対しては「共通の営業管理基盤の構築を進める」など、課題一つひとつに解決法を積み上げていく(図2)。まずはこのようなボトムアップ型のアプローチを取ります。その一方で、積み上げた解決法という目指すべきゴールから今度は逆算して具体的なプランを構築、実践していく作業を並行して行います。理想と現実のかみ合わせを確認しながら進行することで具体的にやるべきことを明らかにしていくアプローチを重視しているのも当社のDX支援のポイントです。

藤谷お2人が捨て身で当社の課題に踏み込んでくださる姿は、まさに“ディープダイブ”というべきでしょうか。最初は正直、抵抗感や戸惑いもありました。しかし、電通デジタルさんの姿勢を見て、我々も実態をさらけ出し、変わっていかねばならないという覚悟ができました。

後藤まさに丸裸にされるような心境でした(笑)。しかし、身内だけでは甘えや遠慮が出てしまうところを、現状の課題に対してズバリ忖度なくご指摘いただきました。経営陣にとって新たな課題認識につながったのも大きかったと思います。

図2:課題と解決アプローチ

——20年11月から2カ月と短い期間で、課題・要求整理から実現に向けたロードマップと実行プランの提供、利用ソリューションの選定までを含めたデジタルマーケティングの実装・実働の基盤づくりを完了されました。スピード感を持って達成できた背景についてどうお考えでしょうか。

谷米今回、海外も含めて3事業5部門にまたがる20人超のJSRチームと我々でプロジェクトを推進したわけですが、通常は各人の意見の違いや関係性などにより、この規模でこれだけ迅速に物事が進むのは珍しい。お2人の社内調整力やチームをまとめる力には本当に助けられました。

後藤この取り組みでは、我々の文化や考え方、行動様式をデジタルにシフトしていくことも重要なミッションに掲げていました。つまり、我々2人だけでなく、実際にお客様と対峙するメンバーが変わらなければ意味がありません。メンバーには毎日のように電話やメールで連絡を取り、プロジェクトへの積極的な関与の働きかけに注力しましたね。

環境の変化に合わせた
アジャイル型のデジタル推進が肝要

——今回のプロジェクトを通して得られた成果や、今後の展望についても教えてください。

藤谷新しいことに挑戦すれば必ず痛みを伴う。過去の成功体験を手放して、どう改善につなげて前に踏み出すかが肝要だと思います。

  我々はまだ小さな一つの山を登頂したにすぎませんが、社内のメンバーにも意識の変化が見え始めています。技術力で成長してきた過去にとらわれず、提供している製品・サービスが顧客のニーズに果たして合っているのかを改めて考え直す。「お客様から見たらどうなのか」といった意見が自然に出てくるようになったのは、組織変革への挑戦という観点から大きな一歩だと考えています。今後はその経験を生かし、準備を進めている海外市場でのテストマーケティングを成功させたいと思います。それには、山の登り方の工夫が肝要です。こうした積み上げにより、デジタルマーケティングにとどまらず、新たな市場ニーズの開拓やブランディングにもつなげていけたらと思います。

後藤今回はアジャイル型のマーケティング支援を受け、様々な取り組みを同時進行で進めていったわけですが、まさに山登りの例えのように環境が目まぐるしく変化する時代に、アジャイルでのプロジェクト進行は必要不可欠と言えます。

  従来の中長期的な計画を、その通りに達成するだけではだめです。山登りで言うと、天候が変わったらルートを変えるなど、計画の見直しといった柔軟性が求められる場面も多くあるでしょう。しかし、ルートは変えても最後は頂上に向かう。このアジャイル型の業務スタイルを、今回のプロジェクトを通して知ることができました。また、どんな分野にも応用できるはずといった理解も少しずつ進んできています。その考え方を具現化する第一歩として、今回の取り組みで成功体験を全社で共有できればと考えています。

谷米私たちは外部のコンサルタントという立場ですが、コンサルティング業務としてゴールに向けた地図(ロードマップ)を描くだけでは、お客様の価値向上にはつながりません。お2人がおっしゃる通り、“動かないと見えてこない景色”がある。机上の空論とならない地に足の着いたプランを描き、実行し結果を出すことまでが構想策定でありコンサルティング業務であると考えています。引き続き、我々もしっかり手足を動かして長期スパンで伴走してまいります。

加藤まずは次の海外市場でのテストマーケティングをいかに成功に導くか。これからも持ち前の“泥臭さ”を大事に、多くの企業のデジタルシフトを支援していければと考えています。

案件や本記事に関する電通デジタルへのお問い合わせはこちら

電通デジタルでは、近年多くのB2B企業様のマーケティングに関するプロジェクトをお手伝いさせていただいております。B2Bマーケティングに関するご相談や本記事に対する質問等がございましたら本リンクよりご連絡ください。

電通デジタルに問い合わせる

電通グループの知見を結集し、B2B企業のマーケティングDXを支援

国内電通グループ6社で構成される「電通B2Bイニシアティブ」では、各社が持つノウハウを結集させ、組織横断でB2Bビジネスを支援している。今日では、デジタル化の急速な進展やコロナ禍などを背景に、B2B企業におけるマーケティングDXのニーズが高まっている。こうした背景を受け、従来の広告コミュニケーション、およびツール導入にとどまらず、事業コンサルティングから部門間の連携を進める組織構築支援、具体的な施策までシームレスな提案を実践。B2Bの専門スキルを擁する多彩な人材リソースを擁する電通グループだからこそ実現する統合的なソリューションで、数多くのB2B企業の課題解決や変革をサポートしている。

「電通B2Bイニシアティブ」
詳しくはこちら