主催者講演⑦【合成生物学・バイオ】 :
日本経済団体連合会・中外製薬

バイオ技術の活用が日本にもたらす価値を考える

日本経済団体連合会

バイオエコノミー委員会企画部会長

中外製薬

上席執行役員

大内 香

 大内氏は、バイオ分野の重点領域として「バイオものづくり」と「バイオ医薬品・再生医療等製品」を挙げた。前者は微生物などの生物の力を用いて素材や化学品を製造する技術であり、後者は遺伝子をはじめとする生物由来の仕組みを活用する医薬品・医療技術である。

 バイオものづくりは、石油やナフサなど海外依存度の高い資源制約に対応する危機管理投資であると同時に、製造業の競争力強化につながる成長投資でもある。日本には発酵、分離・精製、加工まで一貫して手がける高い技術基盤があり、2040年に11.9兆円規模の市場創出を目指している。一方で課題は、市場が十分に立ち上がっていない点だ。大内氏は「企業が本格投資に踏み出すには、一定の需要が見込めるという予見可能性が不可欠だ」と述べ、グリーンラベルや官公庁によるグリーン調達などを通じた初期市場の創出が重要になると指摘する。

 バイオ医薬品・再生医療等製品も、危機管理と成長の両面で重要な領域だ。コロナ禍では医薬品や原材料、部素材の供給リスクが顕在化したが、従来より日本のバイオ医薬品は海外依存度が高く、国内自給率は現時点で14%にとどまる。一方で、2040年には世界で200兆円以上の規模が見込まれる成長市場でもある。健康医療安全保障の確保と産業競争力強化に向け、国内の研究開発・製造基盤や人材育成を強化し、開発から製造まで一貫して対応できる体制づくりが求められる。

 大内氏は、官民が危機管理と成長の両面で取り組みを具体化し、バイオを日本の柱となる産業に育てる必要性を強調する。経団連としても企業の投資や連携を後押しし、ロードマップを実行フェーズへ移していく考えを示した。

主催者講演⑧【創薬・先端医療】 :
アイパークインスティチュート

医薬品産業が、日本の成長をけん引するには?

アイパークインスティチュート

代表取締役社長/
創薬・先端医療ワーキンググループ
構成員

藤本 利夫

 藤本氏は、創薬・先端医療を日本の成長を支える重要分野と位置付けた。医薬品・医療機器業界は国内有数の産業であり、日本には大学研究や製薬企業の蓄積がある。一方で、約4兆円の輸入超過、スタートアップ育成の遅れ、ドラッグラグ・ドラッグロスが課題となる。

 成長の柱となるのが、ファーストインクラス(画期的新薬)とベストインクラス(既存薬より優れた新薬)の創出である。藤本氏は「日本向けではなく、世界の患者に貢献する『世界直行型』のスタートアップを育てる必要がある」と述べた。

 その実現には、POC(概念実証)取得までの支援や国際共同治験、人材の流動化、企業シーズのカーブアウト、AI創薬の活用が重要になる。創薬力を強化するには、候補品数や成功確率を引き上げ、開発期間とコストを削減することが欠かせない。

 薬価制度も競争力を左右する。新薬特許期間中の薬価維持やイノベーション評価、米国の最恵国待遇(MFN)薬価政策への対応は、ドラッグラグ・ドラッグロス解消の重要な論点となる。

 感染症対応製品では、平時から有事に備える体制づくりが課題となる。藤本氏は「箱モノ支援で終わらせず、企業が事業を継続できる仕組みをつくることが重要だ」と強調し、政府による買い上げや備蓄を通じた市場形成の必要性を示した。

 医療機器やヘルスケア領域では、スタートアップが医療現場で迅速に試作・改良できる環境づくりが重要になる。藤本氏は、施策は十分包括的に示されたとしたうえで、「あとは魂を込めてやるかどうかだ」と述べ、産官学が連携して実行に移す重要性を訴えた。

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主催者講演⑦【合成生物学・バイオ】

日本経済団体連合会・中外製薬

バイオ技術の活用が日本にもたらす価値を考える

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