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6/1開催 プラチナフォーラム 開催レポート6/1開催 プラチナフォーラム 開催レポートPICK UP

去る6月1日、日経トップリーダー主催のプラチナフォーラム2023が開催された。昨年までは新型コロナウイルス感染症の拡大もあり、オンラインで実施してきたが、2023年はリアルでの開催が復活。文具の世界に革命を起こす有名経営者やユニークな経営で世界でも販売を広げる地方企業の経営者、五輪金メダリストらが登壇した。ここでは、豪華講師陣の講演の一部をレポートする。

PICK UP

今、空前の人材不足を背景に、M&Aが事業成長の手法として注目を集めている。中小企業を含め、数々のM&Aを成功に導いている株式会社日本M&Aセンターの大澤卓也氏が日経トップリーダープラチナフォーラムに登壇し、M&Aの概要や最前線について語った。

現状維持は衰退の始まり

大澤 卓也 氏
株式会社日本M&Aセンター
業種特化事業部 業種特化4部 部長
大澤 卓也

日本では後継者不在の企業が127万社。そのうち半数の60万社は黒字廃業もやむなしといった状況だ。

「こうした黒字企業を存続させていくことが日本経済の鍵を握ります」

そう語るのは、多くの企業間のM&Aを手がける株式会社日本M&Aセンターの大澤卓也氏だ。

「日本の生産年齢人口は2000年がピーク。そこから人口減少が続き、2065年には戦後すぐと同じ水準まで落ち込みます。また、高齢化が進み、2065年には人口の4割が高齢者、65歳以上が1/3以上を占めることになります。現状維持では衰退しかないのです」

だからこそ企業は成長していかなければならない。だが、経営資源のやり繰りを考えれば、単独での成長は難しい。おまけに円安、採用難、DX化に対応できる専門人材の不足と、企業を取り巻く環境は厳しい。

大澤氏は、「事業成長が自助努力で難しければ、自社に足りないリソースを補うM&Aが効果的な解決策になりうる」と指摘する。

さまざまなM&Aの活用目的

ひとくちにM&Aといっても、さまざまな形がある。大澤氏は目的別に5つの成功事例を紹介した。

①多角化戦略

M&Aを多角化戦略に活用した事例として、大澤氏は、印刷事業を営む上場N社を挙げる。同社は本業の印刷業からM&AでITメディアやセールスプロモーション、製品製造へと事業を着々と多角化。毎年コンスタントにM&Aを実施し、直近では2022年だけで8社を傘下に収め、売上高は当初の511億円から644億円まで拡大している。

②シナジー創出

続いて、シナジー創出型のM&Aとして大澤氏が挙げたのは、光学系技術の特許を持つI社(売上高4億円)と、教育、安全・生活、医療、FAの各分野を手がけるT社(売上高345億円)だ。譲渡側のI社は、自社のコア技術に理解があり、対象市場の深掘りができる企業との提携を希望。一方、BtoC、BtoB、文教向けの販売に強みがあるT社は、技術力に秀でた会社と手を組みたいと考えていた。この技術力と営業力の組み合わせは、シナジーを生み出し、わずか数カ月後にはT社グループ主催の展示会にグループ企業として出展。早期にグループの経営資源を使って拡大戦略を図ることに成功したという。

③成長加速

P社(売上高41億円)とベンチャーキャピタル古参のJ社(売上高276億円)のM&Aは成長加速型だ。P社は、設計サービス、エンジニア派遣、デジタルソリューション開発を手がけ、収益は高かったが、その利益をロボット、AIなどの最先端の新領域に投資していた。このため、社内で稼ぎ頭の部門から見ると、利益が新領域に取られる状況に抵抗感があったという。そこで会社分割で新規事業を独立させ、旧オーナー陣が引き続き舵取りに当たる一方、主力事業は、J社の成長資金を基に、拡大戦略・IPOをめざすことになった。

④社長継続

次に、梱包用緩衝材などを販売するP社(売上高7.4億円)と、包装機製造を手がけるN社(売上高54億円)のM&Aは、会社譲渡後も社長が残って舵取りを担う事例だ。譲受側のN社は、投資ファンドからの出資を受けて上場をめざし(2021年12月に上場実現)、M&Aを検討していた。機器貸出+消耗品販売というビジネスモデルを確立していたP社は、製品製造に徹するN社の目に魅力的に映った。P社側も、機械修理に強いN社は補完関係になる。 P社がN社に譲渡する形でM&Aが成立後も、P社の社長が続投している。

⑤海外展開

最後に海外展開の事例として、クレーン運用・重量品輸送大手のH社(売上高40億円)と、プラントなどの大型改修工事や社会インフラ工事を手がけるD社(売上高80億円)が挙げられた。D社は、ASEANでの事業展開強化が次の成長の柱になるとして、現地進出の足がかりを模索していた。その点、H社のクレーンは大きな武器になり、シナジーが見込めた。何よりも、両社のビジョンの共有や、相手をリスペクトするオーナーの姿勢が決め手になったという。

ありたい姿からの逆算を

以上の事例からもわかるように、M&Aでは、いかに最適な企業同士をマッチングできるかがものをいう。M&Aセンターでは、2022年だけで539組・1050社を成約に導いており、そのうち海外案件が14組あった。

「どういうM&Aが多いのか統計で見てみると異業種・他地域の企業同士のM&Aが46%と飛び抜けて多いです。ただし、異業種といっても、ハウスメーカーとリフォーム会社のように、「近接業種」が多くを占めています」と大澤氏。

日本M&Aセンター2021年度成約データより。地域は都道府県単位、業種はオリジナル業種分類を使用

「企業の成長を考えると、M&Aは不可欠な要素になると思います。むしろ、M&Aをしないことがリスクといえる時代になったのではないでしょうか」(大澤氏)

M&A実施企業・非実施企業の成長率の違い

(出所)中小企業庁「2022年版 小規模企業白書」

大澤氏は、重要な視点として「バックキャスト」という考え方を紹介する。

「多くの企業は、フォアキャスト(現状から予測をして将来を考える方法)に頼りがちですが、大切なのは、バックキャスト(将来のありたい姿から逆算して、いつまでに何をすべきかを考える方法)です」

最後に大澤氏は、良いM&Aに求められる条件を次のように語った。

「自社の都合や事情ばかりを主張して、自社から相手方に何を提供できるのかという視点が欠けていてはうまくいきません。明確なビジョン、目標を掲げ、結婚と同様に、相手企業への尊敬の念を忘れず、相乗効果はどこにあるのかを見極めることが大切です」

株式会社日本M&Aセンター
https://www.nihon-ma.co.jp/

プラチナフォーラム 2023
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