マーシュ ジャパン
代表取締役社長

中西 主

1992年マーシュ ジャパンに入社。保険・リスクマネジメント領域で約35年の経験を有し、取締役を経てコンシューマービジネス、M&A、経営企画を管掌し、2010年から現職。

企業と保険代理店の関係の
パラダイムシフトが
日本企業のリスクマネジメントの
変革を加速する

構造的課題を乗り越えて
日本型マネジメントから脱却

——昨今の世界情勢の変化は、企業にどのような影響を与えていますか。

パンデミックや気候変動、地政学的緊張など、社会情勢の激変が続き、企業は常に事業戦略の再構築を迫られています。こうした状況において、リスクマネジメントはもはや、単なるリスク回避のための手法にとどまりません。企業の持続可能な成長と競争力の強化に寄与する重要な事業戦略なのです。企業は、事業上のリスクを定量化し、優先順位を設けて「このリスクは低減を図る」「このリスクは保険を契約することで移転する」といった具合に、柔軟かつ適切に管理し続ける必要があります。

——日本企業はこれまでもリスクマネジメントに取り組んできました。

そうですね、しかし事業全体を俯瞰(ふかん)してリスクを管理するという視点に欠けていたのは事実です。リスクマネジメントは部門ごと、例えば建物等の管財のリスクに関しては総務部門、人的資本のリスクに関しては人事部門といった具合にサイロ化しており、共有もされてこなかったのです。その背景に、リスクとは“顕在化すると収益や目標の達成にネガティブなインパクトをもたらすものであり、それぞれの現場でマネジメントをするものである”という考え方がありました。しかし現在、サプライチェーンは世界中にまたがり、一つのリスクが別のリスクを連鎖的に引き起こす「リスクのドミノ現象」が頻発しています。企業全体でのリスクマネジメントが不可欠なのです。

また、グループ内に保険代理店を持っていることも日本企業の特徴です。その代理店を通して、個別のリスクに応じた保険を契約してきたのです。しかしながら、企業内代理店は保険会社の代理店である一方、親会社との人的・資本的な関係が強いという立場の不明確さに起因した懸念に対応するため、グループ内代理店のガバナンス体制を含む規制の再構築が検討されています。企業のリスクマネジメント体制の見直しが急がれます。

経営に直結した
戦略的リスクマネジメント

リスクとは不確実性のことです。上手にリスクをマネジメントする、すなわち想定範囲内にすることで、ポジティブなインパクトをもたらすこともあります。そうした前提に立ち、多くの欧米の企業では、金融業や製造業を中心に、CEO、CFOの直下に最高リスク責任者(CRO)を置き、専門の部署も設けて、企業の目指す姿を実現するため、経営戦略に資する包括的なリスクマネジメントに取り組んでいます。

——CROはどのようにして責務を果たしているのでしょうか。

具体的には、リスクの可視化と評価をし、適切な保険の選定を行い、リスクマネジメント戦略を推進します。カウンターパートとなるのは、リスクマネジメント支援と保険仲介を専門とする企業です。経営戦略については戦略コンサルティングファームを、決算については会計監査事務所を起用するように、リスクマネジメントについても社外の専門家の知見を活用し、持続的な成長とステークホルダーからの信頼の確保に寄与しているのです。

2025年でちょうど70周年を迎えたマーシュ ジャパンも、この分野の専門家として日本のお客さまの支援をしてまいりました。世界でリスクマネジメントの経験を培ったマーシュでは、独自のデータ分析に基づいた高度かつグローバルなリスクコンサルティングができます。グループ全体としては、世界130カ国に拠点を持ち、150年以上にわたって保険仲介とリスクマネジメントの分野で世界をリードしています。フォーチュン500に数えられる企業の多くが私たちのお客さまです。

——リスクマネジメントの変革に向け、日本企業にはどのようなマインドが求められますか。

日本企業は今、リスクマネジメントの転換を図る最初で最後のタイミングを迎えたと言っても過言ではありません。あるべき姿の実現のため、過去のやり方にとらわれず、リスクマネジメントを戦略的な優先事項として位置付け、全社的な取り組みへと変えていく必要があります。私たちは変革に挑む日本のお客さまのサポートを続けます。

Vol.2 CrossTalk01 長期循環型事業目指し統合的リスクマネジメントを推進
Vol.3 CrossTalk02 リスクマネジャーはリスクマネジメントを進化させる

マーシュ ジャパン株式会社

マーシュ ジャパン株式会社

〒107-6216 東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー
03-6775-6000 (代表)
https://www.marsh.com/jp/

SHARE

記事中の肩書きやデータは公開時点の情報です