SUSTAINABILITY EXPO

「持続可能性」でプレゼンス向上
―ASEAN最大級のサステナビリティ・エキスポ開催レポート
「持続可能性」でプレゼンス向上―ASEAN最大級のサステナビリティ・エキスポ開催レポート
 環境問題をはじめ、世界が直面するさまざまな課題が複雑化する中、サステナビリティへの対応はグローバルで必須のビジネス要件となっている。タイでは、SDGsの取り組みを牽引する、不動産大手フレーザーズ・プロパティー・タイランド、タイエネルギー最大手のタイ石油公社(PTT)、タイ素材最大手サイアム・セメント・グループ(SCG)、飲料大手のタイ・ビバレッジ、ツナ缶の世界最大手タイユニオングループ—の5社が中心となり、2020年より毎年「SUSTAINABILITY EXPO(SX)」を開催している。

SX2024盛況に幕を閉じる

 5回目となる今年は、9月27日〜10月6日にタイ・バンコクのクイーンシリキット国際会議場(QSNCC)で開催された。主催者によると、10日間の来場者数39万3,891人、フードフェスとマーケットプレイスの出展は420店舗、売上は4,965万バーツ(約2億2,000万円)を記録した。今年の出展企業・団体数は270団体で、イベント登壇者数は750人。昨年は数団体だったタイ国外からの出展者も今年は20団体にまで増加し、国際的な認知度も年々高まりを見せているという。また、昨年まではB2C向けの展示やイベントがメインだったが、今年は新たにB2Bゾーンも加わり、セミナーやディスカッションフォーラム、ネットワーキングなども行われ、企業間の情報交換や交流が活発に行われた。

体験型展示で深いインパクトを

メインホールのプロローグ外観
メインホールのプロローグ外観

 G階のメインホールでは、「SEP Inspiration」 、「Better Me」、「Better Living」、「Better Community」の4つテーマに沿った展示が行われた。「SEP Inspiration」ゾーンの中央に位置する「プロローグ」展は、異常気象による自然災害や世界各地で勃発する戦争など、今、世界が抱える問題を五感で体験できる没入型展示だ。「Better Me」では、エイジングシミュレーションを通じて高齢化社会を体験でき、「Better Living」では、温室効果ガス排出量の削減から二酸化炭素回収・貯留技術など環境対策への取り組みが紹介された。また「Better Community」では、コミュニティの社会的、環境的、経済的側面の向上への取り組みに関する展示が行われた。

フードフェス
フードフェス

 一方MG階のフード・フェスティバルは、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」をテーマに近未来的な空間が演出され、機能性食品や低糖質・減塩、低脂質食品などヘルシーで環境に優しいメニューや、有名シェフが考案した料理ブースも人気を集めた。

内閣府、宇宙技術をタイで

内閣府出展ブース
内閣府出展ブース

 日本の内閣府は、準天頂衛星システム(QZSS)「みちびき」を活用した環境保護やエコシステムの保全に役立つ宇宙技術を紹介。ブースには、内閣府とタイ地理情報宇宙技術開発機関(GISTDA)、Multi-GNSS Asia(MGA)が主催する災害対策のアイデアコンテスト「RPDチャレンジ」で受賞したレンジャー用スマートスーツが展示されたほか、受賞チームの開発過程と「みちびき」を利用したスマートスーツの仕組みを解説した展示も行われた。

 タイでは、北部を中心に山火事や農村部の野焼きの影響による大気汚染が深刻な社会問題となっている。「みちびき」を活用することで、山火事への早期対応が可能になり、電波が不安定な場所でも、衛星を介した専用端末で現場のレンジャーにリアルタイムに指示を出せるという。これにより、レンジャーの安全確保の貢献も期待される。

日野自動車、ドライバーにも環境にも優しい商用EV

日野デュトロ Z EVの展示
日野デュトロ Z EVの展示

 日野自動車のタイ子会社の日野モータース・セールス・タイランドは、小型BEVトラック「日野デュトロ Z EV」を展示。日野デュトロ Z EVは、荷役作業がしやすい低床設計と車外に降りずに運転席から荷室へ直接移動できるウォークスルー構造が特徴で、ドライバーの作業負担を軽減するとともに、ゼロエミッションで環境負荷の低減にも貢献している。日本では2022年6月から販売されており、主に物流のラストワンマイルの現場で活用されている。担当者によると、タイではまだ発売に至っていないが、将来的には導入も検討しているという。

 現在、タイの温室効果ガス排出量の大部分は運輸部門が占めており、EVなど環境負荷を低減する車両への切り替えが急務となっている。しかしタイでは、商用車のEV化は乗用車に比べ遅れをとっており、今後の政策も含め、動向が注目されている。

クボタ、農業廃棄物をサステナブルファッションへアップサイクル

 クボタのタイ子会社で農業機器を製造・販売するサイアム・クボタは、稲わらなど廃棄物を有効活用し、大気汚染の原因となる野焼きを廃止するゼロ・バーン(焼却ゼロ)プロジェクトや、農業用水管理のプロジェクトを紹介した。

サイアム・クボタの出展ブース
サイアム・クボタの出展ブース

 タイのアパレルブランド「GREYHOUND」と共同開発したアグリ・ウェアのプロジェクトでは、タイ東北部スリン県のラジャマンガラ工科大学イサン校スリンキャンパスの研究者とシルク生産で有名な同県の蚕農家と協力し、稲わらや繭の繊維を交ぜたリサイクル繊維を開発し、アパレル製品へアップサイクルした。

 また、タイ北部ペッチャブーン県の農業用水管理のプロジェクトでは、繰り返される洪水と干ばつの問題をクボタが持つ農業のノウハウで解決し、生産性向上に貢献している。さらに農作物を利用した高付加価値商品の開発も支援し、農家の所得向上にもつなげているという。サイアム・クボタの関係者は、成功事例のノウハウを他の農家にも普及させ、タイの農業の競争力を高めていきたいと語った。

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