可視化経営の真の目的は「組織の変革」
世界4000社が導入した「4つの規律(4DX)」に迫る

フランクリン・コヴィー・ジャパン
取締役副社長
戦略実行ビジネスユニット
統括本部長
竹村 富士徳 氏

社員の行動変容を促す、可視化の要点
業務を「竜巻業務」と「戦略目標」に分けよ

「社員の行動変容を確実に進めるには、何をどう可視化するかが重要になります」と語るのは、フランクリン・コヴィー・ジャパンの竹村富士徳氏だ。BIツールで経営データを可視化したとしても、それを経営幹部や中間管理職が見て、現場に指示命令を出しているようでは意味がない。データの可視化は進んでも、組織は上意下達のままだからだ。現場が常に上の指示を待っているような組織では、今日の環境変化に対応できない。これを変える必要がある。

フランクリン・コヴィー・ジャパン
取締役副社長
戦略実行ビジネスユニット
統括本部長
竹村 富士徳 氏

また、経営データを可視化してKPIを設定すれば、短期的な成果を出すことはできる。しかし、これでは早晩頭打ちとなり、長期的な成果につながらない。このことに悩む経営者が増えている。多くの場合、その原因はKPIの設定方法にある。

これまでと違う成果を継続的に出していくには、社員の行動を変える必要がある。社員の行動変容につながるKPIを設定しなければ、意味がないのだ。

正しいKPIを設定し、組織を変えていくには、まず業務を「竜巻業務」と「戦略目標」の2つに分けて考える必要があると竹村氏は語る。この2つを混同したままでは、正しいKPIの設定はできない。

正しいKPIは設定するために、まず「竜巻業務」と「戦略目標」とを明確に区別する

「竜巻業務」とは何か? 要するに、日常業務のことだ。日々の「ルーティンワーク」と、緊急的に発生し続ける「急ぎの業務」、この両方が含まれる。「現場の仕事のほとんどを、竜巻業務が占めています。100%と答える人もいます」(竹村氏)。これの真逆の業務が、行動変容につながる新しい活動、すなわち「戦略目標」ということになる。

多くの場合、まず「竜巻業務」を片付けてから「戦略目標」の遂行に取り掛かろうとするだろう。しかし実際は、「竜巻業務」への対応が多忙を極め、いつまで経っても「戦略目標」に着手できない状況になる。これでは、経営戦略と実行のギャップは埋まらない。

そこで必要になるのは、「竜巻業務」の中で重要な業務とそうでない業務を切り分け、不要な業務を外していくことだ。「現場はすべて重要だと思って取り組んでいます。しかし経営層から見れば、実は『重要でない業務』がかなりあります。この『重要でない業務』を最小限にし、まず『戦略目標』に着手できるリソースを確保します」(竹村氏)。

次に鍵となるのが、KPIの設定である。「売上」や「営業成績」など、従来から取り上げられてきた指標には、日常業務であるところの「竜巻業務」と、新しい活動につながる「戦略目標」が混ざっていることに注意しなければならない。こうした指標をKPIに設定すると、現場は「竜巻業務」をより速く回して結果を出そうとし、旧来のやり方を続けてしまう。これでは結局、組織の生産性が上がることはない。

「多くの企業が陥っているパラドックスです。『戦略目標』を実現しないと業務効率は上がらないのに、『竜巻業務』を速く回すためのKPIを設定してしまうのです」(竹村氏)。「竜巻業務」と「戦略目標」をしっかりと切り分け、「戦略目標」の実現につながるものをKPIに設定すべきだ。これによって初めて、社員の行動変容が起こり、組織のカルチャーが変わり始める。

組織のカルチャーを変えるには
社員の「6割」を動かせ

一部の社員が行動を変えても、組織全体のカルチャーにはならない。社員を正規分布でとらえた場合、一般的に「2:6:2の法則」が知られている。トップ2割の人はセンスがあり、放っておいても会社の戦略目標を理解し、行動を変えていく。一方、ボトムの2割は、経営が何を言ってもなかなか動いてくれない。その中間にいる「6割」の社員が、組織全体のカルチャーを決めている。重要なのは、この6割を動かすことだ。

組織変革を実現するために考慮すべき「2:6:2の法則」。中間層(ポテンシャル・メンバー)の「6割」をいかに動かすかが鍵を握る

この「6割」を動かし、組織の行動変容を実現するために、フランクリン・コヴィー・ジャパンが提唱しているのが「4つの規律(4DX)」だ。すでに世界で4000社以上が導入し、生産性の向上や顧客満足度向上などで実績を上げている。どんなに竜巻が吹き荒れる中でも、組織が遂行すべき重要戦略を明確に捉え、フォーカスし、実行するための4つのルールだ。

