入社手続きをデジタル化するため
HR Service Deliveryを導入
伊藤氏はHR Service Deliveryを選定した理由について、「入社前から入社後に至るまでの手続きが、同じプラットフォーム上で一貫して処理できる点を評価しました」と語る。
アフラックでは、社員の様々な手続きにServiceNowのワークフローを利用しているが、一般的には社内システムを社員になる前の内定者に直接アクセスさせることはセキュリティの関係上難しいとされている。
しかし、「ServiceNowは、外部ユーザー向けのワークフローを別に設定することも可能です。入社前の手続きは外部ユーザー向けのワークフローで行ってもらい、入社後はその情報を社内のワークフローに移行させて、人事手続きを行ってもらうことができるのです。この柔軟性の高さが、HR Service Deliveryを選んだ決め手となりました」(伊藤氏)。
実際の仕組み作りは、採用実務を担当していた東條氏らがIT・デジタル部門社員、開発ベンダーと共にアジャイルでシステム開発を行った。入社手続きのプロセスをすべて洗い出し、どこに無駄があり、流れが悪くなっているのかを「見える化」した上で、シンプルで効率的なプロセスに置き換えていった。
「単純に紙のやり取りをデジタル化するだけでなく、内定者のエクスペリエンス向上と採用業務の効率改善を図るため、業務プロセスそのものを抜本的に変革しました」と東條氏は説明する。
手続きがスマホだけで完結
社長によるビデオメッセージも
東條氏らは業務の見直しに当たって、まず、入社手続きを行う新卒内定者や中途採用者のペルソナを設定した。ユーザーの意識や行動様式を具体化することで、「手続きのどんな点に不満を感じているのか?」というペインポイントを洗い出し、それを重点的に解消することにしたのだ。「精度の高いペルソナを設定するため、入社間もない社員や、中途入社の社員などにインタビューを重ね、手続きで苦労した点も語ってもらいました」と東條氏は語る。
ペルソナの設定は、マーケティングではよく行われている手法だが、これを入社手続きの改善に採り入れることで、エクスペリエンスをさらに高めたいと考えたのだ。これもアフラック独自の取り組みと言えるだろう。
「ペインポイントの解消を中心に、やりたいこと、変えたいことをチームで共有し、仕組みに盛りこみました。かなりの量になりましたが、アジャイル開発に適しているServiceNowのおかげで、約3ヵ月で初回リリースに必要な機能を完成させることができました」と東條氏。
こうして21年11月に新卒向けの入社手続きの仕組みが稼働。翌22年4月には、中途採用者向けの仕組みも稼働した。HR Service Deliveryを基盤に刷新された入社手続きは、「DX@Aflac」を象徴すると言っても過言ではないほど、デジタル技術によって利便性が大幅に向上した。
「紙の書類のやり取りはほとんどなくなり、スマートフォン上で入力すれば完了するようになりました。紙の書類がどうしても必要な手続きを除き、すべてのペーパーレスを実現しています」(東條氏)
従来は写真スタジオなどで撮影し、添付していた証明写真も、スマートフォンのカメラ機能で撮影してアップロードすれば済むようになり、すべてがスマートフォンだけで完結するようになった。
「あまりにも簡単すぎて、『本当に手続きは完了しているのでしょうか?』と内定者から問い合わせが来ることもあるほどです。他の企業の煩雑な手続きを経験しているので、逆に不安に感じるのでしょうね」(東條氏)
また、以前は「どの書類を、いつまでに送ればいいのか?」と迷う学生も多かったが、「手続きがタスク化されているので、内定者が迷うこともありません。対応期限が過ぎると自動でアラートが送られる仕組みもあるので、手続きを処理する私たちの業務負荷も大幅に軽減されています」と東條氏は語る。
HR Service Deliveryを活用する前は、内定者から送られてきた書類のデータを様々なシステムに入力することや主管部署へ書類を送付する手間があったが、その業務負荷も約50%削減されたそうだ。
一方、「手続きの利便性が高まっただけでなく、入社を歓迎する社長からのビデオメッセージなど、エンゲージメントを高めるための工夫を盛り込めるようになったのも、ありがたいと感じています」と語るのは伊藤氏である。
ServiceNowによると、HR Service Deliveryを活用して入社前からほぼすべての手続きをスマホだけで完結させ、大きくエンゲージメントの向上および業務効率化を果たした、国内のロールモデルとなるであろう事例となった。
アフラックは今後、中途採用者向けに部門ごとのトップがメッセージを送るといったエンゲージメント強化にも取り組むほか、入社手続きだけでなく、産休・育休の手続きなどにもHR Service Deliveryを使った仕組みを活用していきたいと考えているそうだ。
伊藤氏は、「競争環境が厳しくなる中で、企業が人財を大切にすることは今後ますます重要になるはずです。より良い従業員体験の提供やエンゲージメントの強化によって、人財と会社が共に『選び、選ばれる』関係性を深めていきたい」と語った。




