メインフレームやオフコンの既存COBOLアプリケーションを有効活用するモダナイゼーション手法で解決してきたAMCソフトウェアジャパン(ロケットソフトウェアグループ、以下、AMCソフトウェア)。高い成功率、短い移行期間、低コストがソリューションの売り物だ。日本国内外で、製造業、金融、公共といった幅広い業種において、モダナイゼーションの成功実績を持っている。AIを活用した現状分析の自動化など、先進機能の追加にも積極的に取り組んでいる。
AMCソフトウェアジャパン(ロケットソフトウェアグループ)
カントリー・ジェネラル・マネージャー
大野 洋一 氏
AMCソフトウェアは、英国で1976年に設立された旧マイクロフォーカスが前身の“COBOLベンダー”である。2024年にはメインフレーム資産のモダナイゼーションに強みを持つ米ロケットソフトウェアグループの一員となった。日本では1984年の支社設立以来、メインフレームやオフコンからのモダナイゼーションを“COBOL to COBOL”の手法で解決してきた。
「既存システムで利用しているCOBOLのビジネスロジックは、クラウドなどのオープン環境に移行し、新しい技術と連携しながら、過去の投資を無駄にすることなく、将来に渡り使い続けることができます」と同社カントリー・ジェネラル・マネージャーの大野洋一氏は説明する。このモダナイゼーションによって、他開発言語との隔たりなく、開発、運用することができる。
AMCソフトウェアが提供するソリューションの特徴は、「高い成功率、短い移行期間、低コスト」に集約される。「The Standish Groupが5万件のモダナイゼーション事例を手法別に分けて成功・失敗を評価した調査結果を見ると、多くのSIerが採用する“COBOL to Java”のソリューションが該当する『リビルド』は失敗が20~27%あるのに対して、当社の提唱するソリューションが該当する『継続したモダナイゼーション』は失敗が1%しかなく、間違いがありません」と大野氏は胸を張る。やはり既存アプリケーションをそのまま利用することが最も安全と判断している。
The Standish Groupが5万件のモダナイゼーション事例を手法別に評価した結果、『継続したモダナイゼーション』は失敗が1%となった
「Javaへのコード変換はJavaを扱える開発者が多いという理由でよく採用されていますが、実際に自動変換をかけると重要なクラス設計の善し悪しによって処理速度がかなり違ってきます。また、自動変換後のJavaは、ユーザー企業内でCOBOLを扱ってきた担当者がメンテナンスできないという理由で、当社のソリューションに乗り換えた事例もあります」と、同社COBOL事業部技術部マネージャーの高橋桂子氏は語る。
さらに、COBOLアプリケーションを再利用することで、既存のソースコードの品質を落とすことがなく、移行期間も短くて済む。また、コード変換が不要だからこそできる主要なアプリケーションの新旧比較テストによって、さらに工期を短くできるケースもある。
工期短縮はコストの圧縮にもつながる。「当社はあくまで顧客の利益を最優先にして、COBOL to COBOLによるモダナイゼーションの実績を持つSIerをCOBOLマイグレーションパートナーとして、弊社ホームページにて公開しています」(大野氏)
AMCソフトウェアが提供するモダナイゼーション支援製品は、「COBOL製品」と「エンタープライズ製品」に大別される。COBOL製品では、既存COBOL資産のマイグレーションにとどまらず、そのロジックをWebサービスに展開したり、コンテナ化したイメージを利用してマイクロサービスを展開したり、JVMや.NET上で稼働できるなど、多彩な機能を提供する。
また、エンタープライズ製品はCOBOL製品の全機能に加えて、PL/Iの開発・運用、IBMメインフレームのJCL、CICS、IMS互換機能を持ち、IBMメインフレームからのリプラットフォームに最適な製品だ。既存資産の棚卸に利用できる静的解析ツールも提供が可能となっている。
AMCソフトウェアの提供製品は、『COBOL製品』と『エンタープライズ製品』に大別される
ロケットソフトウェアグループは世界で1万2500社以上の顧客を持つ。大量の計算処理に信頼の厚いCOBOLは製造業、金融、公共を中心に多くの業種で使用されており、AMCソフトウェアでも多くのモダナイゼーション成功事例がある。製造業では王子製紙、金融ではみずほ銀行などの事例を自社ホームページで紹介している(詳細は記事下部のリンクから)。
同社のモダナイゼーションによって、王子製紙は3年で回収できる移行コストで、バッチ処理速度を3倍に改善した。また、みずほ銀行は1年という短期間で刷新が完了し、システムの保守性が大幅に改善。運用コストの削減にも成功した。
このように数多くの成功事例が蓄積されているが、技術者の高齢化が問題視され、“既存システムの延命”と見られやすい傾向もある。これらは単なるイメージであり、同社は、新しい技術であるAIを活用した先進機能の追加を計画した18カ月のロードマップを積極的にアピールしている。
10月28日に発表したバージョン11.0の日本語版では、既存資産の静的解析ツールにAIを搭載した。「ソースコードの棚卸し、変数変更の影響分析、プログラム実行順序やデータフロー出力などの解析を行う際に、従来は命令文の作成が必要だった作業を、英語の自然言語によるQ&Aで実行できるようになりました」(高橋氏)
AIを活用した先進機能を追加していく今後18カ月のロードマップ。バージョン11.0の日本語版では、既存資産の静的解析をAI活用で容易にした
また近年では、一般的なAIを利用すれば、COBOLソースコードを日本語で要約説明してくれる。「COBOLはソースコードが英語に似た表記なので、他言語と比べてプログラム仕様を理解しやすい特徴がありますが、それでもハードルが高く感じられる場合は助けになるはずです。若い世代の技術者は既に当たり前のように使用しているのではないでしょうか」(高橋氏)。従来はユーザー企業がこうした現状分析をSIerに依存するケースも多かったが、AIを活用することにより若手技術者でもCOBOLソースコードの理解が容易になり、人材育成でも大きな武器になると同社は見ている。
「長期的なロードマップとしてMicrosoft CopilotのAI機能と連携して、コピーブックからのプログラム生成などを実現する、コーディング補助機能を搭載する計画です」(高橋氏)
AMCソフトウェアは新機能の追加に加えて、COBOLを扱える若いプログラマーを育成するため、COBOL言語のトレーニングを3メニュー提供している。1つ目は初心者向けにオンラインで提供する「Learn COBOL in 1 Day」、2つ目はCOBOLの歴史と代表的な命令を学べる「COBOL言語超入門」、3つ目はユーザーの希望に応じて有償で行うメニューだ。「実際に受講生にCOBOLでプログラムを書いてもらうと、他言語と比べて可読性が高いことに驚く方も多いです。また最近では、こちらからアドバイスしなくても、自らAIも駆使して立派なプログラムを書いてくる若者もいて、AIの効果を実感しています」(高橋氏)
国産メインフレームの業界では、富士通が2030年の生産終了を発表済みで、NECと日立製作所も追随するという推測もある。その一方で企業ユーザーは、IT人材の流出やSIerへの依存などにより、既存システムがブラックボックス化しているケースが多い。このためモダナイゼーションのプロジェクトを開始するリミットとして、「2025年の崖」を切実に意識している企業も少なくない。
こうした状況の中リスクを最低限にとどめるモダナイゼーションを得意とするAMCソフトウェアは、「移行は困難だと1歩踏み出せない企業でも、既存資産を活用した段階的なモダナイゼーションがマッチするケースは多くあります。諦めないで当社に相談してほしい」(大野氏)と力強く呼びかける。

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