日経ビジネス電子版 SPECIAL

Creating Together

 

ペイシェント・セントリック デジタルマーケティングの視点が
「患者中心」の
より良い治療体験を実現

業界に対する実績、
そしてクリエイティブとデータに
知見を持つ

——「HACS」の提供を通じて、電通デジタルではどのような支援を行っているのでしょうか。

神松デジタルマーケティングの視点を持つ電通デジタルと、医療視点を持つ製薬・ヘルスケア業界のクライアント企業様がチームとなり、新しいソリューションの創出によるペイシェント・セントリックの実現を目指していくプログラムが「HACS」です。「HACS」では、データを活用したニーズの可視化、ストレスフリーなUX設計、患者さんファーストのクリエイティブの3つをお約束として掲げています。これは、戦略の立案から最終的なアウトプットまでを一気通貫で伴走させていただくということを意味しています。

HACSのプロセス

「HACS」には、仮説、調査、ワークショップ、設計、実施、効果測定の6ステップがある。前者3つは現状認識と定義づけ、後者3つが設計と実施に分類。このサイクルを繰り返しながら、持続的な検証と改善を行い、Co-Creationを実現していく

——その3つの約束を実現するために、「HACS」ではどのようなサービスを提供していますか。

神松4つのサービスを用意しています。1つ目は疾患啓発・教育治療サポートで、コンテンツ開発や資材の最適化を行います。2つ目はプラットフォームで、専用アプリやUI/UX改善、電子カルテなどを扱います。3つ目はナレッジシェアで、データの取得や患者インサイトの共有の他、MRの研修なども含みます。4つ目はサービス・デザインで、新規サービスの開発や企業間コラボレーションのサポートなどを行っています。

福井「HACS」で最も重視しているのは、より良い治療体験を患者さんに提供することです。この4つのサービスは、その実現のために、クライアント企業様の課題の紐解きから始めて、一番必要になるソリューションを整理・分類したものとお考えください。

——他にも医療系のソリューションを提供している会社はあるかと思いますが、電通デジタルだからこその強みは何でしょうか。

福井先ほど、戦略の立案から最終的なアウトプットまでを一気通貫で伴走するという話が神松からありましたが、電通デジタルの最大の強みは、プロジェクト全体を通して網羅的に対応できることです。従来の方法では、疾患啓発のためのコンテンツ制作はA社、プラットフォーム構築はB社といった状況が多かったと思います。これに対して当社は、toD(医師)分野にもtoC(患者)分野にも実績があり、データやクリエイティブにも強いので、治療現場におけるサービスを提供しながら、情報提供と啓発に還元できる仕組みを、クリエイティブまで含めて統合的に構築・提供できます。以前は、電通デジタルがなぜ製薬・ヘルスケア業界に参入するのかと感じる方も多かったと思いますが、デジタルマーケティングはもはやモノを売るためだけではなく、最適化された体験を提供するための重要な役割です。今はそれが製薬業界にもご理解いただけているのを感じますし、事例を積み重ねていけば、さらにお任せいただけるケースは増えていくのではないかと思っています。

より良い治療体験の実現に向けて
さらなる体制強化を

——事例を積み重ねていくというお話がありましたが、実際に「HACS」で行ったプロジェクトにはどのようなものがありますか。

神松2つ紹介します。1つ目は禁煙治療のサポートです。医師と患者さん双方のニーズを検討した上で、受診に至るまでのジャーニーを策定し、フェーズに応じたコミュニケーション設計を提案しました。受診ストレスを和らげるようなクリエイティブ、治療期間中も患者さんのモチベーションに伴走できるよう、LINEを活用したサポートツールでアウトプットしています。2つ目は転移性乳がんのサポートプログラムです。転移性乳がんは、診断や治療が与えるインパクトが高いことから、医師と患者さんのコミュニケーションがより重要になりますし、日々をどう送るかといった視点も必要になります。診断時、治療開始時、治療中といった各フェーズで支えられるよう、がん経験者や専門家、ご家族などにも協力してもらいながらプロジェクトを進めました。具体的なアウトプットとしては、診断当初の患者さんに向けて、本当に必要となる情報や信頼できる経験者の声を集めたWebサイトをはじめ、患者さんが自分の気持ちを整理することを助けるワークブック、受診時の医師とのコミュニケーションをサポートするLINEアカウントなどを作成しました。

禁煙治療支援と転移性乳がんのサポートプログラム

「HACS」では、禁煙治療支援や転移性乳がんのサポートプログラムといったプロジェクトを行っており、いずれもフェーズに応じた医師と患者のコミュニケーションや、患者のストレスに寄り添うクリエイティブを提供している

福井疾患に関連する情報はインターネット検索をするといくらでも出てきますが、現状は玉石混交の状態です。患者さんの不安を取り除くために、信頼を担保した情報を出していくというのは、とくに重視していきたいと考えています。

——ペイシェント・セントリックやより良い治療体験の実現に向け、今後どのようなことに取り組んでいきますか。展望をお聞かせください。

神松電通デジタルには他領域の知見も数多くあるので、横展開のポテンシャルは高いと思います。「HACS」もこれが完成形というわけではなく、巻き込むプレイヤーも増えるでしょうし、先に挙げた4つのサービスにオプションを加える形で拡張していけると考えています。それから、私は個人的に「医療の民主化」というテーマを掲げているのですが、医師と患者さんの関係づくりや正しい情報の提供などをサポートすることで、医療が生活を豊かにする手助けになるという世の中になると良いなと思っています。

福井今回のコロナ禍は、患者さんを取り巻く環境を大きく変えました。セルフメディケーションや地域医療など、医療に関するニーズも変化していますし、保険適用や法改正といった事情もあります。そうした変化に対応して、製薬・ヘルスケア業界もDX、さらにはビジネストランスフォーメーション(BX)を視野に入れておく必要があると思います。製薬・ヘルスケア業界のビジネスモデルが拡大すれば、当社のデジタルマーケティングの知見をもっと役立てられるので、最終ゴールとしている「最適な治療体験」を提供できる体制をしっかり整えておきたいと思います。

「HACS」の詳細はこちら