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レガシーなITを短期間で刷新 従業員目線で進めるUCCのデジタル戦略

エクスペリエンス向上のため
従業員ポータルを新設

 UCCグループは、グループポータルの刷新に続いて、ServiceNowを使って社内申請用のワークフローを整備した。従来は、稟議等の重要なワークフローだけがSharePointで実装されており、それ以外のほとんどの申請は紙によって行われていたが、オンラインで申請をすれば、担当者にそのまま通知され、オンライン上で処理できる仕組みを整えたのだ。

 「ServiceNowのデジタルワークフローに加えて電子署名ツールをAPI連携させることで、社内手続きだけでなく、お客様との契約書まで含めて対応できるようにしました。手続きの煩雑さが解消されただけでなく、電子署名を利用することによる印紙税の削減、154万9000枚あった紙申請の使用が約9割も削減されるなど、ペーパーレス効果も表れています」と大森氏は語る。

 さらに、IT環境刷新プロジェクトの2年目となる22年7月には、ServiceNowの人事関連ソリューションであるHR Service Delivery(HRSD)を使って、結婚や出産、異動といったライフサイクルイベントの申請などを行うための従業員ポータルを新設した。

 「異動の申請は2カ月、結婚の申請はわずか1カ月でリリースしました。これほど短期間で実装できたのも、アジャイルに開発のサイクルを回せるServiceNowだからこそです」(大森氏)

 この従業員ポータルの開発に当たって、UCCグループはホールディングス人事部門の担当者や社内ユーザーなどを集めたワークショップを開催した。当事者たちの意見を基に、ポータル上で行う申請手続きをなるべく簡素化して、ユーザーエクスペリエンスを高めるためだ。

 黒澤氏が目指したのは、「オペレーションセントリック(業務目線)ではなく、あくまでもユーザーセントリック(ユーザー目線)にこだわった従業員ポータルの実現」である。

 「一般にポータルやシステムなどを構築する際には、処理をする部門の業務効率ばかりを優先し、ユーザーの使い勝手は二の次にされやすい傾向があります。新設する従業員ポータルでは、この問題をなくすため、関係者を集めたワークショップを開いて、『どうすればユーザーにとって使いやすいポータルになるか?』を徹底的に討論したのです」(黒澤氏)

 ServiceNowの担当者も招いて開催したワークショップは、22年2月からの3ヵ月間、全10回にも及んだ。大森氏は、「ServiceNowの方々は、他の会社ではどのような従業員ポータルが作られているのかという事例を示しながら、話し合いをサポートしてくれました。おかげで、社内の常識に凝り固まってしまいがちな発想が柔軟になり、とても実りのある議論になったと思います」と振り返る。

グローバルプラットフォームとして
海外のグループ会社にも広げていく

 ワークショップでは、「特殊な事情がある申請者のリクエストは、そのオプション選択も含め、ポータル内ですべての手続きが完了できるようにすべきだ」といった提案が上がった。しかし、一般の申請者には必要のないオプション選択があまりにも増えすぎると、その分、手続きは煩雑になってしまう。

 黒澤氏は、「一見、特殊な事情を持った従業員にも配慮した提案だと思うかもしれませんが、100人中2~3人しかいない従業員のために、残り97~98人の使い勝手を犠牲にするというのはユーザー目線に立った考え方とは言えません。むしろ、すべての手続きをシステムに盛り込めば、処理をする担当者の負荷が軽減されるという業務目線の提案です。発想を根底から変えてもらい、ユーザーにとって『使いやすい』ポータルのあり方を、みんなで話し合いながら決めることができたという点で、非常に意義のあるワークショップでした」と振り返る。

 ワークショップで導き出された方向に基づき、22年6月末から従業員ポータルの開発を開始。わずか1カ月ほどでリリースにこぎ着けた。

 「ServiceNowには開発に必要な部品がそろっていますし、使い慣れたJavaScriptにも対応しているので、短期間でリリースすることができました。すでに結婚、出産、異動などの手続きはできるようになっており、今後も段階的に申請メニューを増やしていく予定です」(大森氏)

 実際にポータルを利用した従業員からは、「これまで、異動の際にはどの部門に、何の申請を、いつまでにすればいいのかというのがよく分からなかったが、従業員ポータルなら、すべての手続きを抜け漏れなく、手順通りに進めることができるので非常に便利だ」といった声が寄せられているという。

 この他、同社はServiceNowを新入社員のオンボーディングにも活用している。「従来は入社前から紙書類を郵送しメールでやり取りをしていたが現在はウェブで完結している。面倒で種類も多い入社手続きがスムーズになったことや、従業員ポータルを活用することで新入社員が戦力になるまでの立ち上がりが早くなりました」と大森氏は語る。

 黒澤氏は、ServiceNowを使った今後のIT環境整備について、「ServiceNowはグローバルなプラットフォームなので、国内だけでなく、海外のグループ会社にも広げていきたいと考えています」と語る。

 また、社内に散在するアプリケーションをServiceNowのプラットフォームで一元化し、1つのユーザーインターフェイスですべてのアプリが利用できるようにするのも今後の目標だ。「使い勝手の良いIT」を追求するUCCグループの取り組みは、これからも続く。

 黒澤氏は「グローバルプラットフォームの構築に向けて、現在、データプラットフォーム、ERPプラットフォーム、アプリケーションプラットフォームの『3大プラットフォーム構想』を進めています。ServiceNowには、アプリケーションプラットフォームの一翼を担うソリューションとしておおいに期待しています」と語った。

全社ポータル(旧)

全社ポータル(新)

以前のUCCのグループポータルは、情報が盛りだくさんすぎて、欲しい情報を見つけにくかった。それをServiceNowを使ってデザインを一新。シンプルで使いやすいポータルになった。