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特集

遊牧民のように自由に働こう 今日から始めるノマドワーク
2010年8月24日公開

遊牧民のように自由に働こう 今日から始めるノマドワーク

ノマドワーク入門ガイド

仕事がはかどらないなら、デスクを離れてみよう。レッツノートとクラウド、そしてスマートフォン。これらをフル活用し、意識的に仕事をする場所を変えて、生産性やモチベーションをコントロールする。自ら実践する「ノマドワーク」の方法を著書にまとめた中谷健一氏が教えてくれた、その極意とは。



デジタルツールで武装し、サードプレイスへ

――ノマドワークは従来のモバイルワークとは違うものですか。

中谷健一(なかや・けんいち) トリムタブジャパン有限会社 代表取締役社長。モバイルを軸に、メディアマーケティングやBtoCサービス設計のコンサルティングを行う。自ら実践するノマドワークの方法を紹介した著書「『どこでもオフィス』仕事術 効率・集中・アイデアを生む『ノマドワーキング』実践法」(ダイヤモンド社)がベストセラーに。
中谷健一(なかや・けんいち)
トリムタブジャパン有限会社 代表取締役社長。
モバイルを軸に、メディアマーケティングやBtoCサービス設計のコンサルティングを行う。自ら実践するノマドワークの方法を紹介した著書「『どこでもオフィス』仕事術 効率・集中・アイデアを生む『ノマドワーキング』実践法」(ダイヤモンド社)がベストセラーに。

中谷 オアシスからオアシスへ移動し、交易をしながら生活する遊牧民のように、パソコンをはじめとしたデジタルツールで武装し、喫茶店などのサードプレイスを移動しながら仕事をする。ノマドワークという言葉には、そういう意味が込められています。それにより、仕事の生産性を高めること、そして楽しく仕事をすることが可能になるというメリットがあります。

もともと、日本では佐々木俊尚さんの著書「仕事するのにオフィスはいらない」(光文社)で広く知られるようになった言葉です。会社に属さない、フリーランサーの働き方として使われ出した言葉ですが、実力主義が浸透し、会社の外でも仕事をしたり、あるいはスキルアップに励む現代の会社員にとっても、有効な働き方です。

会社内でプチノマドを実践している人もいます。ある仕事については、自分のデスクよりも社員食堂の窓辺のほうがはかどるとか、また別の仕事については、経験豊富な同僚を他部署に訪ねて片付けた方が短時間ですむなど、社内でもできることはいろいろあります。

クラウドはコラボレーションの形をも変えていく

――中谷さんはクラウドも徹底的に活用されていますね。

中谷 メール、カレンダー、スプレッドシートなど「Google Apps」をメインに使っています。加えて、ローカルに保存したファイルは「SugarSync」で自動的にクラウドに保存されるようにしています。書類の作成などアウトプットはすべてレッツノートで行いますが、主要なデータがすべてクラウドにあるので、スマートフォンからもデータを参照できます。私はスマートフォンを「PCの窓」と呼んでいるのですが、メールをチェックしたり、書類を参照したりするだけの時は、スマートフォンだけで手早く済ませます。生産的な仕事はレッツノートで、確認だけならスマートフォンで、といったデジタルツールの使い分けとスムーズな連携が、クラウドで可能になったのです。

レッツノートを開いた横に、ブロックを使い、スマートフォンと携帯電話を置くのが中谷氏のスタイル。どこでも自分のワークスペースを作ることができる。
レッツノートを開いた横に、ブロックを使い、スマートフォンと携帯電話を置くのが中谷氏のスタイル。どこでも自分のワークスペースを作ることができる。

ほかにもクラウドにはメリットがあります。まず、うっかりパソコンを忘れて仕事に出てしまっても、客先のパソコンを借りたり、ホテルのレンタルPCを使うなどすれば、ビジネスそのものがストップしてしまうような事態は避けられます。

加えて、人とコラボレーションするためにも、クラウドは有利です。私はコンサルタントをしており、さまざまな企業と共同で仕事を進める必要があるので、クラウドにデータを集約して共有することで、ずいぶん効率化できています。

これがさらに発展して、今後はアウトソーシングならぬ「ソーシャルソーシング」も一般的になっていくでしょう。「SlideShare」という、自分の作ったスライドをネットで公開するサービスがあります。先日、英語のスライドを公開したところ、イギリスのマーケターからTwitterを通じて連絡があり、すっかり意気投合しました。簡単に世界へネットワークを広げられ、いろいろな人の知恵を借りて、仕事の質を高められるのです。クラウドがない時代には考えられなかったことですよね。

