東京都 副知事
2022年11月に登場したChatGPTは世の中に大きなインパクトを与えた。今や多くの企業・組織で生成AIの業務使用が当たり前になりつつある。パネルディスカッション1では、これからの時代に求められるデジタル人材像について、議論が展開された。
まず東京都副知事の宮坂 学氏は「オールジャパンでの行政デジタル人材育成に向けた提言」と題して、3つのことを提唱した。
1つ目は「公務員のデジタル研修や『デジタルスキルマップ』の共同化」だ。公務員のデジタル研修やジョブタイプごとに備えるべきスキル項目を、自治体の壁を越えて共有・標準化すべきと提案した。2つ目は、「GQ(行政力)とDQ(デジタル力)を兼ね備えた行政デジタル人材の育成」。民間出身の人材が行政のことを学ぶ、あるいはプロパーの公務員がデジタルのことを学ぶ、双方向のリスキリングを促進することが肝心だと訴えた。
そして3つ目が「行政デジタル人材のキャリアラダーの明確化」である。「リスキリングした行政デジタル人材が、官官・官民の枠を超えてキャリア形成できる仕組みを構築する必要があります。例えば都庁とIT企業、中央官庁、区市町村を行ったり来たりしながら、行政もデジタル技術も分かる人材を育てたい。オールジャパンで配属戦略を策定していければ理想だと思います」(宮坂氏)。
経済産業省 商務情報政策局
情報政策統括調整官
次に、経済産業省の西村 秀隆氏が、同省が進めているデジタル人材育成政策の改革を紹介した。ローコード・ノーコードツールや生成AIが登場し、「DX本格普及時代」が到来しようとしている中、経済産業省は次の5つの軸でデジタル人材育成政策の抜本的な強化に着手している。
①これからの社会が求めるデジタル人材像の提示
企業・組織の道標になるデジタル人材像と、求められるスキルなどをまとめた「デジタルスキル標準」を2022年12月公開し、生成AIの登場をはじめとする技術進歩などに応じて、随時改訂している(直近では2024年7月に改訂)。
②デジタルの「学びの場」の一元的な提供
民間事業者が提供する学習コンテンツを一元的に掲載するポータルサイト「マナビDX(デラックス)」を提供。現在までに770以上のコンテンツを公開している。
③スキル認定(国家試験)制度の抜本的な改革
約30年前に作られた情報処理技術者試験の体系を、時代に即したものに変革する。
④デジタルスキルを見える化する人材情報プラットフォームの構築
社会を構成する個々人のデジタル関連スキルや保有資格を可視化し、蓄積する統合プラットフォームを構築する。
⑤本政策の推進体制強化
2025年4月、「情報処理の促進に関する法律」を改正。独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の役割に、新たに人材育成業務を追加。多彩な施策を推進する。