SUSTAINABILITY EXPO

主催者が明かす、ASEAN最大級サステナビリティ・エキスポの狙い
主催者が明かす、ASEAN最大級サステナビリティ・エキスポの狙い
 2024年9月27日から10月6日まで、東南アジア諸国連合(ASEAN)最大規模のサステナビリティ関連イベント「SUSTAINABILITY EXPO(以下、SX)2024」がタイ・バンコクで開催された。SX2024実行委員会のディレクター(責任者)を務めるトンジャイ・タナチャナン氏にSXの概要や目的について話を聞いた。
聞き手/大和田 尚孝(日経BP総合研究所 イノベーションICTラボ 所長)

SXについて教えてください。

トンジャイ氏:SXは、2020年よりスタートし、今年で5回目を迎えます。故プミポン前タイ国王が提唱した「足るを知る経済」思想を基本理念とした、「Sufficiency for Sustainability」をテーマに掲げ、持続可能な社会の実現を目指しています。

 SXでは、消費者を中心に置いた「Business to Customer to Business(B2C2B)」モデルをコンセプトとしています。B2C2Bモデルでは、まず大企業が消費者に向けて環境や社会に配慮した製品やサービス、取り組みなどを発信します。これにより消費者のサステナビリティへの理解が深まり、より環境に優しい選択をするようになります。この消費行動の変化は市場全体に影響を与え、結果として中小企業も持続可能なビジネスへと転換していきます。つまり、「消費者の行動が変われば企業も変わる」という持続可能な経済サイクルといえます。

 従来、タイ国内のサステナビリティ関連イベントは、専門家によるパネルディスカッションや学術的な講演がほとんどでしたが、SXではフードフェスやキッズゾーン、アイデアラボなどを設けて、誰もが気軽に参加できる体験型イベントとして展開しています。一見すると、サステナビリティとは無関係に思えるかもしれませんが、持続可能な社会の実現には、消費者一人一人の行動変化が不可欠です。より多くの人々にサステナビリティを「自分ごと」として捉えてもらうため、あえて親しみやすいコンテンツを充実させているのです。

 会場は、バンコク中心部に位置するクイーンシリキット国際会議場(QSNCC)の大部分を貸し切り、総面積は約7万平方メートルに及びます。年に1回の開催で、昨年は10日間の期間中に36万人以上が来場し、認知度も年々高まっています。

SXの実施の経緯について教えてください。

トンジャイ氏

トンジャイ氏:SXの共同主催者である、不動産大手フレーザーズ・プロパティー・タイランド、タイエネルギー最大手のタイ石油公社(PTT)グループ、タイ素材最大手サイアム・セメント・グループ(SCG)、ツナ缶の世界最大手タイユニオングループ、飲料大手タイ・ビバレッジ(タイビバ)は、2019年に設立したタイ・サプライチェーン・ネットワーク(TSCN)のメンバーです。いずれもタイを代表する大企業で、長年ESG経営に注力してきましたが、持続可能な社会を実現するには、大企業だけでなく、中小企業にも行動を起こしてもらう必要があるという課題を抱えていました。中小企業を巻き込むには、前述したように市場全体の行動変化が重要と考え、2020年に同メンバーが中心となり第1回のサステナビリティ・エキスポを開催しました。

 当初は、「タイ・サステナビリティ・エキスポ(TSX)」という名称でしたが、より国際的なイベントにすべく、3回目からは「タイ」という文言を外し、現在のサステナビリティ・エキスポに改称しました。運営面は、タイビバが主体となり、他4社は主に資金やコンテンツ提供で協力しています。

SXを通じて伝えたいことは。

トンジャイ氏:持続可能に暮らせる世界を作るために、「サステナビリティは、誰か一人の問題ではなく、私たちみんなの問題である」という意識を国民一人一人に広めることです。例えば、ゴミの分別や、代替エネルギーの利用、公共交通機関の利用など、誰もができる小さな活動がサステナビリティの貢献につながるのです。

SXによって社会や世界をどのように変革したいですか。

トンジャイ氏:2050年をターゲットとして、世界各国が脱炭素社会の実現に向けて取り組んでいます。2050年は遠い未来に感じるかもしれませんが、実際には差し迫った緊急度の高い課題です。SXでは、このような世界が抱える課題を認知してもらい、行動変化を促すことを目指しています。そして、良い事例を積極的に発信してもらうことで、持続可能な社会への変革を進めていきたいと考えています。「SX Shaper Award」では、自ら行動を起こし、社会に良い影響を与えた人々を表彰しています。また、サステナビリティ教育の一環として、スピーチコンテストやハッカソンなど、未来の世界を担う若者や子供たちが発表できる場も設けています。

今後のSXの開催計画や海外展開について教えてください。

トンジャイ氏:SXは今後も継続的に開催していく予定です。現在は年1回のイベントですが、それ以外にも小規模なイベントなども今後は実施していきたいと考えています。また、昨年は海外からの参加団体は数団体でしたが、今年は14カ国から協力団体が参加するまでに拡大しました。今後はさらにネットワークを拡大し、国際的にも影響力のあるイベントへと発展させていきたいと考えています。

日本企業へのメッセージを。

トンジャイ氏

トンジャイ氏:日本は、さまざまな分野で基礎研究が盛んで、限られた資源を活用した農業や災害対策の知識や技術は、タイでも期待されている協力分野の一つです。ぜひSXを日本のプレゼンス向上のための発信の場として活用いただければと思います。SX以外でも常に発信できる体制を整えているため、継続的な共同プロジェクトなどのコラボレーションも歓迎します。

Interviewee info

Mrs. Tongjai Thanachanan
Director of SX2024, Organizing Committee

SUSTAINABILITY EXPOのディレクター。15年以上のグローバル戦略コンサルティングの経験と幅広い投資管理の専門知識を持ち、現在はサステナビリティと企業の社会的発展に注力している。
米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院ファイナンス学およびビジネス国際学 修士号取得。米国プリンストン大学経済学部および東アジア学部 学士号取得(優等位)。

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