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「社会奉仕」では失敗する! ダイバーシティで儲かる会社を作る
佐々木かをりのビジネス問答 (2)

日本の企業の多くは、ダイバーシティ経営の意味を根本的に間違えている。それが会社を成長路線に乗せるための、戦略的な経営課題であることを、佐々木かをり氏は多くの経営者に説いている。
「ツーカー会議」が危険な理由

国際コミュニケーションのコンサルティング会社、株式会社ユニカルインターナショナル代表取締役社長。市場創造型マーケティング・コンサルティング会社、 株式会社イー・ウーマン代表取締役社長。内閣官房「IT戦略本部」はじめ、多数の政府部会で委員に就任しているほか、上場企業など複数社の社外役員、経営諮問委員もつとめる。著書に「佐々木かをりの手帳術」(日本能率協会マネジメントセンター)、「さっと書けて心が伝わる英文メール術」(アルク)、翻訳に「インテル戦略転換」(七賢出版)など。
なぜダイバーシティが必要か。それは「会社の儲けを増やすため」だ。コンサルティングを依頼されると、まず、佐々木かをり氏は経営者にそう説明することから始めるという。
ダイバーシティの概念が組織に浸透している会社は、実際に経営が好調だと佐々木氏はいう。しかも、社会的に尊敬され、支持される会社になる。ところが、かつてCSR(企業の社会的責任)がそうであったように、多くの会社は、ダイバーシティを本業とは別の、何か社会奉仕のようなものだととらえている。これでは失敗する。
ダイバーシティの対極にある会社の姿を想像してみよう。取締役10人が全員勤続32年前後。ほぼ同期入社の仲間同士で、同じ体験を共有しており、価値観も近く、互いの意志が「ツーカー」で通じる。「それ自体が悪いことだとはいえません。しかし、この10人と異なる生活スタイルを持つ人が異質に見えてしまい、その意見がなかなか取り入れられない、という傾向があるなら大問題です」(佐々木氏)。価値観が偏っているために、市場の多様性を正しく理解できず、顧客のニーズに応えることができない。結果として、会社の競争力がそがれてしまう。
ダイバーシティとは「役員会の写真を撮ったら女性が2割いるね」というレベルの話ではないと佐々木氏は強調する。物事を決定するプロセスに、多様な視点を取り入れること。それこそが、ダイバーシティの本質だ。「まだまだ日本では取り組みが後れているので、今から始めれば、会社を早く成長路線に乗せることができます」(佐々木氏)。ダイバーシティは社会奉仕ではなく、経営チャンスなのだ。

多様な視点を生かし、より良い意志決定を下す。そのためには、まず、採用の仕組みから変えなければならない。「ダイバーシティというと女性を入れる、外国籍の人を増やす、障がい者を採用するといったことを想像される場合が多いのですが、それだけではありません。たとえば、東大や慶応など特定の大学からの採用に偏っていたところを、全国の大学に採用枠を広げる。それもダイバーシティの一環です」(佐々木氏)。人員の偏りをあらゆる観点からなくしていくことが、ダイバーシティ経営の第一歩だ。
「私」のことだけを話しなさい!
会社として取り組みを進める一方で、見落とされがちなことがある。働く社員1人1人の意識改革だ。会社側が、男女比、国籍、年齢など多様な人員でチームを構成したとしても、その中で特定の意見だけが押し通されるのでは意味がない。意志決定に、多様な視点を反映させることがダイバーシティの本質だ。社員1人1人の中に、互いの意見を尊重する意識、そして、自分の意見をはっきり主張する意識をはぐくまなくてはいけない。
これを、佐々木氏は「アイ・ステイトメント」というシンプルなルールにまとめている。会議の進行をする人間は、多様な視点を持つ参加者に、アイ・ステイトメント、つまり自分の意見だけを述べるよう求める。「みんなそう思っているはずだ」「常識に照らせばこれが正しい」といったたぐいの意見は、自分のことを述べていない。従って、ルール違反だ。その代わり、「私自身はこういう理由でこう考える」という発言なら、ほかの立場の人から、それが一見間違っているように感じられたとしても、尊重される。参加者の多様な視点を生かすためだ。

