日経ビジネス電子版 Special

問い合わせ先ワンポータル集約

ソフトバンク取り組むSmart Operationの実現

問い合わせ用のポータルを開発
電話応対よりも心理的負担が減少

 ICTオペレーション本部は、18年にServiceNowを導入して以来、その機能を活用して、様々な“Smart Operationの実現”を推進してきた。

 その最大の成果の一つが、すべてのサービスに関する問い合わせを受け付けるポータルの開設である。従来、ソフトバンクの法人向けサービスの顧客は、サービスごとの窓口に電話やメールで問い合わせを行っていた。そのチャネルは残しつつ、ウェブでも問い合わせができるようにポータルを新設したのである。

 「ポータルの導入は開始しています。現時点ではまだ問い合わせの多くは電話やメールでの対応が中心です。ウェブでの問い合わせにシフトするために、各サービスデスクではポータル経由での問い合わせに順次誘導をしています。ポータルなら、よくある問い合わせはFAQによってお客様が自己解決できますし、電話やメールと違い、つながるまで待たされたり、確認が遅れて対応に時間がかかったりすることもありません。オペレーターにとっても、処理しなければならない電話やメールの件数が大幅に減るので、業務負荷の軽減が見込まれます」(志渡澤氏)

 どんなサービスに関する問い合わせも1つのポータルで受け付けるというのも、顧客にとってはありがたい点だ。

 電話やメールだと問い合わせ先はバラバラになるが、ワンポータルに集約されれば、「このサービスに関することは、どこに聞けばいいのか?」と迷うことがなくなる。その意味でも、ポータル利用が促進されていけばサービス品質は大幅に改善が期待できる。

 1つのポータルですべての問い合わせに対応するには、ServiceNowによって、サービスデスクごとの問い合わせ対応の仕組みやルールが標準化され、サービスデスク間の情報も相互に共有される必要がある。

 「標準化に向けて、サービスデスクごとの既存の仕組みやルールを総ざらいし、何をどう変えればServiceNowをより良く活用できる運用方法に統一できるのか検討を重ねました。各デスクに入念なヒアリングを行い、現在の業務フローを描いて可視化し、ServiceNow上でも業務フローを提示して、ギャップを明確化しました。そして、そのギャップを埋めるための解決策を提示しながら、すり合わせをしていき仕様を固めていきました。追加で行われる日々の開発についても、同様の考えを踏襲して機能拡張に取り組んでいます」と志渡澤氏は説明する。

 従来のやり方を変えてもらうための説得にはそれなりの苦労もあったが、標準化が実現し、電話やメールによる問い合わせが減れば、各サービスデスクの担当者にとっても非常に効果がありそうだ。

 「とくに電話の場合、お客様とのやり取りで心理的負担を感じるオペレーターも少なくありません。その負担が減ることは、各サービスデスクにとって非常に大きなメリットだと言えます」(志渡澤氏)

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ソフトバンクの法人向けサービスのポータルでは、トップページで顧客ごとの障害発生状況、メンテナンスの計画などが確認できる

ServiceNowの標準機能を活用して
様々な機能やサービスを開発

 このほか、ICTオペレーション本部はServiceNowの標準機能を使って、オペレーターの業務効率化や、顧客満足向上のための様々な機能を開発している。

 その一つが、翻訳機能だ。ソフトバンクの法人向けサービスは、日本国内の企業だけでなく、その海外現地法人や、海外企業も利用している。そのため、問い合わせや申請のためのポータルも、日本語だけでなく、英語にも対応する必要があった。

 「ServiceNowのプラットフォームには、翻訳機能が標準搭載されており、簡単、かつ低コストにAPI連携させることができます。これを活用して、入力した文章がすぐに翻訳される機能を追加しました」(志渡澤氏)

 また、ポータル画面には、顧客ごとに、利用しているサービスにどのような障害が発生しているのかをトップページで通知する機能もある。

 これもServiceNowの標準機能を基に開発したものだ。障害の発生状況だけでなく、過去のステータスの履歴や、直近に計画されているメンテナンスの情報も確認できる。いずれも、従来は電話やメールで確認しなければならなかったが、ポータルを開くだけで状況や予定が把握できるようになったのは、顧客にとって非常にありがたいはずだ。

 さらに、一部のサービスにおいてはクラウド上の仮想マシンの起動や、監視の一時的な停止といった顧客からの作業依頼が、電話やメールではなく、ポータルへの入力で行える機能も開発した。

 「ServiceNowのAutomation Engineに搭載されているIntegration Hub機能を使って、入力された内容を基に、自動的に作業まで実行する仕組みを構築しました。従来は、オペレーターが電話などで依頼を受け、それを引き継いだ担当者が手作業で処理していたのですが、人手が全く不要になりました。一部のサービスに限られますが、お客様にとっても、いつでも依頼ができて、利便性が大幅に向上したと思います」(志渡澤氏)

 このほか、ServiceNowに標準装備されているチャットボット機能を使って、顧客からの問い合わせに無人で対応するバーチャルエージェント機能を搭載する準備も進めている。

 以上のような顧客向けのサービス以外に、ICTオペレーション本部ではServiceNowのIT Operations Management(ITOM)も導入。自社のシステムやネットワークの監視アラート連携や構成管理情報の自動収集に利用している。今後、ServiceNowの活用領域はさらに広がりそうだ。

 有田氏は、「ServiceNowは、お客様からの問い合わせや、サービスデスク側の対処に関する履歴が蓄積され、その情報を基にお客様対応の内容および品質の分析やサービスを継続的に改善できるのも大きなメリットです。まだ導入したばかりのサービスデスクも多く、使いこなせていない機能もあるので、今後どんどんブラッシュアップし、お客様へのサービス品質を高めていきたいですね」と抱負を語った。