

安達 社会課題の解決に向け、建設産業に何が求められるか。個々にテーマを解説してほしい。
佐々木 「防災」に改めて注目したい。今年は能登半島地震と能登豪雨という時間差のある複合災害を経験し、新たな教訓を得た。建設会社が復旧・復興に尽力しているが、人手不足などで対応が後手に回っている。事前防災の推進など従来型の対策からアップデートしなければならない。
木村 「DX」をどう進めるか。今はアナログ情報のデジタル化で苦労し、DX疲れすら耳にする。最初のステップなのだから、むしろスピードを上げて乗り切りたい。働き手の不足が極まる前に覚悟を決めて臨んでほしい。ただし、変革の手段にすぎないデジタルを目的化しない注意がいる。
真鍋 「脱炭素」には国が高い目標を課し、そこにビジネスチャンスが生まれる。建築物の生涯全体でCO₂を削減するホールライフカーボン、国土の基盤となるグリーンインフラ、建設行為で自然を回復させるネイチャーポジティブなど。いずれも個別の領域や単一の機能にとらわずに取り組む必要がある。
岡 不動産業界の立場で「人口減対応」を挙げたい。労働力減少や働き方改革は、選ばれる物件の優勝劣敗を加速させた。人口動態の変化は建物用途とエリアのミスマッチを引き起こし、遊休化の問題も生む。不動産投資の根幹に関わる動きで、経済の観点から提案が求められる時代になる。



安達 建設業界のすべての人が意識しないとならないテーマばかりだ。では、どうやって未来を切り開くか。
佐々木 人口減少は大きな問題だ。だが、そこで生じる制約を逆手に取れば、攻めの防災に転じるチャンスがある。鍵となるのはデータ活用で、共有可能なプラットフォームを街に実装する必要がある。地域を守る防災DXは、建物やインフラを熟知し、安全・安心の担い手となる建設業だからリードできる分野だ。
木村 あらゆる場面に自動化を取り入れながらデジタル時代の建設業の姿を模索し、外側にある市場にも飛び込んでほしい。建設業界は自前主義に陥りがちだが、それでは後れを取る。異業種やスタートアップの技術や活力、スピード感を取り込んでいけば新しい成長曲線を描けるはずだ。
真鍋 イメージアップのために、脱請負・脱業界・脱建設を志向してはどうか。旧弊のままではグリーンイノベーションを起こす側に回れない。今の若手は、グリーンインフラや生物多様性という言葉に敏感に反応する。サーキュラーエコノミー型ビジネスを含め、有望な人材を呼び込む今後の鍵になる。
岡 不動産投資の場面では、人が集まる、よそに勝つエリアづくりが大事になる。一棟のビルを建てる時点からエリアマネジメントの考え方が求められる。海外から投資を呼び込むために、遠からず不動産の情報開示や規格対応に国際的な水準が求められる時代が来る。それらにも対応しなければならない。
安達 できることは多い。それには建設業が自ら大きく変わらないといけない。未来を開くための議論を今後も続けたい。
※所属・肩書は2024年11月1日時点のものです。