このルールは、佐々木氏が社長を務めるイー・ウーマンの、「円卓会議」というWebコンテンツでも実践しているものだ。1週間単位でさまざまなテーマを設定し、その道の専門家が進行役となって、サイト登録者に質問を投げかける。回答はアイ・ステイトメントでなければ採用されない。翌日、その回答を元に、専門家が議論を深める新しい質問を設定し、サイト登録者が再び回答する。その手順を1週間繰り返し、最後に専門家が議論を総括する、という形を取っている。「これはダイバーシティを活用した組織や社会をつくるために、多様な考え方を寄せ集めて議論していく訓練の場という目的もあります。実際、政府や企業からダイバーシティについての相談を受けると、この『円卓会議』を応用した提案をしています。皆さんも、思考の多様化、脳のストレッチ運動のために是非継続して参加してみてください」(佐々木氏)。
会社が仕組みを作り、社員は意識改革を進める。この両輪が回れば、ダイバーシティは軌道に乗り、会社として正しい意志決定が行えるようになり、成長路線を描くことができる。社員の意識改革は、まず会議のたびにアイ・ステイトメントを徹底するところから始めるといいだろう。
ワークライフバランスは重要課題
仕事と家庭・プライベートの両立をはかるワークライフバランスも、ダイバーシティを推進していく上で重要な課題だ。特に今の日本では、女性が結婚し、子供を持つと、職場を離れざるを得なくなることが、いまだに多い。
大人だけの社会は、締め切りの時刻だけが決まっている。そこまでに仕上げさえすれば、仕事をいつ、どういう順序でこなしてもいい。「でも、子供のいる生活は異なります。決まった時間に保育園に迎えにいかなくてはいけません。今日は忙しいから夕食は午前0時に、などといった時間の融通もきかないのです」(佐々木氏)。仕事を中断してでも、その時間には家に帰り、子供のための時間をとらなければいけない。家庭や子供ができたことで大きく変化する社員のライフスタイルを、会社側が受容できるか。そういう体制を構築することも、ダイバーシティ経営の一環だ。
一つの方策として、レッツノートのようなモバイルパソコンを活用するという手がある。軽量で持ち運びしやすく、強固なセキュリティを設定でき、WiMAXなど高速なモバイル通信も可能だ。仕事をいったん中断して家に帰っても、子供を寝かしつけた後、あるいは、翌朝早起きするなど、それぞれのペースで仕事を片付けることができる。こうしたワークライフバランスのとれた働き方は、社員をハッピーにするし、会社としても、貴重な人材を失わずにすむ。

ただし、社員が仕事と家庭の板挟みで追い詰められ、会社のルールを破って仕事のデータをこっそり家に持ち帰る、という情報漏えいの危険はなんとしても避けなければならない。会社側でセキュリティを施したレッツノートを用意し、必ずその中だけで作業をさせる。WiMAXを内蔵するレッツノートは、自宅の回線を使うことなく、高速にネットに接続し、VPNを通じて安全に会社のサーバーに接続することができる。万が一レッツノート自体を紛失したとしても、遠隔操作でデータを消去できるインテル® アンチセフト・テクノロジーなど先進的なセキュリティに対応するレッツノートなら、情報漏えいにいたる可能性はきわめて小さい。ワークライフバランスの実現には、非常に有利なパソコンといえる。
ほかにも、勤務時間中の生産性を高められるというメリットもレッツノートにはある。「プレゼン先や、移動中など、すぐにネットに接続し、調べたいものを調べられ、伝えたいことを伝えられる。軽量でバッテリーも長持ちするレッツノートで、しかもWiMAXのスピードで、ネットワークを活用した効率的な仕事ができる。限られた時間で社員がベストパフォーマンスを発揮するために、本来は、もっと活用されたらよいと思います」(佐々木氏)。
ダイバーシティ経営の本質は、意志決定に多様な視点を取り入れること。アイ・ステイトメントやレッツノートを活用したワークライフバランスなど、1つ1つ取り組んでいけば、決して越えられない山ではない。早く実現できれば、それだけ優位に立てる。新しい競争力の源泉が、そこにはあるのだ。





