TOKIUM

TOKIUM経理部が
経験を基に語る
新基準の中身と
対応のポイントとは

新リース会計基準はリースの定義が拡大されるため、「リースか非リースか」の判断が大きく変わってくる。リースのオンバランス化により会計業務も複雑化する。経理業務クラウドを提供するTOKIUMは、いち早くその対応作業を進めている。自らが手を動かすことで“未知数”の部分を明らかにしていくのがその狙いだ。同社はどのような課題に直面し、どのように対応したのか。同社の経験に基づく、対応作業のノウハウを紹介する。

変化に対し、いち早くチャレンジ
新基準対応を4つのフェーズで推進

株式会社TOKIUM 経理部 新会計リース基準対応担当 和田 陸氏
株式会社TOKIUM
経理部
新会計リース基準対応担当
和田 陸
 新リース会計基準の中で特にインパクトが大きいのが「リース定義の拡大」と「すべてのリース取引のオンバランス化」だ。これまで非リース扱いだった不動産の賃貸借契約なども、条件が合致すればリース扱いになる。そしてリースは「費用」ではなく「資産」や「負債」として計上しなければならない。

 2024年9月の公表から間もないため、変更点に関する企業側の理解があまり進んでいない。とはいえ、新基準は2027年4月から強制適用されるため、残された期間は2年を切った。

 「経理業務クラウドを提供するTOKIUM自身が対応を進めていなければ、お客様の理解と信頼を得ることは難しい。自ら経験を積み、その知見とノウハウをフィードバックすることで、お客様への価値提供につながる。こうした考えのもと、当社は経理部が中心となって新基準対応のプロジェクトを進めています」。こう話すのはTOKIUMの和田 陸氏だ。

 企業が一から対応を進めるためには4つのフェーズが必要になる(図1)。「フェーズ1:事前検討」「フェーズ2:方針決定とプロセス構築」「フェーズ3:適用準備」「フェーズ4:本番適用」だ。同社は既にフェーズ1を完了し、契約書の洗い出しとリースの識別、影響算定を終了した。現在はフェーズ2に入り、方針決定とプロセス構築に向けた作業を進めている。
図1
新リース会計基準対応の主な流れ
図1 新リース会計基準対応の主な流れ
リース対象が確定しないと、オンバランス化の影響算定やプロセス構築、システム整備も進まない。フェーズ1は全体工程のベースとなるものだ。フェーズ2以降の対応期間を見積もる上でも非常に重要なプロセスである
 事前検討を進める中で、様々な課題が明らかになり、多くの学びを得ることができたという。

契約書の洗い出しとリース識別
そこから見えてきた課題とは

 事前検討は「取引の総洗い出し」「対象取引の契約書の入手」「契約書を基にしたリース判定」という3段階で進めた。

 取引の総洗い出しは、まず会計システムで勘定科目ごとに取引一覧を確認し、摘要の内容を見てリースに当てはまりそうな取引を特定していった。しかし、摘要だけでは判断できないものもある。その場合は請求書を探して、その内容を確認した。「請求書の件数が多い上に、電子化されておらず紙の請求書で処理しているものもある。どこに、何があるか。網羅的に探し出す作業は大変な手間でした」と和田氏は振り返る。

 取引を洗い出した後は、対象取引の契約書を入手していった。契約書の多くは法務部門で管理しているが、中にはそうではないものもある。契約書が見つからない場合は関連部署にも協力を仰いだ。当時の責任者が既に退職し、どうしても見つからない場合は取引先に契約書を再発行してもらった。それも難しい場合は、見積書や発注書などからリース判定に必要な情報を収集したという。

 リース判定は新基準の定義を基に行ったが、そもそも「特定された資産」や「資産の使用を指図する権利」など使われている文言が分かりにくい。例えば、対象資産が契約によって物理的・個別的に特定でき、貸し手の都合で資産入れ替えができない場合は「特定された資産」と判断される。借り手が契約資産の使用用途、場所や対象物、その量などを変更する権利を有する場合は「指図する権利」があると判断される。ガイドラインなどを読み込んで、文言の意図をくみ取り判断していったという。

 「事前検討は思いのほか骨の折れる作業です。新基準が強制適用される2027年4月に本番稼働を迎えるためには、できるだけ早くフェーズ1を始めることが肝要です」と和田氏は訴える。

 これに加え、もう1つ重要なポイントがある。契約書のデータ化と一元管理を実現することだ。契約書がデータ化及び一元管理されていれば、検索性が向上し必要な契約書の特定・入手が容易になる。あちこちの部署や人に問い合わせたり、取引先に契約書を再発行してもらったりする必要もなくなる。「リース識別作業を大幅に効率化し、適用準備の期間短縮につながります」と和田氏は続ける。

契約書のデータ化と一元管理
AIによるリース自動判定も可能に

 こうしたポイントを踏まえ、TOKIUMは契約書のデータ化と一元管理を容易に実現する「TOKIUM契約管理」を提供している。「電子契約したデータの取り込みはもちろん、紙の契約書も当社に郵送、またはPDFファイルを送付するだけでAI-OCRで全文電子化し、クラウド上で一元管理します」と和田氏は説明する。

 取り込んだ契約書データは全文検索が可能になる。CSV形式で固定資産管理システムとも柔軟に連携できる。新基準に対応した機能強化も図った。「条件を選択すれば、リースの可能性がある契約書をAIが自動で判定します」と和田氏は強みを述べる(図2)。適用後もTOKIUM契約管理上でリース料やリース期間など必要な項目を管理できるため、継続的に新リース会計基準に沿った運用が可能だ。
図2
TOKIUM契約管理のリース識別支援機能
図2 TOKIUM契約管理のリース識別支援機能
契約書の全文をAIが読みとき、その内容からリースの可能性を判定する。根拠となった条文もハイライト表示するため、判定結果の理由も分かる。契約書をすべてデータ化しておけば、リース識別の作業を大幅に効率化できる
 これに加え、請求書受領クラウド「TOKIUMインボイス」を活用すれば、取引の総洗い出しで必要になる請求書の検索・入手作業も効率化できる。紙及び電子の請求書をTOKIUMが受領代行し、データ化するからだ。そのデータはクラウド上で一元管理する。「様々な条件で検索が可能になることから、対象となる請求書を簡単に特定・入手できます」と和田氏は語る。

 ほかにも経費精算業務クラウド「TOKIUM経費精算」、請求書発行システム「TOKIUM請求書発行」、電子帳簿保存法に準拠した文書管理クラウド「TOKIUM電子帳簿保存」などを提供し、支出管理に関する業務のデジタル化を幅広く支援している。これらのサービスは電帳法の認証機関JIIMAをはじめ、2500社以上の企業で導入されているという。

 新リース会計基準は、リースの定義が大きく変わる。過去にさかのぼって契約の確認が必要になるため、思いのほか負担が大きい。今後もTOKIUMはクラウドサービスの提供を通じ、新リース会計基準へのスムーズな対応を強力に支援していく考えだ。