Vol1パナソニック×Blue Yonder連携の展望
VUCA時代におけるサプライチェーンの重要性
Vol2パナソニックが提唱する「オートノマス(自律的)ファクトリー」
自動化と知能化による実装プロセスの新プラットフォーム
vol3ヤマト運輸xパナソニック コネクト 
IE(インダストリアルエンジニアリング)で物流ターミナルのオペレーション改革を実行

5Gの普及、自動車の電子化……複数の要因から電子機器の需要増、さらなる高度化が求められる。課題は、製品の品質に関わる電子部品の実装において、不安定な人手に頼る部分が多いことだ。顧客要望の多様化、多品種少量生産に対応するために必要なのは、フィジカル領域(生産実行)とサイバー領域(計画立案)の連携。2022年2月14日、電子部品実装分野を牽引するパナソニックは、自動化とAI(人工知能)活用により自律的に進化を続ける工場「オートノマス(自律的)ファクトリー」を目指すと発表した。その第一段の動きとして、実装プロセスの新プラットフォームを提供する。

自動化とAI活用により自律的に進化する工場

パナソニック コネクト株式会社
代表取締役 執行役員 社長・CEO
樋⼝ 泰⾏ 氏

パナソニックは家電製品の製造販売をするB to Cの顔以外に、電子部品実装のトータルソリューションを提供するB to Bの顔を持つ。電子部品の実装機は電子回路の基板、集積回路(IC、半導体)やコンデンサーなどの電子部品を配置する装置だ。その市場はスマートフォン、PC、サーバーに加え、5G対応機器、自動車の電子化など電子機器の需要拡大に伴い成長軌道にある。同市場のシェアにおいてトップクラスの約3割を占める同社は、グローバル181カ所の製造・開発・販売拠点を展開し、世界中の電子機器産業のモノづくりを支えている。

電子部品実装では、生産性や品質に加え、電子機器の高機能化に伴う部品点数の増加や小型・微細化により高密度化のニーズが一層高まる。また、低消費電力・脱炭素化、深刻化する人手不足、パンデミックや半導体不足などによる供給変化といった社会課題への対応も急務だ。

「需要増、高度化するニーズ、変化への対応など様々な課題に応えるために、パナソニックが目指すのは、自動化とAI活用により自律的に進化する工場『オートノマスファクトリー』です」とパナソニック コネクティッドソリューションズ社 社⻑ 樋⼝泰⾏氏は話し、こう続ける。「その実現に向け、第一段として現場の最前線に新たな価値を生み出す、実装プロセスの新プラットフォームを提供します」。

パナソニックが目指す工場は、自動化と知能化により自律的に進化を続ける

AIによる自動制御で5Mのバラツキを極小化

パナソニック コネクト株式会社
執行役員 専務
プロセスオートメーション事業部長
秋⼭ 昭博 氏

パナソニックは、電子部品実装において精緻・精密に加工するファインプロセスの進化を徹底追求してきた。ファインプロセスを活かし顧客企業の経営に貢献するためには、設備単体ではなく、実装プロセス全体の視点が大切になるとパナソニック コネクティッドソリューションズ社常務 プロセスオートメーション事業部 事業部⻑ 秋⼭昭博氏は強調する。

実装機を導入した工場には、いかなる課題があるか。「生産現場であるフィジカル領域において、稼働や品質のトラブルに関する対応は、知見やノウハウを有する熟練工に頼るケースが多いというのが現状です。トラブルの削減とともに、人手不足や従業員の高齢化が進む中で、人のスキルに依存しないトラブル対応が求められています。また計画立案を行うサイバー領域では、顧客要望の多様化・高度化や多品種少量生産に対応するため、これまで推進してきた見える化によって生まれた多様な結果を、いかに計画に活用するかが課題となっています」(秋山氏)。

神戸工場の実装ライン

生産現場のトラブルは、変動要素である5M(huMan人、Method方法、Machine機械、Material材料、Measurement計測)に起因するバラツキが要因になると秋山氏は指摘し、こう続ける。

「問題は、変動要素である5Mの制御が容易ではないということです。生産ラインにおいて5Mのバラツキが発生する要因は多岐にわたり、人手によりすべてをコントロールするのは不可能です。例えば異常を検知しても、一般的にA工程〜F工程の組み合わせは8400通りもあり、さらに1工程内でも5Mにはバラツキが生じます」

これまで実現が難しかった5Mのコントロールを可能にするのが、パナソニックが提供する実装プロセスの新プラットフォームだ。「フィジカル領域もサイバー領域も、人手による作業を自動化し、判断をAIが行うことで5Mのバラツキを極小化したモノづくりを実現します」と秋山氏は話す。

フィジカル領域では、実装機や生産オペレーションから様々なデータを収集し、5Mの状態を監視し見える化するとともに、それらのデータをもとにAIが5Mを自動制御する。これまで熟練工が実装機のパラメーターを細かくチューニングしていた作業をAIが代行することで、作業の自動化と迅速な対応を実現。また、変化の兆しを捉えることで予知保全も可能となり、生産性に大きな影響を及ぼす設備停止を防ぐ。さらにAIは、日々蓄積されるデータを学習し成長するため、各工場の状況に応じた最適な5M制御の実現が可能だ。5Mのバラツキを極小化することで、生産計画達成率の向上、設備総合効率の最大化が図れる。

