パートナー講演Anaplan ジャパン

Anaplan ジャパン
シニア ソリューション
コンサルティング ディレクター
大場 達生 氏
不確実性が高まる時代、サプライチェーン改革の成否を分けるのは価値を生み出すまでの速さである。Anaplanジャパンの大場達生氏は、改革を長期化させる要因として「個別最適の罠」を挙げ、標準機能の徹底活用とAIによる意思決定の高度化こそが次世代のサプライチェーン変革を加速すると説いた。
「サプライチェーン改革において、数年かけても終わらない企業がある一方で、またたく間に改革を完了し、圧倒的なスピードで価値を創出する企業が存在している。このスピードの差はどこから生まれるのか」。大場氏は、講演の冒頭でこう問いかける。
最大の要因として指摘したのが、自社独自のプロセスへの過度なこだわりである。「うちは特殊だから」「現場が納得しないから」と、既存のやり方をそのままシステムに載せようとする企業は多い。しかしその結果、改革は複雑化し、時間もコストも膨らむ。
大場氏はこれを「スピードを殺す、個別最適の罠」と表現する。現場で長年使ってきた複雑なスプレッドシートや計算式を100%再現しようとすれば、要件定義は肥大化する。さらに、部門や拠点ごとにデータの持ち方が異なれば、AIは情報を正しく読み解けない。大場氏は「標準化されたデータという共通言語がない限り、AIという強力な武器は宝の持ち腐れになってしまう」と指摘する。
自社専用システムを1年、2年かけて作り込んでも、完成時には市場環境が変わっている可能性もある。パンデミック、地政学リスク、為替変動など、前提条件は短期間で変わる。大場氏は「時間をかけて100%作るという戦略そのものが、不確実な時代には最大のリスクではないか」と述べる。
では、個別最適の罠から抜け出し、高速で価値を生むにはどうすればよいのか。大場氏が示した答えが、標準アプリケーションの活用とAIの組み合わせである。
標準化という言葉には、現場にとって使いにくくなる、自社の強みが失われるといった印象もある。だが、大場氏は「サプライチェーン改革で成果を出している企業は、全く逆の考え方をしている。彼らにとって標準とは、ビジネスを最適化、高速化するための加速装置である」と述べる。
標準機能を活用すれば、世界中の成功企業の知見が凝縮されたベストプラクティスを土台にできる。ゼロから設計するのではなく、検証済みの型を使うことで、自社がどこで勝つのかという戦略的な議論にリソースを集中できる。
AIの活用においても、標準化の重要性は変わらない。大場氏は、標準化されたデータ構造を「AIが即座に走り出せる舗装された道路」に例える。データの意味や形式がそろっていれば、AIは予測や最適化にすぐ取りかかれるからだ。AIはもはや将来の構想ではなく、標準アプリケーションの上で実務に組み込める段階に入っている。
講演では、従来の構造を打破して成果を上げた企業の事例も紹介された。多くの企業では、地域や拠点ごとに情報が分断され、需給調整に膨大な手作業と時間がかかっていた。現場の在庫や需要の変化が財務指標や事業計画にすぐ反映されず、過剰在庫や欠品を繰り返す構造もあった。
成功企業が選んだのは、自社専用に作り込むことではなく、標準を採用することだった。標準的なプラットフォームにデータを集約し、全員が共通のデータを見て動く組織へと変えたのである。これにより、部門や拠点ごとの分断を越え、全体最適に基づく判断が可能になった。
計画策定のリードタイムを約14日から2日に短縮した事例も紹介された。これは単なる作業時間の削減ではない。「14日かかる競合他社がようやく現状を把握した頃には、この企業はすでに次の打ち手を決め、実行に移している」と大場氏が言うように、この差が不確実な市場における先行優位になる。
Anaplanが価値実現までの速度を高められる理由について、大場氏は「単なる計画ツールではなく、AIとデータを統合し、意思決定を高速化するためのプラットフォームだからだ」と説明する。需要予測、在庫計画、供給計画、統合計画などの標準アプリケーションを活用することで、企業はゼロから作り込むことなく、用意された型を使って計画業務を立ち上げられる。
最後に大場氏は、改革を進めるうえでの要点を3つに整理した。
1つ目は、「80%は標準で回す」という決断である。すべてを自社独自に作り込むのではなく、標準機能で対応できる部分は標準に合わせる。独自仕様は、本当に競争優位を生む20%に絞り込むべきだという考え方だ。「この勇気ある標準への適応が、改革のスピードを決定づける」と大場氏は語る。
2つ目は、AIを加速器として定義することだ。データが完璧に整うのを待つ必要はない。まず標準アプリケーションで型を作り、今あるデータでAIの活用を始める。AIは、予測やシナリオ検証、リスク管理を支える実務の道具になっている。走りながら精度を高めていく姿勢が、AI活用の成否を分ける。
そして3つ目が、「Time to Value」をKPIにすることだ。システムが完成する日をゴールにするのではなく、最初の価値がいつ出るかを重視する。大場氏は「最大の損失は、システム構築に時間をかけることだ」と述べ、価値創出までの期間を最短にすることに組織の力を集中すべきだとし、講演を結んだ。

パートナー講演
Anaplan ジャパン
なぜ、あの企業のサプライチェーン
改革は速いのか?
AIと標準化で実現する価値創出の極意

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