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高砂熱学工業

大空間の公共施設ならではの空調とは?

平常時も避難時も、暑すぎる
体育館の諸問題を解決せよ!

学校体育館の空調設置率は20%※1に満たない。屋内運動時の熱中症対策に加え、避難所としての機能強化に向け、改善が急務だ。政府も交付金を創設し後押しする。環境クリエイター®をビジョンに掲げる高砂熱学工業は、安全性、換気、省エネルギーに配慮した体育館向け空調機を提供し、この課題に挑む。

※1 令和6年9月時点、公立小中学校において

学校の体育館は大空間のため空調管理が難しい。快適性の観点から冷暖房に目が向きがちだ。しかし、避難所として感染症リスクを回避するためには「換気」も重要なポイントとなる。一般的に、冷暖房の効率と換気はトレードオフの関係にある。外気を取り入れると室内温度が変わるからだ。また、開けた窓から虫や花粉、砂ぼこりなどが入ってくる点も快適性を損なう。

高砂熱学工業 研究開発本部 技術研究所
空調・環境研究開発室 主席研究員
木村健太郎氏

いかに外気を取り入れ、効率的な空調を実現するか。有効な解決策となるのが「置換空調」だ。高砂熱学工業 研究開発本部 技術研究所 空調・環境研究開発室 主席研究員の木村健太郎氏は仕組みを説明する。

「暖気は上昇し、冷気は下降する原理を利用し、その空気を置き換えるのが置換空調の特徴です。窓を閉めたまま、効率的な冷暖房と換気の両方を実現できます。また、上昇する暖気はほこりなども含んでおり、室上部から排出することで衛生面でも有効です」

一般的な「混合空調」は、室内空気をかき混ぜて温度を均一化する。体育館を避難所として利用する場合、特にウイルス拡散には留意が必要だ。「置換空調」は、冷房時は冷気が人に触れることで暖まり上昇気流となる。この特性を利用して、CO₂やウイルスなどを効率よく屋外に排出できる。

ビニール風船のアイデアで
けがをするリスクを回避

置換空調を体育館向けに最適化した製品が「フレッシュクール®」だ※2(図1)。開発課題は、運動中の子供たちが鋼鉄製吹き出し口にぶつかり、けがをするリスクをいかに回避するか。吹き出しユニットはゼロベースで開発したという。「突破口となったのは、無数の穴が開いたビニール風船というアイデアでした」と木村氏は解説する。

※2 高砂熱学工業と日本ピーマックの共同開発製品

図1 フレッシュクール®のシステム概要図
置換空調を採用し、必要な部分のみ効率的に冷却。コアンダ効果の活用で暖房にも対応

「子供の手が届きにくい高さから空気を取り込み、ビニールに開けた穴を通じて室内に送り込むという仕組みです。冷風により膨らんだビニールは風船形状となり、エアークッションの役割を果たします。さらに、体育館の防護マットとして使われるレザークッションを壁材に使用し、安全性を強化しています」(木村氏)

図1 フレッシュクール®のシステム概要図
置換空調を採用し、必要な部分のみ効率的に冷却。コアンダ効果の活用で暖房にも対応

難しかったのは、ビニール風船で均質の給気を実現することだ。「穴の開いている割合(開口率)が大きいと、風船が膨らみません。逆に開口率が小さいと、抵抗が増えて空調の動力が増加します。また、同じ開口率でも穴が大きい場合、吹き出し速度が上がって室内空気が混ざってしまい、冷房効率が低下します。低速で冷気の層を作り出すために、開口率や穴の大きさ、間隔などを様々に変えて検証し、最適化を図りました」(木村氏)。

ビニール風船に着想を得たアイデアで、衝突時のけがを防止。半楕円形の構造で場所を取らない。微風のため室内競技への影響もない

図2 避難用テントを設置した実証実験の様子
夏場の体育館で実証実験を実施。避難用テントの間を縫って、人がいる空間全体を効率的に冷却できた

運動時の邪魔にならないように、また避難所スペースを最大化するために、吹き出しユニットのコンパクト化も開発テーマだった。一般的に置換空調の吹き出しユニットは半円形。同機は、奥行きを抑えるために半楕円形とした。室内側壁面固定タイプで、シンプルなデザインは体育館に溶け込み、これまでの空調イメージを一新する。

図2 避難用テントを設置した実証実験の様子
夏場の体育館で実証実験を実施。避難用テントの間を縫って、人がいる空間全体を効率的に冷却できた

同機では、低速で冷風が隙間を縫って奥まで広がっていく。プライベート確保のために、多数のテントが立つ避難所の空調としては最適と言える。「避難用テントを置いた実証実験(図2)では、運転開始から30分で、30℃以上あった床面付近の温度が、室全体で25℃程度まで下がりました。また、クリーンルーム※3に導入している技術を活用し、フィルターを通して外気を給気するため室内の清浄度も改善できます」(木村氏)。

※3 クリーンルーム:清浄度を一定に保ち、空気中の微粒子や微生物の混入を防ぐよう設計された部屋。半導体や食品などの製造工場で主に使用される

人がいる空間のみを空調
省エネルギーを実現

熱中症対策では湿度の制御も必要となる。同機は外気を冷やし、結露させて除湿する冷却除湿方式を採用。また体感では分からないほどの微風で、バドミントン競技の風速国際基準0.2m/s以下をクリアするなど、競技にも支障がない。さらに、吹き出しユニットは低風速のため、式典などのイベントはもとより避難住民の快適な暮らしに欠かせない静穏性を実現する。

一方、置換空調は、暖気が上昇する原理を利用するため、暖房には不向きだ。だが同社は、コアンダ効果※4を利用することで解決した。床面近くから加熱した外気の温風を、高速で床に沿って送り続けることで、足もとから暖かい環境を作り出す。

※4 コアンダ効果:空気などの流体噴流が粘性により周りの流体を引き込み、壁面に沿って流れやすくなる現象

体育館空調では、コストと環境保護の観点から省エネルギーは重要なテーマだ。そもそも体育館全体を空調する必要はない。フレッシュクール®は、人がいる空間のみを対象とするため無駄が生じない。「当社の実験では、置換空調は混合空調と比較し、冷房時に床上1mの温度が6℃低いという結果となりました。つまり6℃分高い運転も可能となり、年間で大きな省エネルギー効果を生み出します。また、屋外の本体側は配管工事不要、体育館内の工事も吹き出しユニットの設置のみです。工期短縮、トータルコスト削減が図れます。床置きのため既存施設の構造補強も必要ありません」(木村氏)。

同機は政府の交付金という後押しもあり、自治体や学校から数百件の問い合わせが寄せられている。今後について木村氏は「室内の空気を排気するダクトをなくし、天井付近にある既存の排気ファンを利用する仕組みを開発中です。工事費や工期をさらに短縮できます。また、寒冷地対応にも取り組んでいきます」と話す。

環境クリエイター®として、高砂熱学工業はこれからも高い技術力とチャレンジ精神で健康で豊かな社会づくりに貢献していく。

体育館向け空調機「フレッシュクール®」(日本ピーマック株式会社)▶ 製品情報・問い合わせはこちら

Contents

総論

「働く人中心」の空調を実現するには?暑い、寒いは「皮膚温」が決める
消極的快適の徹底追求を

高砂熱学工業

大空間の公共施設ならではの空調とは?平常時も避難時も、暑すぎる
体育館の諸問題を解決せよ!

三機工業

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