サイバー領域においても、5MデータをもとにAI活用によりムダのない最適な計画立案を実現。また現場に対し、計画に基づく作業指示とともに5Mのリソース配分の指示も行い、リソースの最適化を図る。さらに現場からフィードバックされた実績情報から計画との差を分析し、5Mの改善と、より実態に合わせた次の計画の立案を可能にする。AIが5Mのバラツキ要因を学習し計画立案の精度を高めることで、TCO(Total Cost of Ownership)削減のためのリソース効率の最大化を実現できる。

「大事なポイントは、フィジカルとサイバーの2つの領域が一元化されたデータのもとで、監視、トラブル検出、分析・要因特定、対策・改善のサイクルを繰り返し、自律的に進化を続けていくということです」(秋山氏)

実装プロセスの新プラットフォームでは、サイバー領域とフィジカル領域の知能化により最適な設計立案と現場改善が繰り返されることで、工場が進化していく

新プラットフォームを実現する上で重要なポイントとなるのが、パナソニック以外の他社製検査機なども含めてライン全体をつなぎ、制御可能とする、パナソニックの統合管理ソフト「iLNB」である。現在、iLNBは業界唯一の110社(2021年11月時点)との連携実績を持つ。iLNBから設備やユニット状態のデータをリアルタイムで収集し分析することで、生産ラインにおけるAIによる5Mの自動制御が可能となる。

「新プラットフォームは、世界トップクラスの先進的エッジデバイスによるファインプロセスをベースに、サイバー領域とフィジカル領域の知能化により工場全体の収益性向上を図ります。また、変化に応える最適計画と、最適計画通りの生産を行うことで、ROI(投資利益率)に直結する投資判断の質の向上に寄与します」(秋山氏)

オートノマスファクトリーの実現に向けて4つの新商品をリリース

今回、パナソニックが発表した4つの新商品は、実装プロセスの新プラットフォームにおけるベースとなるものだ。

フィジカル領域の知能化を図る5Mプロセスコントロール「APC-5Mは、AIを活用し5Mの変化を捉えて自動復旧や予知保全により良品生産と安定稼働を実現する。

エッジデバイスも高性能・高度化がさらに進んだ。モジュラーマウンター「NPM-GH」は、小型軽量化した実装ヘッドなどにより業界初±10マイクロメートルの超高精度仕様と、高精度領域±15マイクロメートルでの高生産性を実現するとともに、ユーザーインターフェースや操作性も向上。また、5Mプロセスコントロールで活用するデータのセンシング、IoT機能も搭載。さらに環境対策として省エネ機能も拡充した。

スクリーン印刷機「NPM-GP/L」は、繰り返し位置決め精度±3.8マイクロメートル、サイクルタイム12秒の世界トップレベルのはんだ印刷性能を実現。また、異なるプリント基板への機種切り替えの完全自動化により長時間の多品種生産に対応が可能だ(オプション)。

これまでは実装部品のテープが終了すると、人が次のテープを補給していたが、実装部品を自動供給する「Auto Setting Feeder」は、業界初の4〜104mm全幅の部品供給テープに対してカバーテープの自動剥離を可能とし、スキルレスでの実装部品の自動供給を実現。またオートローディングユニットにより前のテープが終了すると、即座に次のテープを自動で補給する。

パナソニックは、オートノマスファクトリーの実現に向けて4つの新商品に続き、今後も商品群をリリースしていく

「生産ラインにとどまらず、フロアで必要な部材の移動作業を自動化するロボットなど、今後オートノマスファクトリーの実現に向けて商品群を次々とリリースしていきます。またサイバー領域の知能化では、材料管理や生産計画のソフトウエア、自動化機器に適切な動作指示を実現する統合ナビシステムなどを投入し、それぞれに5Mの変化に追随する知能化機能を搭載します」と秋山氏は話し、こう続ける。「オートノマスファクトリーの実現によりプロセスオートメーション事業部は2020年の2倍となる売上高4000億円を、2030年度までに目指します」。

オートノマスファクトリーには、パナソニックの100年にわたるモノづくりのノウハウと知見が凝縮されている。ファインプロセスを追求し、現場を知り尽くしているパナソニックの現場プロセスイノベーションへの挑戦は、顧客企業と共創しながら進む。今後の展望について樋口社長はこう話す。

「実装プロセスの新プラットフォームにより生産ラインの自動化・自律化を図り、さらにフロア、工場全体へと、自動化・自律化を広げていきます。また、SCM(サプライチェーンマネジメント)ソフトウエアを使って、製造、物流、流通それぞれの現場からデータを収集・分析し、SCM全体の最適化を図る『オートノマスサプライチェーン』の実現を目指します。2021年9月に買収完了した、サプライチェーン・ソフトウエア世界的大手のBlue Yonderとパナソニックの両社でお客様に伴走しながら、オートノマスサプライチェーンによる持続可能な製造業の新たな時代を切り開いていきます」

*パナソニックグループの持株会社制への移行にともない、パナソニック株式会社コネクティッドソリューションズ社は、2022年4月より、「パナソニック コネクト株式会社」に変わりました。

お問い合わせ

パナソニック コネクト株式会社

https://connect.panasonic.com/jp-ja/

オートノマスファクトリー実現に向けた実装プロセス製品

https://connect.panasonic.com/jp-ja/gemba-process-innovation_fine-process-control_smt-process-products-npmg