「4つの規律(4DX)」の概要

第1の規律は、「最重要目標(フォーカス)」だ。「戦略目標」を「竜巻業務」から切り分け、明確に設定する。これを「遅行指標(WIG)」と呼ぶ。これを実現するために、第2の規律「レバレッジ(てこの原理)」がある。多忙な「竜巻業務」の中にわずかに残されたリソースを最大限に生かすため、レバレッジが最大限に効くKPIを設定する。これを「先行指標(=KPI)」と呼ぶ。

第3の規律では、行動変容の「スコアボード」をつけ、その進捗度を可視化する。第4の規律「アカウンタビリティ(定期報告)」では、週次で結果を報告して小さな成功を確認し、次の成功へのリズムを作る。これを「毎週のコミットメント」と呼ぶ。この4DXを使って活動前進させる。

前述したように、KPIに「売上」や「営業実績」を設定することは推奨できない。「竜巻業務」と「戦略目標」が混同された指標だからだ。では、どのようなKPIを設定すべきなのか。

例えば、売上成績の良い社員の行動を分析する。「一般的な営業社員の顧客に占める大手企業の割合は20%なのに、成績の良い社員は50%だった」などの事実が見つかったとする。その新事実が会社のビジネスを変える鍵になると判断された場合には、「大手顧客の売上比率を50%に上げる」が「戦略目標」と規定される。これをKPIに設定することで、社員全員の行動変容が促される。業務効率が高まるため、「竜巻業務」が減っても会社の業績は上がっていく。これを継続できれば、やがて組織のカルチャーになり、抜本的な変革につながる。

「『戦略目標』の設定が鍵です。先行き不透明な時代に、正解はありません。その中で、リーダーは組織変革に最もインパクトのある『戦略目標』を選び取る必要があります」と、竹村氏は語る。

可視化すべきデータは
「行動変容」と「組織変化」の進捗度

「4DX」においては、第3の原則で使う「スコアボード」が重要な可視化ツールになっている。これを作る目的はビジネスデータの可視化ではなく、行動変容の進捗度の可視化にある。スポーツ試合のスコアボードのような形で、自分たちはいま勝っているのか負けているのか、その立ち位置と状況を明らかにすることが目的になる。これにより、社員が行動変容に向かうモチベーションができる。

そして前述の「2:6:2の法則」の通り、6割の社員が行動変容を起こすと、正規分布のグラフが右へ動く。これにより、組織を変える抜本的な変革が進む。フランクリン・コヴィー・ジャパンでは、「4DX」を可視化するためのオンラインツール「4DX OS」を提供している。社員の毎週のアクションやコミットメント、スコアボードを細かく可視化できるようになっている。上長は自分の配下のチームごとに、目標の達成状況や実施率を把握可能だ。

「6割」の社員が行動変容を起こすことで、組織に新たなカルチャーが醸成され、ビジネスの結果に継続的なインパクトがもたらされる

それだけではない。フランクリン・コヴィーでは、組織の「4DX」の進捗度を「XPS」という1つの指標で評価可能にしている。XPSは、「遅行指標の達成度」を1点満点、「先行指標の達成度」を1点満点、「コミットメントの実施度」を1点満点、「毎週セッションの開催度」を1点満点で評価したものの合計点(4点満点)で示すスコアだ。

「4DX」は20年にわたり、世界4000社が導入している。その膨大なデータを背景に、自社がどのレベルにあるかをXPSによってベンチマークできる。「パフォーマンスの高い企業のXPSは3.2点以上、結果を出せていない企業は2.5点以下であることが分かっています」(竹村氏)。「4DX OS」はチームごとのXPSを自動的に計算し、自社のパフォーマンスをグラフによって可視化する。これを使い、組織の変革を進めていく。

「XPSスコア」の指標。上図における「Bランク(3.2点以上)」を目指すという明確な目標が企業に生まれる

変化の速いビジネス環境を生き抜くために、自律的な組織と抜本的な生産性向上が求められている。それには社員の行動変容を促し、組織のカルチャーにしていく必要がある。早く着手した企業ほど、成果を得るのも早い。

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フランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社

URL:https://www.franklincovey.co.jp/

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