サードプレイスでアテンションコントロール

思いつく限りのファンクションを出したら、それらを階層に整理する。これをFASTダイアグラムという。

――どんな場所をサードプレイスとして活用していますか。

あるとき「すごく抜けのいい企画書」を作れたファストフード店を、その後も繰り返し利用しているという中谷氏。
あるとき「すごく抜けのいい企画書」を作れたファストフード店を、その後も繰り返し利用しているという中谷氏。

中谷 喫茶店、ファストフード店、図書館、レンタルオフィス、公園など、いろいろな場所を使い分けています。サードプレイスは職場でも家でもなく、仕事をしたり勉強をしたり、あるいは社会活動をしたりするための第三の場所です。電源や公衆無線LANサービスを提供する店舗もだいぶ増えましたね。

たとえば受験生だったころ、自宅では集中できず、図書館で勉強をしていた方も多いでしょう。会社のデスクが、あるいは自宅の書斎が、必ずしも自分のベストパフォーマンスを出せる場所とは限りません。左脳を働かせたいときには静かな喫茶店で、右脳を働かせたいときは賑やかなファストフード店で、活発な意見を出し合いたい会議はカラオケルームで、など、仕事の種類によって使い分けるのも手です。

あるいは、気分が乗らず、モチベーションが上がらないときには、気持ちの良い、お気に入りの場所へ移動するなど、その時の体調や気分で選んでもいいわけです。サードプレイスを使い分けることで、自分のアテンションをチューニングしながら、ベストパフォーマンスを発揮する。単にはかどるだけでなく、楽しく仕事に打ち込めます。

社内限定のプチノマドでも、社員食堂、休憩スペース、屋上、空き会議室など、社内にお気に入りの場所を作ることはできます。ちょっと席を立って歩きはじめたとたん、いいアイデアがひらめくこともありますよね。

軽量、長時間のレッツノートが道を開いた

――デジタルツールの進化がノマドワークを可能にしたということでしょうか。

中谷 まず、モバイルパソコンのバッテリー駆動時間が飛躍的に延びました。10年ほど前まで、モバイルパソコンのバッテリーは2時間程度しか持ちませんでしたよね。しかも重くて持ち歩くのが大変です。それが、レッツノートの登場とともに変わり始めました。モバイルパソコンのバッテリー駆動時間と軽さが、レッツノートにリードされる形で、かなり改善されたんです。

立ったままでも安定してレッツノートを使えるよう、スポーツバンドで手とレッツノートを固定する。中谷氏のアイデア。
立ったままでも安定してレッツノートを使えるよう、スポーツバンドで手とレッツノートを固定する。中谷氏のアイデア。

私は現在、レッツノートS9のSSDモデルを使っています。エコモード(満充電を80%に制限することでバッテリーの劣化を遅らせる機能)で使っていますが、それでも、モニターの輝度を低く保つなど工夫することで、通信しながらでも7時間程度保ちます。ACアダプターも持ち歩いていますが、半日程度なら充電なしで使えています。

それに、常に持ち歩くので、頑丈さも大切です。レッツノートは田園都市線の満員電車でテストしたと聞きましたが、まさに私は田園都市線を利用しています。ラッシュアワーにはカバンの上から強く圧迫されることがあるため、以前使っていた別のモバイルパソコンは、本体がゆがんでしまいました。4本の足がちゃんとテーブルに付かず、がたつくようになった末に、ある日突然動かなくなってしまったんです。

これまでさまざまなモバイルパソコンを使い込んできましたが、何のトラブルもなしに保証期間を終えられるのは、レッツノートだけでしたね。表面に細かな傷が付くことはあっても、動作に影響するような深刻なトラブルは経験していません。堅牢性に関しても、やはり信頼できます。

レッツノートやスマートフォンなどデジタルツールの進化と、クラウドの発達と、サードプレイスの充実。環境が整った今は、働く場所を意識的に変えることが可能になりました。うまく活用すれば、生産性を高めたり、仕事やスキルアップに楽しく取り組むことができるのです。著書では具体的な実践方法を紹介していますので、ぜひ試してみていただきたいですね。

スポーツバンドを使ってレッツノートを手に固定している写真が本文中にありますが、これは中谷氏が創案したアイデアであり、パナソニックが推奨する使い方ではありません

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