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「まちづくり」を起点に社会課題を解決 未来を切り拓く東急不動産の挑戦 Vol.1 「GXビジネスモデルの確立」

社会課題解決を通して未来を構築 持続可能な社会を次世代へつなぐ

東急不動産 取締役 常務執行役員 インフラ・インダストリー事業 ユニット長 西田 恵介氏

不動産業を中核に多様な事業を展開する東急不動産。その取り組みについて、事業を統括する同社のユニット長に話を聞く連載企画。第1回は、日経BP 総合研究所の小原隆が同社インフラ・インダストリー事業 ユニット長の西田恵介氏に話を聞いた。

社会課題解決に向けた基盤を確立
環境価値を高める取り組みを展開

インフラ・インダストリー事業ユニットは、どのような事業を手掛けているのでしょうか。

西田 当社は、創業以来、「事業を通じた社会課題の解決」を企業理念に掲げています。インフラ・インダストリー事業ユニットは、その理念をとくに強く体現しており、社会課題直結型で様々な新しい事業に取り組むことで、事業を拡大してきました。とくに、エネルギー自給率の向上や脱炭素社会の実現、物流効率化といった課題の解決に貢献するため、「環境エネルギー事業」と「インダストリー事業」の2つを中心に取り組んできました。

環境エネルギー事業においては、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の発電容量は2112MW(2025年9月末時点)と、国内トップクラスの規模にまで成長しました。その強みを生かして、国内事業会社※1で初めて「RE100」※2を達成しています。

御社では、再エネを活用した事業を環境エネルギー事業と表現されているのですね。

西田 はい。生み出した電気に価値を付けて、需要者に届けていくことを意識しています。需要者とともに環境価値を高めていこうという狙いもあって、「環境エネルギー」と呼んでいます。

実際に、脱炭素ニーズの高まりを受けて、小売電気事業者「リエネ」などのグループ会社と連携し、川上から川下まで一貫したサービス体制を構築しています。当社の再エネ電力をオフサイトPPA・バーチャルPPAなどにより、自社施設のほか、他社施設や公共施設にも供給しています。

例えば、神奈川県横浜市では、当社が市内の学校の屋上に設置した太陽光発電所で発電した電力を学校で自家消費し、余剰分は市内の施設に供給する取り組みを進めています。

環境エネルギー事業の実績やノウハウを生かして、事業領域を拡大する基盤も確立できました。今後は、再エネ電力を活用した企業誘致やまちづくりを計画しているところです。

図:未来を見据えた多角的な事業を展開 
								社会課題/地域共生/
								環境エネルギー
								・北海道松前町「リエネ松前風力発電所」
								・茨城県行方市「リエネ行方太陽光発電所」
								食料
								・京都府木津川市「テクノファームけいはんな」(植物工場)
								・埼玉県東松山市「リエネソーラーファーム東松山市」
								コミュニティ
								・北海道松前町「TENOHA松前」
								・環境教育プログラム「ReENE ÉCOLE(リエネエコール)」
								まちづくり
								・北海道石狩市「石狩再エネデータセンター」
								・佐賀県鳥栖市「(仮称)サザン鳥栖クロスパーク」
								インダストリー
								・埼玉県白岡市「(仮称)イチゴノオカプロジェクト」(スマート農業×物流施設)
								・大阪府茨木市「LOGI’Q南茨木」

持続可能な未来へと事業を拡大
次世代型まちづくりに着手

写真:西田 恵介氏

新たなまちづくり事業でも、御社の特徴が出ていますね。

西田 全国各地の自治体と連携して、未来型のまちづくりを行う「産業まちづくり事業」に着手しています。

現在、円安などの経済環境の変化や地政学的なリスクの高まりを受けて、製造業を中心に生産拠点の国内回帰の動きが加速しています。こうした動向を踏まえ、産業団地や物流施設を起点に地域を活性化する産業まちづくり事業に参入し、「GREEN CROSS PARK」というブランドを立ち上げました。

創業以来一貫して行ってきたまちづくりに加えて、当社のGX※3、DX※4のノウハウを組み合わせて、地域の課題に応じながら産業を起点にした持続可能なまちづくりを目指していきます。

代表的な例が、佐賀県鳥栖市と取り組む「(仮称)サザン鳥栖クロスパーク」です。製造業を誘致したいという鳥栖市の意向を受け、当社を代表とするコンソーシアムで事業を推進しています。2024年に供用開始された小郡鳥栖南スマートIC至近に、約34haの次世代型産業都市を整備する計画です。

区域内のエネルギーを100%再エネ化することで、進出企業の環境負荷を低減するとともに、自動運転やドローンといった次世代モビリティにも対応、また、進出企業間の交流・共創を目的としたコミュニティスペースの整備などの計画も進めています。

御社は、再エネ100%のデータセンターも開発されています。

西田 はい。ニーズが高まっているデータセンター事業にも参入して、北海道石狩市でデータセンターを建設中で、26年3月に竣工予定です。この施設は、再エネ100%で運営します。

当社と石狩市は、24年5月に「再エネ利用による持続可能なまちづくりに係る協定書」を締結し、脱炭素先行地域(石狩湾新港地域内)における再エネ供給など、石狩市のまちづくりに貢献する考えです。

事業領域の拡大はさらに続けます。農業従事者の減少・高齢化などによる将来的な食料課題への不安も顕在化してきている中、植物工場の運営や営農型太陽光発電事業、冷凍冷蔵倉庫事業などにも取り組んでいきます。

未来を見据えて事業を拡大しているのですね。

西田 これから先の未来を、地域の方々や次世代を担う子どもたちとともに作っていきたい、という思いがあります。地域共生の取り組みを推進する活動拠点「TENOHA」を全国各地で展開していることや、子どもたちに再エネを中心とした環境問題について学んでもらう環境教育プログラム「ReENE ÉCOLE」を実施していることも、その一環です。

まちづくりを行ってきた不動産会社として、これからも地域とともに未来につながる事業を展開し、より良い社会、持続可能な社会を残していきたいと考えています。

※1 金融機関を除く ※2 「RE100」:事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的なイニシアチブ ※3 GX:グリーントランスフォーメーション ※4 DX:デジタルトランスフォーメーション

小原隆取材後記

東急不動産は100%再エネへの切り替えを達成したことを、2024年にRE100事務局から認められました。国内事業会社として初の快挙です。そのけん引役が西田さんでした。再エネをベースに新たな事業を次々と複合開発してきた西田さんは、自らの熱量を受け継ぐ社内外の同志や若手の育成にも尽力しています。今後の展開に要注目です。

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